医療ガバナンス学会 (2013年3月14日 06:00)
今回の内容はロハスメディカル2月20日号に掲載されています
http://lohasmedical.jp/
医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
民主党政策調査会副会長 鈴木 寛
2013年3月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
これに基づき、厚労省でも平成25年度概算要求の精査と入れ替えが行われました。評価すべきは、ライフ分野の目玉のひとつ、「医療イノベーションの推進」が引き続き重点項目に割り当てられたことです。一方、若干の不安は、予算の具体的な使い道です。
そもそも民主政権では、従来の大量生産型から高度人材集約型へ、医療や生命科学研究といった分野に産業構造のシフトを図ってきました。実際、診療報酬の引 き上げによって、85万人の医療関連雇用が創出されました。この政府方針を受け、昨年9月の厚労省概算要求も、医療人材や若手研究人員の育成・確保を始め としたヒューマンやソフト重視の構成となっていました。
ところが入れ替え後は、「医療施設の耐震化」「治験環境整備」「へき地医療や救急医療へのアクセスの強化」として建物、設備や医療機器、患者搬送車等、ハードの整備が盛り込まれ、総じて〝コンクリートシフト〟の印象です。
本来はハコ物以上に、担い手の確保を最優先すべきです。先の選挙での国民の選択の結果なのでやむを得ませんが、医療現場からの発信が少なかった反面、ハード関係各業界の思惑とそのロビー活動の勝利だったという見方も可能です。
いずれにしても、官主導でなく学主導で立ち上げられた医療イノベーション推進室など、軌道に乗り出した施策の維持と、引き続き人的資源への予算投入が望まれます。
また、希少難病対策の動向も気になります。民主党政権は昨年10月、国が医療費助成する難病数を現行の56から300以上に拡大する方針を決めましたが、 新政権がどうするのか? 希少難病は多国籍製薬企業が手をつけない分、国内の製薬規模でも参入できます。日本が国際的に名誉ある地位を占めることもでき る、というわけです。
予算成立まで、今後も一緒に見守っていきましょう。