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Vol.99 文化圏とヒト

医療ガバナンス学会 (2013年4月23日 06:00)


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浜松医科大学医学部医学科2年
大島 和馬
2013年4月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


はじめまして。浜松医科大学医学科2年大島和馬である。私は名古屋で生まれ育ち、市内の小中高校を卒業した後、一年河合塾へ通い現在の浜松医科大学に入学 した。小中学校ではサッカーをし、大学に入ってからはラグビーやっている。そんな私が今年の春に東京大学医科学研究所へ行き福島へ行って感じたことを書き たいと思う。

大学の教授でありゼミでお世話になった医師で弁護士免許を持つ大磯義一郎先生の紹介で東京大学医科学研究所へ訪れた。ことの成り行きは、大磯先生に「春休 みにでも、東大医科研に遊びにいっておいでよ!!」と言われ、なんとなく「行ってみたいです!」と答えたのがはじまりであった。一泊二日で東京大学医科学 研究所を見学するのが当初の予定であった。しかし、東京大学医科学研究所でお世話になった教授の「明後日から一緒に福島へ行かないか?」との一言で福島へ ご一緒させていただくことが出来た。
東京大学医科学研究所では、本当に様々なヒトに出会った。予備校の人気講師である藤井健志さん、アメフトのトップ選手井上友綱さん、秋からハーバード大学 へ通うKusunoki Masahiro君などなど様々な分野の変わった人々と知り合うことが出来た。浜松の単科大学で閉ざされた環境にいる私にとって大きな刺激となった。ヒトの多い東京ならではの出会いだった。また、大学のゼミで行った予防接種についての調査を深めるために、同じく浜松医科大学医学科の石黒はるかさんと協力し て法定予防接種について調べyoutubeにアップし、情報を発信することを学んだ。

http://m.youtube.com/#/watch?v=_h_AWuROMjY&feature=share&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3D_h_AWuROMjY%26feature%3Dshare

福島へ行った目的は朝日新聞のプロメテウスの罠というコーナーでとりあげられた相馬高校の先生方との懇親会だった。そこで驚いたのが相馬高校の先生方の熱 さである。東北独特の訛りから繰り出される言葉は名古屋で生まれ育った私には新鮮だった。相馬高校の先生方の相馬高校を思う気持ちはすごかった。特に、相馬高校を今年の春去るという先生が自分の去った後の相馬高校を心配する気持ちに驚きを覚えた。中には、相馬高校の情報を得るためにfacebookを始めたいとおっしゃる先生もいた。そういった思いは私の地元である名古屋ではあまり感じることが出来ないものであった。また、この先生方の出身高校を尋ねたと ころ、ほとんどの先生の出身校が相馬高校、または隣町の原町高校であった。このことから、相馬高校の先生方の相馬高校への思いは郷土愛に通じるものがある と感じた。都会と田舎の故郷への思いの差をヒシヒシと感じた。

東京へ再び戻ってから私は週刊誌の記事を元にいくつかの大学の合格者の出身都道府県の数を日本地図に色分けして示した。当たり前のことだが、大学というの は地元の子が占める割り合いが多いことに気づいた。それは、東京などの都会や地方に限らずに言えることであった。そこでふと気になったことは福島における 進学状況が割と芳しくないということだ。これは震災前後で大きく変わったことではないと思われる。そこで東京大学医科学研究所で知り合い福島で再会した稲 村建君の話を参考に私の地元である名古屋と大学受験における教育について比べたいと思う。

まず、私が高校を選ぶ選択肢には名古屋市内だけでもたくさんあり、地下鉄やバス、自転車を用いれば何処も30分以内での通学が可能であった。内申が1変わ るだけでいくつも選択する高校が変わるほどたくさんあった。これに対して、相馬市に住んでいた稲村君に与えられていた選択肢は相馬高校の理数科・普通科、 相馬東高校、新地高校、そして隣町の原町高校、その他の専門系の高校であった。さらに、交通機関が発達しておらず、それらの学校への通学も親の車での送り 迎えをしてもらう学生が多く、実際に稲村君も親に送り迎えをしてもらっていたみたいだ。このことから、相馬市では学校へ通うのだけでも一苦労だったと思う し、一つの学校の学力層が名古屋に比べ、とても幅広いものであると思われる。このことが、学校での授業の質に影響しないわけがないだろう。

それともう一つ決定的に異なるのが予備校である。名古屋では、各高校の近くに予備校があるのはもちろん、地下鉄で千種駅や名古屋駅に行けば大手予備校がいくつもある。受験勉強が始まると、高校の授業が終わると学校帰りに予備校に通うのが当たり前になっている。それに対して、相馬市には予備校がないみたい だ。稲村君曰く、大手予備校に通おうと思ったら週末に仙台まで行くことがやっとみたいだ。高校の先生方には申し訳ないが予備校講師がもつ大学受験への特別 なスキルはほとんどの高校の先生が持っていないものだ。今春、稲村君が相馬高校から10数年ぶりに東京大学に受かったことも代ゼミの人気講師である藤井健 志先生が二年前から相馬高校で特別講師として講義をしていることが大きいだろう。

これら二つのことから、名古屋に比べ相馬の子達がいかに受験に不利であるかわかる。稲村君のことからも、相馬に充実した受験体制があれば、もっと多くの人 が難関大学と呼ばれる大学に入ることが出来るのではないのだろうか。この問題は相馬や福島だけでなく全国どこにでもあるのかもしれない。これも一種の教育 格差であり、修正していく必要があるのではないだろうか。今回の相馬高校での藤井先生の指導は一つの良いモデルである。

http://m.youtube.com/#/watch?v=Zun9UhZv0ng&feature=youtu.be&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3DZun9UhZv0ng%26feature%3Dyoutu.be

今回私は浜松から出て、東京や福島といった名古屋とも浜松とも全く異なる文化圏へ行き、さまざまなヒトに出会った。名古屋と浜松ですら全然違うと思っていた私だが、始めて東京や福島という文化圏が全く異なる環境にいき、これほどまで違う世界なのかと驚きを覚えた。自分が受験に関して大変恵まれていたことな ど思わなかっただろう。自分が住んでいる地域を見直すためにも異なる文化圏を経験するのは大切であると感じた。大学生の時間がある時期に多くの文化圏に触 れることも大切であるし、研修医や医師になり腰を据えて異なる文化圏を経験することも大切である。現在、大学の医学部入試には地元枠や県内で働けば返済が 免除される奨学金が多多あるが、青年を一つの環境に閉じ込めておくのは好ましいことではないと思う。私はこれからも様々な場所へ足を運び、様々なヒトと出会っていきたい。

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