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Vol.106 内部被曝通信 福島・浜通りから~まず大人が放射線の基礎的理解を

医療ガバナンス学会 (2013年5月1日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2013年5月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


新地高校で高校2年生を対象に放射線の講義を行ってきました。新地高校の物理教師、高村先生からのご紹介です。

この3月、相馬高校は東京大学へ12年ぶりの現役合格者を輩出しました。先日プロメテウスの罠でも紹介された相馬高校(現、福島高校)の松村先生と高村先 生は、その立役者たちです。2011年の4月頃に相馬で初めてお会いしてから、私も幾度となく情報交換などさせて頂きました。
「相馬高校に東大現役合格をもたらした日本の絆」( http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37552 )もご参考にしてください。

放射線とは何か、日常生活のどのような場所で使われてきたのか。
そもそも震災前から我々はどの程度、被曝していたのか。内部被曝と外部被曝の違いについて。そして、浜通りや中通りで行われている内部被曝検査、甲状腺検 査やガラスバッジの結果について。どのような行動がハイリスクか、それに対する防護法、対処法などについて約1時間話をしました。先日、福島高校でお話し した内容と同様です。(第45回「内部被曝の検査を受けないわけ」参照 http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013011500002.html )

個人的には、この1時間の間、生徒の興味を引きつけておくのに難儀しました。もちろん真剣に聞いてくれる生徒も多いのですが、集中力が切れてしまっている 生徒もいます。意図的に話をふったり、指名したりと、大学生のころに4年ほどやっていたバイトの塾教師の拙い経験を思い出しながら、あれやこれやと試行錯 誤しました。

その講義をしてから数日後、理解度を見るための簡単な筆記テストが行われました。

セシウム137の半減期はxx年ですか?
レントゲン検査、ガラスバッジ検査、ホールボディーカウンター検査で、外部被曝に関係するものはどれですか?内部被曝に関するものはどれですか?
ベクレルとシーベルト、放射性物質の量を表す単位はどちらですか?

確率の議論やリスクの比較などの、主観的な判断が入るような内容は省き、半減期などの揺るぎない事実や単位に関する質問が内容の大半です。

採点の結果を見て、少し驚いたと同時に妙に納得した自分がいました。外来や、地元での放射線の説明会にて、聞かれる質問の内容から受ける印象に何となく近かったからです。

例えば、セシウムの137の半減期についての問は4択でした。
1) 3日 2) 3カ月 3) 3年 4) 30年
となっていたのですが、正解を選んだのは約6割弱でした。生物学的半減期については、同様の形式で4割弱です。

放射性物質の量を表す単位について、
1) ベクレル 2) シーベルト 3) グラム 4) メートル
この中から正解を選んだのは4人に1人、残りの3人はほぼ全員シーベルトを選択していました。また、放射性カリウムが、自然界に存在する放射性物質ではなく、今回の事故後に放出された物質だと答えた生徒は3割程度でした。

もちろん、この数値や割合が現状の県内全体の状況を代表しているわけでは無いと思います。僕の伝え方が悪かっただけかもしれません。

ただ、2年たった今だからこそ、放射線に関する基礎知識がもう一度しっかり、継続的に伝えられる必要があるように感じています。教育の現場での子供達だけではありません。お母さん方や農家の方も含めてです。

福島県外では、放射能についての報道は非常に減りました。そんな今でも散見するのは、隠蔽、発覚、不信、不安、不作為、秘密、無責任、賠償、失敗、未だに xxx無い、といったような否定的な意味を持つような単語か、問題無し、変化無し、同レベル、ゼロ、低いといった言葉が多いような気がします。大丈夫or 危険、どちらかの結論がないと伝わらないし、結論が必要なことも分かります。

ただ、今回のテストの結果を見て、もう少し落ち着いて大人が学び,子供達に教えたり伝えたりしなければならないことがあるように感じました。きつい言い方 かもしれませんが、半減期すら知らない状況で、やれ安全だ、危険だといっても意味がありません。継続的な検査を行う意味も半減してしまいます。

物理や化学の素養や、将来、基礎的な知識は強靭な鎧となって、子供たちを様々な刺激や攻撃から守ってくれるはずです。一朝一夕の話ではありません。放射線教育(というよりむしろ教育)は今後、最も重要な課題の一つであることを再認識しました。

写真:授業中です

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013042600018.html

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