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Vol.136 内部被曝通信 福島・浜通りから~ロングテールを忘れない視点

医療ガバナンス学会 (2013年6月4日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2013年6月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

先日、病院の外来に4人の家族がいらっしゃいました。自宅には戻らず、震災後は仮設住宅に住んでおられます。

こんなやり取りをしました。

「自宅のある場所は、地域の中でも空間線量が比較的低めと言われている場所だ。0.2μSv/hぐらい、またはそれ以下の場所が多い。だから、特に規制の かかってはいないんだ。でも、自分の家はそうではない。地形の関係や、回りを山に囲まれ、震災直後は5μSv/hぐらいだった。その地域のホットスポット のような場所だと思う。今は下がってきているが2弱ぐらいだね」

「その値は家の外ですか、中ですか? 除染とかはどうなっているのですか?」

「家の中でも1を切らないよ。除染は行政が対応してくれたよ。土をはいだり、回りの草木を切ったり。辛かったけどね、0.8ぐらいまで下がったよ。1年前ぐらいの話。その後少しずつ上がって、今の値なんだ。だから仮設からは動いていない」

食べ物には気をつけていらっしゃるようで、家族全員が内部被曝の検査は検出限界以下を維持していました。

「こうした状況が、今の福島県全域で起きている」といったようなことを言いたいわけではありません。そんなことはガラスバッジの結果からもないです。しかし、上記のような状況がまだまだある、それに一つずつへの対応が重要であるということは忘れてはならないと思います。

甲状腺の被曝量の検査、内部被曝検査、外部被曝検査など様々な結果が発表されています。ほとんどすべての検査結果で、被曝量と頻度のグラフを見ると左に よった形になります。言い換えると、平均値や中央値は低い場所にあり、大多数の方はその領域に含まれている。でも、その一方で右側の長い裾の部分の値も出 ている、一部に高い方がいらっしゃるという状況です。

最初に紹介した方と話をしていて、改めて全体像を把握することの重要性だけではなく、高めの値を検出する方にどのように対応していくかもしっかり考えなければならないと認識しました。

その二つは常にセットであるべきで、平均値だけで話をしてはならないということです。地域全体で見ると、県全体で見ると、xx全体で見ると、とやると全体 像の把握は出来ますが、一部の高い値の部分が希釈され、見落とされてしまう可能性を常に意識しなければならないように思います。

通常の検診でも同じです。検査も、そのような方をいかに早期に発見するか、高血圧の頻度が何%かを見るために検診するわけではなく、未治療で明らかにリスクの高い方を見つけるために行っています。

当たり前と言えば当たり前なのですが、外部被曝でも内部被曝でも、一部にいるかもしれない、比較的高い値を検出する方、場所を早期に見つけて、介入を続け ることが重要です。検査体制も、いかに値の高い方を見つけ出すか、そのような方に検査に来ていただき、生活指導を含めたお話が出来るかが重要です。

値が高いかもしれない方に限って検診に来ていただけないこともあり、そのような状況に対する工夫が難しいところです。

写真:http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013060300006.html

 

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