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Vol.258 現場からの医療改革推進協議会第八回シンポジウム 抄録から(7)

医療ガバナンス学会 (2013年10月21日 18:00)


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セッション7: 医療改革の現在
11月10日(日)13:00~13:15

*このシンポジウムの聴講をご希望の場合は事前申し込みが必要です。

2013年10月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


◆医療改革の現在◆
小野 俊介
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●我々はかわいそうな日本人か
小野 俊介

恒例の枕詞だが、一年、二年では世の中は変わらない。いや、正確に言うと五十年、百年では社会の体質は変わらないのかもしれない。ここ数十年ずっと、医薬品開発の世界では「国際競争力」という定義不在の煽り文句が呪文のように唱えられ、メディアも「日本の国際競争力の向上を目指せ」というキャッチフレーズを垂れ流す。しかし、誰が(何が)誰と(何と)どこで何の競争をしているのかを誰一人わからないままに「競争、競争」なる掛け声を振りまいている現在の私たちの姿は、まるで何かの妄想にとり憑かれているようで滑稽であり、恐ろしくもある。

「内資企業と外資企業と区別するなんて遅れてるなぁ、君は。「誰が」の問題ばかり気にするのはやめろよ。大事なのは『場』だよ。『場』の競争力。日本という『場』が新薬研究開発の世界的な闘技場となることを目指すべきなのだよ」というのが、最近の医療イノベーションがらみの議論での模範回答らしいが、これはこれで相当に怪しい回答である。『場』といったところで、東経127-141度あたり・北緯26-43度あたりの地球表面フェチのヒトはそう多くはなかろう(皆無とは言わないが)。結局私たちは、『場』と共にある資本(誰の資本なのだろう?)、雇用(誰がそこで働くのだろう?)、知識・ノウハウ(それは誰のものだろう?)などが本当は気になるのだ。いかに『場』が重要と叫んでも、結局のところ「誰が? 誰にとっての?」の問題を避けることはできないし、ましてや腹のイチモツを隠しながら「誰が?」の問題に触れないのは実に不誠実な態度である。

あなたは(私は)何者なのだろうか?「日本の国際競争力」なる議論に欠けているものは、議論への参加者にそう問いかける勇気、そして腹を括ってそれに答える覚悟である。

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