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Vol.261 内部被曝通信 福島・浜通りから~被曝をより少なくするために

医療ガバナンス学会 (2013年10月23日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治

2013年10月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


内部被曝検査で、ある家族を測定すると、通常大人に比べて、子供の方がBqの値が低くなることが多いです。子供の方が大人より排泄が早く、同量の継続的な 摂取では、大人の方がより高い値で平衡に達することもありますし、そもそも体が小さいので大人ほどの量を摂取しない、子供の食事の方が気をつけている、体 の小さい子供はそもそも器械の限界として細かく計測しづらい。

すでに、大人も子供もほとんどセシウムはホールボディーカウンター(WBC)では、検出できなくなっています。とはいえ、上記のように大人の方が検出しやすく、Bqの値は高くなりやすい理由をいくつか挙げることができます。

ですので、子供を計測するより、一家のおじいさんを計測する方が、そのご家庭の内部被曝を計測する上では最も効率よく有効です。
(第3回、第5回、第14回参照 http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html )
じゃあ、子供は測らない方がよい、という話は極端ですし、どこか現実的なラインで検査を続ける必要があります。

内部被曝は、このように大人と子供で値の差が出ますが、外部被曝も値に差が出ることが分かっています。

数カ月間にわたって携帯してもらい、その間の外部被曝量を計測するガラスバッジ検査の結果ですが、やはり、大人の方が子供より高くなる傾向があります。お おざっぱにデータを見ると、小中学生<乳幼児<大人の順になっていることが多いように感じます(もちろん例外はあります)。

理由は学校です。小中学生は長時間、遮蔽の効いている建物の中で生活する時間が長いからです。第69回( http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013070100005.html )でも紹介しましたが、一瞬通り過ぎるホットスポットを気にするのではなく、長時間生活する場所の線量をいかに下げるかが重要です。

大人が高くなる理由は、仕事によります。農家で山間部にて作業されることが多い家庭は、この小中学生<大人の傾向が強くなります。子供の値は年間で追加1mSvぐらいであっても、大人で3~4mSvぐらいになったりすることを経験します。

逆に大人で、仕事が完全な事務作業だったり、大きな建物の中で仕事されていたりする方は、低めになって、小中学生<大人が成立しないこともあります。

小中学生<乳幼児なのは、乳幼児の方が家にいる時間が長いからです。家では高い、という主張をしたいのではなく、学校が強く遮蔽されていることが多いと言いたいだけです。

去年、南相馬市で行われたガラスバッジに関するアンケートによると、日常最も被曝していることが多いと思う時間帯はいつですか?という質問に、40%ぐら いの方が、通学中と答えています。就寝中とお答えになったのは、7%程度。そして、通学に車の送り迎えを行うご家庭が60%程度という結果でした。

もちろん、子供のガラスバッジの結果では、多くの場所で年間の追加被爆が1mSvを切ろうとしていることも事実です。ただ、長時間生活する場所の線量をしっかりモニターして下げることが、さらに外部被曝を低くするために重要です。

内部被曝と同様、外部被曝も、誰がどんな生活を送っているか、で値が変わるため、ただ市町村の値を比べるだけでは何とも言えないことが多いです。

この前、ある人が3カ月間つけていたガラスバッジの結果が、20mSvを超えていて、びっくりしました。話を聞くと、CTを撮影するときにつけたまま入っ たことがわかりました。平均値が高い低いも重要ですが、個人線量をしっかり測り、値が高い人をしっかり見つけ、個別対応することも非常に重要です。

写真: 時間ごとの線量を細かく記憶してくれる器械も多くあります。
どこでどの程度被曝しているか、後で見返すと自分の生活を見直す非常に有効なツールになります。
除染作業されている方や、農家の方などに使ってもらっています。
渡してそのままにするのでは無く、一緒に相談しながら値を見ることが重要です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013102100014.html

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