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Vol.266 現場からの医療改革推進協議会第八回シンポジウム 抄録から(11)

医療ガバナンス学会 (2013年10月25日 18:00)


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セッション11: 被災地復興の現在と問題点
11月10日(日)16:15~16:45

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2013年10月25日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


被災地復興の現在と問題点
立谷秀清
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●風評被害の原因と実態
立谷秀清

内部・外部被ばくに対する安全値が示されていないことは、風評被害の大きな原因の一つである。国が示した基準は、1)避難の目安とした空間線量20ミリ シーベルト、2)追加外部被ばくにおいて学校での追加被ばく線量が年間1ミリを下回ること、3)長期的には追加被ばく線量も1ミリ以下を目指すこと、の三 点である。2)に対して3)は「将来的には」と考えないと理屈に合わない。ならば、現時点ではどうかと言うとその許容値は示されていない。「長期的」の期 間も示されていない。

除染など住民の被ばく環境改善のためには数値目標の設定が必要なので、相馬市は独自の基準を決めて対策の目安とした。現時点で、学校での追加被ばく1ミリ 以下を許容するなら全生活ではいくらまでか?という議論になったが、取りあえずの数値としてガラスバッジ検査での年間被ばくを、年間2ミリを許容範囲とし た。さらに子どもたちの検査の正確性を考慮し0.8を乗じて1.6ミリを相馬市独自の基準値として除染や生活指導の優先順位を決めた。もちろん、内部被ば くについては不検出を基準とした。2011年の暮れの検査では1.6ミリ以上の子どもは4000人中81人。これらのケースについては徹底して対策を講じ 2012年は16人。さらに対策の精度を上げ、2013年の今日では1.6ミリを超える子どもは皆無となった。またホールボディカウンターによる内部被ば く検査の結果は、相馬市での子どもの内部被ばく検出者は0である。

ところが一般には追加被ばくの長期的目標である1ミリ以下を、危険を回避できる限界値と考える傾向がある。「長期的にとか将来的に」という観点が抜け落ち てしまうのだ。そもそも追加被ばくの許容値を1ミリまで下げる必要があるのかどうか?潔癖に過ぎて要らぬ混乱を招いてはいないだろうか? もちろん追加被 ばく線量も空間線量も低いに越したことはないが、ウェザリング効果なども期待できることから、5年とか10年とかというスパンで考えるべきである。特に福 島県内居住者にこそ納得がいく説明をしなければならない。風評被害を防ぐためには、内部から安心する必要があるからだ。

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