医療ガバナンス学会 (2014年5月8日 06:00)
この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。
http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html
南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
内容としては今までご紹介してきたこと、相馬市の外部被曝、内部被曝について、なぜセシウムを測っているのか、検出限界についてなどです。
《参考》
《109》 今の被曝に対してやるべきこと http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014042100005.html
《88》 相馬市の空間線量は西日本と大差なくなった http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013111400010.html
《104》 セシウムだけ測っていれば大丈夫なのか? http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014031000008.html
《76》 検出限界はすでに十分低い http://apital.asahi.com/article/fukushima/2013081900002.html
同様のことはこの時期、研修関連でお話しする機会が多くあります。南相馬市役所の職員さん全員に向けて、また市立病院の新入職員、母子愛育会の方々らを対象に、少しでも現状が伝わればと進めています。
反応は様々です。慎重に知識の確認をされている方、「そうだよな」という感じで頷かれる方、興味ないといった感じで直ぐに寝てしまう方、疑心暗鬼な目でずっとこちらを見られている方。本当に、いろいろな方がいます。
高校生に対して行っているのと同じチェックテストを話す前にしています。もちろん、高校生のような正答率では無いですが、自然と人工の放射線は影響が全く 異なるとおっしゃる方(もちろんそうではありません)や、外部被曝と内部被曝の区別がついていない方なども一部いらっしゃいます。
話をしていて、放射線の概念的なことより現在の実測の値(身体でも、食べ物でも)について、やや浸透度が低いように感じます。100mSvでのリスクみた いなものは何となく聞いたことがあるが、それを越えて今の実測の値はどの程度かということです。ホールボディーカウンター(WBC)でほとんど全員が検出 限界値以下(ND)、ガラスバッジで年間1mSv追加被曝がある子供は、相馬では既に数%以下に限られています。お米の全袋検査や水の検査も行われていま す。相双漁協での試験操業データなどもあります。100mSvや10mSvというレベルではなく、ほとんどの人は数mSv/年すら持ち出すレベルでさえ無 いことは、もっと地元の方が自分で説明できるように伝わるとよいのではないかと感じました。
市役所の職員さんはもちろんですが、医療スタッフ、地元の勤務医や開業医の先生、学校の先生、保健師さんや介護士さんなど、健康に関する領域で働いていたり、子供達に接したりされる方々としっかり情報を共有していきたいですね。
今回のように、相双でも色々な場所で、勉強会や研修会が開催されるようになっています。今年度は、学校の先生方の有志や、地元の医師会の先生も含めて放射 線に関する勉強会を立ち上げる計画が進んでいます。放射線のことも含めて、健康問題を互いに議論し合う場が少しずつ増えてきています。私もできる範囲でお 手伝いできればと思っています。
写真:相馬市の職員研修にて
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http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014042800016.html