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Vol.109 内部被曝通信 福島・浜通りから~必要な情報が届かない人がいる

医療ガバナンス学会 (2014年5月12日 06:00)


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この原稿は朝日新聞の医療サイト「アピタル」より転載です。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

南相馬市立総合病院
非常勤内科医 坪倉 正治
2014年5月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


ひらた中央病院の外来に先日、町の保健センターから、ある方が紹介されてきました。3人の子供を持つ30代のお母さんです。放射線のことが不安で、話が聞きたいといっていらっしゃいました。

これだけだといつもと変わりない話なのですが、そのお母さんの日本語がやや片言だったのです。通常の会話は日本語で大丈夫ですが、少し込み入った専門用語などになると、厳しくなります。日本の男性と結婚して、10年前ぐらいに日本にやってきた東南アジアの方でした。

話す内容や質問される内容は、これまでいろんなところで受けてきたのと同様のものでした。こちらも片言の英語を使いながら、ゆっくり情報共有をしていきま す。ご家族はBabyscanとFastscanを使った内部被曝検査をそれぞれ行い、特段の検出があったわけではありません。食べ物からの内部被曝のこ と、現在の食生活を特に心配しなくて良いこと、そして外部被曝のことなども話をしました。「3年経って、今日初めて放射線の話を聞いた」とおっしゃってい ました。

これまでも何度か、同じような体験をしたことがあります。もちろん英語での情報も探せばいくらでもあるのですが、海外の方(というくくり方は失礼かもしれ ませんけれど)には情報が届きづらく、得ようとしても日本語の壁が高くて、このアクセスの問題から、必要な情報が届かないままの方がいらっしゃるのを感じ ます。何か偏った情報だけ知っているというより、何の情報も無いという印象を受けます。

放射線に関する情報共有が家庭内でうまくいっていない様子でした。不安が募って、どうすればよいか分からないという状態で、町役場に相談に行ったところ、 ひらた中央病院の外来を紹介されていらしたようでした。検査をしてその説明を一つずつという形で浜通り、中通りの市町村から直接ご紹介いただく例は少しず つ増えてきています。

もちろん、行政の相談窓口や医療関係の外来は他にも存在します。今回はたまたま紹介によって、こちらに来ていただけたと思います。行政や医療はリソースが限られているだけでなく、はたまた誰が対応すべきかという問題がありますが、続けなければならない仕事です。

東京オリンピックの開催も決まりましたし、海外に向けた発信はより重要になってきています。先日、福島高校の生徒3人が早野先生の引率でCERNを訪問 し、日本の状況を発表してきたというニュースがありました。6年後、もっと多くの子供たちが勉強して自分の言葉で海外にも発信できるようになって欲しいと 思います。

写真:先日、ラジオ福島で大和田新さんに紹介いただき、「月曜Monday夜はこれから!」に出演してきました。私もお手伝いさせていただいている「ふく しま学びのネットワーク」( http://www.fks-manabi.net/ )のセミナーの紹介をさせていただきました。
5月31日に高校生対象の勉強法セミナーがあります。

http://apital.asahi.com/article/fukushima/2014050700003.html

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