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Vol.001 新年を迎えるにあたって

医療ガバナンス学会 (2015年1月1日 06:00)


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上 昌広(MRIC編集長)

 

2015年1月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


謹賀新年。謹んで新年のお慶びを申し上げます。
2004年1月12日にMRICの最初の文章を配信してから、今年で11年目になります。皆様のお陰で何とか配信を続けることが出来ています。

昨年12月、MRICを配信する母体である医療ガバナンス学会への御支援を、MRICでお願い致しましたところ、約110万円の募金を頂くことが出来ました。この場をお借りして御礼申し上げます。今後も、我が国の医療・教育をよくするため、地道に活動を続けていく所存です。御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

さて、今年はどういう年になりますでしょうか。
私は、医療のあり方を見直す年になると考えています。例えば、「国民皆保険」です。
従来、我が国では、病気になれば、誰もが病院を受診し、必要な医療を受けることが出来ました。「国民皆保険」のお陰です。「国民皆保険」は我が国の宝です。何とかして、次の世代に引き継がねばなりません。

ただ、現状のままでは、「国民皆保険」は早晩、崩壊すると考えています。我が国の医療費が急加しているからです。厚労省は平成23年度の国民医療費が39兆2117億円と発表しました。対前年比6267億円、1.6%の増加です。我が国の経済成長のスピードを上回っています。
これまで、我が国の「国民皆保険」が維持できたのは、医療費が足りなくなったら、赤字国債で埋め合わせてきたためです。これは、次世代にツケを回しているに過ぎません。これは、いつまでも続きませんし、子孫の代にツケを回すことは、まともな大人のすることではありません。
我が国の医療を持続可能にするためには、負担と給付のバランスを議論しなければなりません。おそらく、混合診療の緩和とセットでの議論になるでしょう。実は、これこそ安倍政権の方向性です。私は、安倍政権は医療費の圧縮に熱心政権だと考えています。その根拠は、診療報酬改定です。平成26年度の改定では、プラス0.1%と説明されましたが、消費税が増税され、医療機関は存在問題を抱えるため、実質はマイナス1.26%の大幅なマイナス改定でした。

平成25年度の税収は約47兆円。当初の見積もりを1.6兆円上回りました。「アベノミクスの成功」により税収は伸びましたが、医療費は抑えたことになります。極めて現実的な対応です。これと対照的だったのが、民主党への政権交代後の平成22年の診療報酬改訂です。全体でプラス0.19%、金額にして700億円相当を引き上げました。実に10年ぶりのプラス改定でした。
注意すべきは、このときはリーマンショック直後で、税収が大幅に落ち込んでいたことです。平成21年度の税収は38.7兆円に過ぎません。この中で、民主党政権は、医療に重点的に予算をあてがい、多くの雇用を産みだしたと言われています。もっとも、民主党政権でも二回目の診療報酬改訂では、このような大盤振る舞いは出来ませんでした。

政治的な力量は兎も角として、安倍政権と民主党政権の医療に対するスタンスは大きく異なりますし、公的医療費の抑制は、我が国の基本的な方針になるでしょう。では、どうするか。誰が、どのようなプロセスで、どの医療について、どの程度負担するか、今こそオープンな議論が必要になります。MRICでは、具体的な問題について、色んな立場の方々の御寄稿をお待ちしています。

医療費と並ぶ、もう一つのテーマが医療界の自律です。昨年は、多くの臨床研究不正が表面化しました。未だに真相は解明されず、関係者が責任をとったとも言えません。医療界は、社会の信頼を失いました。
おそらく、一連の不祥事は今後の医療に大きく影響するでしょう。丁度、90年代から2000年代にかけての金融・証券業界の不祥事が、業界再編へと繋がったような変化が医療界にも生じると考えています。その間、一部の人々は刑事責任を問われ、多くの関係者が既得権を失いました。
一体、医療界は、どのように再生していくでしょうか。私は、関係者が地道な努力の積み重ねるしかないと思います。

MRICでも何度も配信させて頂きましたが、東日本大震災以降、福島県浜通りの医療は少しずつですが、発展しています。南相馬市立総合病院は、震災前の医師数が14名。震災後には4名に減りましたが、今春には30名に達すると言われています。関係者の地道な努力の賜です。同じような地道な作業が、医療界には求められています。

もう一つ重要なのは、社会との関わりです。医療界・科学界は、これまであまりにも内向きの議論に終始してきたと感じています。医療や研究を支えているのは、国民が支払う税金や保険料です。社会の支持なくしては、医療も科学もなりたちません。
今年のMRICでは、出来るだけ多くの「現場での試行錯誤」をご紹介させて頂きたいと考えています。寄稿者の肩書きは問いません。少しでも、この国をよくしたいと考え、実際に行動されている方がおられましたら、是非、御寄稿頂きますようお願い申し上げます。

最後になりますが、皆様の益々のご活躍を祈念して、年始の挨拶に代えさせて頂きます。本年も、宜しくお願い申し上げます。

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