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臨時 vol 126 「医療再生のための工程表」

医療ガバナンス学会 (2008年9月17日 11:52)


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                  虎の門病院 泌尿器科 小松秀樹


1)安全対策:現在の医療機能評価機構による医療事故報告制度を主体とする。匿名化した情報を元に安全対策を考える。
2)医療費の増額と配分の見直し:医療費を増額する。同時に、限られた資源の有効活用のために、配分決定方式を見直す。原則として、難易度やリスク、責任の大きさに応じた配分とする。
3)患者理解支援制度:メディエーターが主役となる。患者・家族の感情面を慰撫し、冷静に事態に向きあえるようになることを支援する。必要に応じて事故ごとに調査チームを結成する。患者・家族、あるいは、病院の依頼で活動を開始する。調査では事実を明らかにするだけで、評価をしない。調査チームが複数になることも可。
4)医師法21条の廃止
5)医師を代表する公益団体設立:公益法人制度改革を利用して、日本医師会を開業医の利益団体、勤務医の利益団体、医師を代表する公益団体に三分割する。重要なのは医療問題に対応できる医師を真に代表する専門職団体である。この団体は公益を目的として、私益を主張しない。厚労省のチェック機関としての機能を充実させる。研究者のために生の統計情報を集めて提供する。
6)厚労省改革:政策の根拠を規範ではなく、実情認識にする。
7)病院と専門職団体による医療の質保証:個別の診療行為の質向上を学会だけに任せず、病院団体も実施する。事故そのものを医師の処分の入り口としない。倫理的に不適切な行為、能力不足に対し、適性審査をする。適性審査は、一元的ではなく、複数の制度と複数の主体が互いにチェックしつつ関わるようにすべき
である。
8)司法への医療側からの情報提供:現場で医療を引き受けている保守本流の医師が責任をもって鑑定を引き受ける。これによって司法における医学的判断をコントロールする。
9)無過失補償制度:過失の有無を争わず、一定の条件に当てはまる事故に対し迅速に補償する。
10)医療契約の明確化:保険診療に関しては、医事紛争処理方法を無過失補償に限定する。民法709条による紛争解決を制限せずに、無過失補償制度を創設すると民事訴訟が多発する。産科の無過失補償の推移が今後に影響する。
11)刑法211条の見直し
●実施の順序
1)は今までどおりでよい。2)3)4)は今の流れのままでも実現可能かもしれないが、政権の組み換えがある方がやりやすい。5)は再生のかなめであり3年以内に達成。これは大きく流れを変える。6)7)は5)が前提。9)10)はセット。11)は航空運輸、鉄道、発電、化学工業など他の分野を巻き込む必要がある。刑法211条を正面から議論する。現時点で医療問題にかかわっているステークホルダーが、すべて入れ替わった後に結論出すことが望ましい。

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