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Vol.046 医療事故調検討会、最終合意に至らず

医療ガバナンス学会 (2015年3月10日 06:00)


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この原稿は医法協ニュース3月号より転載です。

日本医療法人協会常務理事
小田原良治

2015年03月10日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


医療事故調査制度は、10月の制度施行に向けて山場にさしかかっている。同制度の詳細を決めるべく、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で運用ガイドライン作成のための論点整理が行われて来た。WHOドラフトガイドラインに準拠すべきことや医療安全の仕組みであることが同制度に関する厚労省Q&Aにも示され、医療安全のための前向きな制度としてスタートできる素地が整ってきたことは歓迎すべきことである。厚労省担当部局の熱意と理解に敬意を表するものである。

しかしながら、2月25日開催の検討会最終回にとんでもない問題が発生した。医療紛争活動家らの行動に押された塩崎恭久厚労大臣が直接、異例の介入を行ったのである。合意目前であった検討会は混乱してとりまとめに向けた結論が出ず、さらに検討を重ねることとなった。一部構成員の無理解・不勉強に加え、合意直前の厚労大臣の介入、一部医療関係者の不審な行動、これらにより医療事故調査制度は一気に流動化してきている。最悪の場合、同制度のボイコットも含めて今後の方針を考える必要があろう。医療事故調査制度問題は長年混乱を極めてきた。混乱の発端となった医師法第21条の解釈も今回、厚労省により「外表異状」と明確に整理された。これで、同制度が純粋に医療安全の制度としてスタートできれば、わが国の医療安全は飛躍的に高まるところであったが、再び暗雲に覆われてきた。医療紛争活動家はもちろん、それを取り巻く法律家、一部医療者に猛省を促したい。

医療事故調査制度の論議原点でもあり、混乱の発端となった東京都立広尾病院事件については再検証すべきであろう。刑事事件としての都立広尾病院訴訟は、医師法第21条を巡り医療崩壊の引き金を引いたが、今回「外表異状」で一定の解決に至った。一方、損害賠償請求訴訟としての都立広尾病院事件訴訟判決は事件の経過を克明に記載している。マスコミなどが喧伝するような「隠蔽」が行われたのか、検証する必要があろう。

医療事故調査制度はこれから始まるのである。過去の間違った認識を新制度に持ち込んではならない。今から少しずつ、慎重に歩み始めなければならないのである。一度、問題が発生すると、同制度そのものが機能停止に陥るばかりではなく、医療制度そのものを破壊しかねない危険性をはらんでいるのである。運用面にむけるきめ細かな目配りが必要である。

当協会も今後とも、この分野のリーダーとして医療現場を守って行かなければならない。

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