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vol 17 すずかん通信 「世界で見直される漢方医療更なる普及と発展を!」

医療ガバナンス学会 (2008年9月10日 11:54)


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                       鈴木寛(通称すずかん)



わが国で1400年以上の歴史を有する「漢方医学」は今、西洋医学で対処できない症状への手段として、欧米各国でも評価が高まっています。WHO(世界保健機関)では、漢方ほか伝統医学用語の国際標準化作業も行われています。
日本でも、平成13年から大学医学部で漢方教育の導入が奨励され、平成16年には80大学全てで漢方医学講義が始まりました。特筆すべきは山口大学の授業数67コマ、富山大46コマ、産業医大45コマなど。67大学の附属病院には漢方外来も設置されています。
漢方薬を治療に使用している医師は30年前には19%だったのが、昨年の調査では72・4%と大幅に増加しています。また、薬剤師の国家試験では和漢薬について必ず出題されますが、私は医師国家試験についても、漢方などの統合医療を出題科目に盛り込むべく、四、五年前から国会などでも働きかけてきました。
そしてこのたび、私は民主党「統合医療を普及・促進する議員の会」の「漢方医療小委員会」委員長を務めさせていただくこととなりました。漢方医療の重要性に鑑み、国民の健康増進につながる提言を行っていく考えです。
早急に克服すべき問題は、すでに山積しています。
まず、原料確保の問題。現在は原料生薬の85%が中国からの輸入。ところが諸外国からの需要増や四川地震などにより、調達見通しは楽観的とはいえません。人民元高もあって輸入価格も高騰しており、国内自給率の引き上げが急務となっています。生薬栽培は、高収益を安定的に望め、たばこ・米からの転作促進や農業振興策としても有効です。
次に薬価問題。化学合成薬同様、漢方製剤も2年ごとに自動的に薬価が引き下げられます。しかし製造設備などの償却額が少ない生薬では、薬価改訂により原価割れも起こりかねず、必需薬が製造中止に追い込まれる恐れも。
また、漢方医療の更なる普及と発展には、根拠となるEBM(根拠に基づいた医療)の確立も急務です。全国各大学から漢方医療拠点施設を選び、現在は年間1億9千万円(米国の100分の1)の関連科学研究費を大幅に増額し、重点配分するなど、思い切った奨励政策も必要となるでしょう。
著者紹介
鈴木寛(通称すずかん)
現場からの医療改革推進協議会事務総長、
中央大学公共政策研究科客員教授、参議院議員
1964年生まれ。慶應義塾大学SFC環境情報学部助教授などを経て、現職。
教育や医療など社会サービスに関する公共政策の構築がライフワーク。

 
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