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Vol.060 妊婦体験しながら世界一周の旅 ~中国、ベトナム、カンボジアの報告~

医療ガバナンス学会 (2015年3月30日 06:00)


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北海道大学医学部医学科4年
箱山昂汰

2015年3月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現在、私は大学を休学し、妊婦体験をしながら世界一周の旅をしている。この旅を通して、世界の人々、とりわけ男性に妊婦体験をしてもらい、妊娠や出産、子育てに関して考えるきっかけを提供したい。そのため、訪問国それぞれで意図を伝える手段を準備する期間も必要であるし、そもそも状況的に難しい場合もあるため、厳密に言うと常には妊婦体験をしていない。ただ自分をいじめるためではなく、啓蒙活動の意味を込めた旅をしている。
私の世界一周の旅はおよそ400日間を予定している。記事を執筆している時点で、ちょうど1ヶ月が経過した。これまでに中国、ベトナム、カンボジアという3か国を訪問し、81人に妊婦体験をしていただいた。それぞれの国ごとにどのようなことを感じたのか、まとめていきたい。

http://expres.umin.jp/mric/hakoyama1_20150330.pdf

【中国】妊婦体験をしていただいた人数 0人
世界一周スタートの地は香港であった。私が訪れた時期はちょうど春節(旧正月)で、中国の人にとってはこちらの方が大事なお正月だ。宿代も高く、交通機関も大変混雑していた。沢木耕太郎著の「深夜特急」を読むのが好きなので、香港は憧れの土地であったのだか、それにも関わらず物価の安い場所を求めて中国本土へすぐに移動してしまった。
思い返すと、中国では旅をしていたというより移動をしていたと表現する方が近い。どこか居心地の良い場所を求めて、西へ西へとすぐに汽車に乗って移動してしまった。母子保健活動もこの国では少しも上手く行かなかった。それは間違いなく下調べや準備を怠った結果だと思う。国境の街に着くころになって、中国の多くの魅力に気づいた。ご飯がとても美味しいし、中国の人のどこか人間臭い感じは一緒にいると不思議と心地良い。日本人の私から見ると欲求に忠実な気がする。子供たちも元気抜群で、折り紙を折ったりマジックを披露したりして一緒に遊んだ。もう少し長く滞在できたら良かったと、今は思う。

【ベトナム】妊婦体験をしていただいた人数 30人
中国での反省を活かし、ひとまずハノイで腰をすえて活動の準備をすることにした。具体的には現地語でフリップを作成することや、どういった人にアプローチすればいいか、どのような通りに行けば話を聞いてもらいやすいかを調べた。そして、出発から11日目にして初めて、現地の人に妊婦体験をしてもらえた。私の伝えたいメッセージも最低限は伝えることができたと思う。一度成功すると後はとんとん拍子に活動が進んだ。妊婦体験を一人がすると周りの取り巻きの人も大盛り上がりになって、写真を撮りあったりしていた。この出来事を少しでも頭の隅に置いていてくれたら、私の活動に意味があったと思える。
余談だが、ハノイでフォーを食べると必ず美味しい。露店のフォーにもレストランのフォーにもそれぞれに違う魅力がある。1杯35000ドン(175円)くらいで食べることができ、フォー屋さんを梯子したこともあった。それくらいに美味しくて私は好きだ。
ハノイの次にはベトナム中部の都市、フエやホイアンを訪れた。これらの街でも同様に活動をすることができた。やはり、外国人慣れをしている観光地の方がより話を聞いてもらえる。特にホイアンは街並みが世界遺産に登録されており、どこか日本の田舎街を思い起こさせるような雰囲気で、夜にはきれいな提灯がいくつも灯る。古くは朱印船貿易の寄港地にもなった街で、日本や中国、フランスの文化を絶妙にミックスした街なのだ。景色や雰囲気はまさに「年中夏休み」。和服姿に妊婦体験ジャケットという不思議な取り合わせで街を出歩くと、多くの方が僕の提案に応じてくれた。素敵な思い出ばかりの大好きな街である。

http://expres.umin.jp/mric/hakoyama2_20150330.pdf

南部の都市サイゴンでは、泊まったゲストハウスがとても面白かった。ピザ屋さんの上にあるドミトリーで、1泊5ドルであったが、愉快な人たちが沢山いた。ブラジル人の医学生もいたし、日本とベトナムのハーフの女の子もいた。その女の子は西野カナのラブソングの練習をしていて、日本語の先生として練習に付き合ったりもした。ちょっとかわいい子であった。
ビザの関係で2週間の滞在であったが、多くの思い出ができた。また会いに行きたい人もたくさんできて本当にベトナムが大好きになった。活動自体は基本的なことはできるようになったが、まだまだ改善の余地がある。次の国で更なるブラッシュアップをすることを誓った。

【カンボジア】妊婦体験をしていただいた人数 51人(現在活動中)
プノンペンに到着した時、どこか危険な匂いのする街だと思った。街の人もどこかよそよそしい。到着した次の日には、イカサマ賭博に関連した詐欺にひっかかりそうになった。街で見ず知らずの人に声をかけられ、信用してついて行くと家の中に連れていかれる。そこで、バカラというカジノのゲームを教えられる。バカラでイカサマをして他の外国人からお金を巻き上げようと提案してくるのだが、途中で気づくと自分のお金が無くなっている、というものらしい。私は途中で逃げることができ事なきを得たが、日本人が良く被害に遭っているとのことだった。
ポル・ポト率いるクメール・ルージュの行った大量虐殺の歴史を伝える、Killing FieldやGenocide Museumにも訪れた。想像を絶するような歴史がこの国にはあるということを知った。そして、自らの活動をこの国では特に頑張りたいと思った。産まれてくる新たな命がその国を創っていく。その命がより望まれてより良い環境に暮らすため、私の活動を通して力になりたい。この国では100人に妊婦体験をしてもらうのが目標だ。
プノンペンでは、日頃からお世話になっている日本の母子保健NGO、JOICFP(ジョイセフ)にRHAC(Reproductive Health Association of Cambodia)のDr. Veth Srengをご紹介していただいた。Sreng先生の母子保健活動にご同行させていただき、農村部での家族計画に関するレクチャーや、カラオケボックスなどで働いている女性たちのようなEntertainment Workerの人たちへの妊娠や中絶、避妊に関するレクチャーの様子を見学させていただいた。国際保健を志す私にとって、そこはまさに夢の舞台であった。Sreng先生のような人になりたいと強く想い、公衆衛生の専門家になることを志すようになった。

http://expres.umin.jp/mric/hakoyama3_20150330.pdf

プノンペンの道を妊婦体験しながら歩くうちに、少しずつそこに住む人たちのことを知っていくことができた。少しよそよしく、いきなり話しかけていくのは難しいけれど、一度話を始めると心暖かな人が多い印象だ。子供たちの目もすごくきらきらしていた。明日にはこの街を離れてシェムリアップへと向かうが、一週間滞在する中で、この街を好きになっていることに気付いた。

「妊婦体験をしてもらう」という独特なコミュニケーションの切り口から世界に住む人々と交流をしていくと、世界の見え方が全く違ったものになる。活動をした場所全てに、思い返すだけでニヤニヤしてしまうような思い出があり、その土地や人を好きになれた。このまま旅を続ければ、きっと世界中のことを好きになっているだろう。母子保健をテーマにこれからも旅を続けていく。私から伝えられることは伝えて、何より、世界の人々から多くのことを教えて貰っていきたいと思う。

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