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臨時 vol 70 中島年博「シルクロードからの手紙」その2

医療ガバナンス学会 (2008年5月22日 12:59)


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   ―  「ハーティースマイル」 シルクロードプロジェクト  ―
      中央アジアの子供たちのリウマチ熱とその後遺症である心突然死の撲滅キャンペーン
              キルギス共和国・国家顧問
              「シルクロードの健康的な未来を考える会」
              代表   中島  年博


 前回お伝えしたように、本来、リウマチ熱という治療可能な疾患によるであるにもかかわらずキルギス共和国だけでも年間数千人の子供たちの幼い命が失われていること。さらに成人後の突然死。これらは人として親として同時期を生きる隣人として見過ごせないことは自明のことです。現状を放置することにより今後、数十年に亘り労働人口の突然死がますます増加します。換言すれば、本プロジェクトにより今なんらかの方策を講じることにより将来的に多くの人々の個々の生命を救い、さらに社会・国家としての安寧をもたらし得るのです。すなわち、非常にレバレッジが効いています(本プロジェクトによるリウマチ熱制圧に向けた具体的な推定値を以下に示します。)さらに、今、リウマチ熱から子供たちを救うことにより20年後、30年後の労働者人口の突然死を未然に防げるという点で、その費用対効果の観点からも優れています。いったんリウマチ熱が発症してしまうとガンマグロブリンなどの大量療法、若しくは心臓移植など非常に高価な治療を要することになります。さらに労働者人口の突然の喪失という計り知れない損失をわずか1日当たり100円程度のペニシリンに代表される抗生物質の二週間の効果的な投与により未然に防ぐことが可能となるのです。
そのアプローチとして、今回、親友の柳沢氏、川村御夫妻の発案により、リボンマグネットを活用した「ファンドレイズ」モデルを採用しました。この方法により、予算以上の社会貢献が可能となったのです。すなわち、リボン一本の販売により、本プロジェクトの活動資金として約500円が充当されることになり、初期投資と遜色ない費用対効果が見込まれ、さらに、リボンマグネットそのものを情報の発信源とした啓蒙効果はさらにレベレッジの効いたものとなることが期待されます。
<a href=”http://mric.tanaka.md/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88.pdf”>ダウンロードしたファイル</a>
本プロジェクトの発端となった愛・地球博では、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタンという互いに共通点を有しつつも利害が対立する中央アジア4ヶ国が、「シルクロードの復活」という旗のもとに国の枠を超えて協力し合い、21世紀社会へのシルクロードの持つ文化的役割を提言しました。
加えて、我々の医学的・食文化的実地調査により中央アジアのもつ固有の食文化、すなわち乳製品の多食こそがリウマチ熱の原因である溶連菌感染を制御していた可能性が示唆されました。これらの点から鑑みると、かつて東西を結びつけた文化の交流の道は、近代化がはじまって以来20世紀まで歴史に埋没してきたが、そうした歴史とは裏腹に、シルクロードの人々と営みには強い生命力があることが伺われます。すなわち、そこでのライフスタイルやそれを支える価値観は、工業化社会が切り捨ててきた「命の論理」に充ちており、西欧型の文化とは異質の要素を多く残していることがわかります。それらは人々への思いやり、文化や宗教への寛容性、共生的な自然との関係などなどです。21世紀は、自然破壊、貧困、生命の軽視、さらには「文明の衝突」の激化など不幸に彩られてスタートしています。シルクロードの保有する文化はこうした近代化固有の「不幸」に対峙する大きな資産であり、愛・地球博に始まったイベントは一過性に終わらせるべきではありません。現代社会の閉塞、病理に向けEXPO精神の伝承こそが重要であり、シルクロード文化との日常的な絶え間ない交流が、文化的なパラダイムの変化を探り始めた西欧・日本ばかりか、近代化を追い求めるシルクロード諸国にとっても、ますます必要となってきていることは明白です。ソビエト連邦崩壊後10数年を経た現在の中央アジア諸国を取り巻く環境は、第二次世界大戦後の高度経済成長期、若しくは明治維新を迎えたわが国と類似した状況下にあります。当時のわが国では肺結核が死の病として恐れられ、医療に留まらず経済・社会的に大きな影を落としていました。同じように、現在の中央アジア諸国では、労働人口の心突然死が脅威となっているのです。これまで、それは単に高地に居住していること、肉食・アルコールを好むなど変えようのない嗜好性、若しくは長年の彼ら固有の文化に起因すると見做され”発展途上”であることに帰結されていました。しかしながら、われわれの二次訪問調査で、容易に予防し得るリウマチ熱がその根底にあることを明らかとしたことにより、この社問題の解決の糸口が見えたといっても過言ではないと思います。これを基盤としている本プロジェクトの遂行は当該地域にとって社会・政治学的に非常に重要な解決策となり、中央アジア諸国のすべての人々に何らかの福音をもたらすことが期待されています。プロジェクトリーダー私、中島がキルギス共和国の国家顧問として任命されたことは、その重要性をうかがえるものです。さらに、少なくとも乳製品とリウマチ熱との関連は当該地域に根ざした文化の尊厳を再喚起するものであり彼の人々だけでなく21世紀に生きる我々に新しい視座を授けるものとなると考えています。
さらに、この問題はわが国にとってアジアの一員としての一方向的な人道的責務だけでしょうか?現在わが国が直面している問題、すなわち超高齢化社会に対して政府の掲げる”健やかに生きる”ことを阻む代表的疾患群である関節・運動器疾患、心・血管障害、腎不全、中枢神経障害は、リウマチ熱と共通する部分があります。したがって、健やかに生きることを阻む疾患群のプロトタイプとしてリウマチ熱を捉え直すのであれば、学術的にも極めて有益な展開が可能であると考えています。また、ボーダレス・グローバルな現代社会の中で、中央アジア諸国における溶連菌感染の蔓延と”誤った”抗生物質による治療法は、いつ強毒性もしくは抗生物質耐性菌のパンデミックな発生を許すものであるかも知れません。さらに、私(中島)を含め現在のわが国の現役の医療関係者のほとんどはリウマチ熱患児を診察したことがありません。この事実もわが国の保健政策上も緊急に双方向的交流が必要とされる根拠です。
最後に、
プロジェクト遂行に必要なリボンの作成、医学的方法論、技術、さらに情報発信のノウハウなどは十分に準備できています。また、本プロジェクトは前述したようにリウマチ熱予防の目に見える成果を確認するまでには年単位での短期的期間で十分です。しかし、最終的な結果確認までは数十年の歳月を要することになります。”時間”というスケールで考えるならば、根気のいる地道なプロジェクトです。私たちがコアメンバーがライフワークとしてどこまで熱意・志を保持できるのか?また、一人でも多くの共感してくれる”同志”を見出し、社会的ムーブメントとして高め維持・定着できるのかがこの活動の限界を決定します。今秋には第三次訪問・調査団を募る予定です。少しでも興味のある方は、是非下記に
メール下さい。
nakasix「あっと」n06.itscom.net
(「あっと」を@にしてください)
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