医療ガバナンス学会 (2009年4月5日 13:41)
図9 http://medg.jp/mt/
「社会システム・デザイン」
ころから説明します。Payer, Patient, Providerの三者間に価格対価値に直接関
係するようなやりとりがないことから来る自己規律が欠如している
な課題であると思います。
応が出来ていないだけでなく、
ように考えられます。
実際に、Payer、Patient、Provider、
循環というのを、色々拾ってみているわけですが、
者の間に発生しています。
一層、医師が減っていくという悪循環はよく知られています。
他の多くの問題も悪循環という形で整理することが可能です。
例えば医療事故を捉えてみると、
いるかという問題があります。
ことながら患者が生き返って来るとは思っていません。
謝って欲しいというような素朴な感情に十分答えてもらえない不満
ちこみ、状況を一層こじれさせていくということです。
原告と被告という関係ではことがうまく進みません。
るのだったら出来る限り被告側である医者および病院は自己防御を
に謝るわけには行きません。そうすると、
側はたとえ勝訴しても医師がちゃんと反省してくれていないと思っ
他の手がないから司法によるもっと強い制裁を求めてしまうという
ています。
図10 http://medg.jp/mt/
それから、「国民医療費」という発想とその増大を押さえ込む、
ストを下げていこうという厚労省の努力が、
実は結局、コスト高になるという悪循環があります。
図11 http://medg.jp/mt/
同じく、厚労省も医療改革をやろうとするのだけど、
員会という現場感覚の欠けた委員を集めた委員会を設置して色々委
伺うのですが、
と思われます。
図12 http://medg.jp/mt/
委員に選ばれる「有識者」というのは多くの場合、
て無知なように思います。「有識者」の意見を新聞で読んで、
いなといつも思います。例えば、
ますが、「有識者」
毎日、考えているわけではないでしょう。同じく、「有識者」
ているのかというと、それほど知っていないわけです。
員会を作るわけです。現場感覚の無いものが出来ていきます。
実施されると、現場は煩雑さが増して一層忙しくなるわけです。
します。どんなに優秀な医師であっても、
ミスする確率は高いはずです。
マスコミというのは、物事のエコノミクス、すなわち、
ということは関心がないのか、あまり勉強していないようです。
軸を短くする傾向があります。
起こりそうに言うきらいがあります。
要するにマスコミの好みというものがあるということです。
それだけではなく、
ようにマスコミもやはり無知です。それに、
ません。
そうすると、医師全体の批判になっていきがちです。
師との差が見えないのです。
反論する手段がありません。
われない気持ちが疲労感に繋がり、
そうすると、またメディアが取り上げます。
す。
図13 http://medg.jp/mt/
では、良循環は何かと言いますと、色々な考え方があります。
が、良循環は悪循環の裏返しではありません。
ちょっとユートピア的なことを私は考えています。
まず、貴方が「医者に会う時はすでに患者である」というのは、
があるのではないでしょうか。
れるけど、あの先生に最初、
たわけです。
ではないかと、
悪いのです。そういう関係が「患者」
れが、例えば、
しょうか。というわけで、「医師に会う時にはすでに患者」
いと思います。
患者ではなく、
はずはないのです。そのような状況が出来てくると、
というのはありえず、
なタイプの医師がいるのだという当たり前のことがわかる組み立て
かということです。
図14 http://medg.jp/mt/
少しユートピア的な良循環の発想なのですが、
トします。デザインですから何度でも繰り返して、
皆さんが「こんな馬鹿なこと出来ないよ、ありえないよ」
工夫します。ということで、今の所は馬鹿なことというか、
考えています。とはいえ、
やはり医師にもピンからキリまであるということもわかります。
リーが合う人も、そうではない人もいます。そして、
と自分の住んでいる近くにいるのだということが段々と分かってい
なことを組み立てられないかということです。
厚労省はある種の施策は導入するけど、
しています。インフォームド・コンセントとかセカンド・
すけど、そのために必要な医師のコミュニケーション・
いるのか。全然やっていないではないかということです。
における司法の介入のように、
ニケーション・スキルのないまま、
です。
この手術をすると、
たうえで、
があります。だから、インフォームド・コンセントやセカンド・
うことを言うのであれば、
ル・
厚労省の管轄ではなくて、文科省の管轄です。
文科省の「医療教育の10年像」とう報告書が出ていますから、
いです。メディカル・
す。だから、
はり困ります。
図15 http://medg.jp/mt/
特に、心の病気が体に影響するような時代に、
分、コミュニケーションであって、
分析医だけではなくて、
文科省にはそういう観点はないようです。でも、
訓練がされていれば医者対患者の関係がこじれてしまうことが少な
するとまたそのサブセットとして健康人と医師との対話関係がコミ
かかり付け医の役割を醸成し、
そうすると、勤務医の労働時間が減り、
環が出来ます。本当かと言われそうですが、
て組み立てるのだということです。
それから、
ます。日本人の人間関係の特徴として、
とお互い知っていると対応が丁寧になるというのはありますよね。
医と開業医がお互い知らないよりはちょっとでも知っていた方がい
知らない医師同士電話で話をするのはちょっとまずいのです。「
す」とよくいうように、
礼なのであり、
会的風習を考慮したうえで、
務医は顔見知りなる機会を増やすことを工夫します。
図16 http://medg.jp/mt/
このようにして、
な連携プレーが必要だと思います。最近では、「
医療システム」とかシステムという形で表現されているようです。
らのフォーマルなシステムだけで全部やろうというのは、
私は無理だと思います。
医療システム・デザインでは大変重要です。それが、
務医の時間の余裕が出来るという良循環が出来あがることになるの
システム・デザイン」
します。
このようなことです。
べた良循環に関しても、
ません。もし、
にデザイン・プロセスに参加して、自分の医療分野、
経験を通じて、
今の段階ではまだまだいくらでも多様なより効果的なデザイン出来
です。
まだ、第一ラウンドの作業が終わりかかっている段階であり、
三ラウンドをやりながら良循環とそれを支えるサブシステム群をも
造し、練り上げていく必要があります。ということですが、
ラウンドの最後のステップに今、いるわけです。
と良循環を駆動する「エンジン」
ン・ステップに落としてみる作業です。今、
システムをここで説明してみます。
図17 http://medg.jp/mt/
「医者と医者、医者と市民が出会い交流するシステム」
地域コミュニティ意識の希薄な日本の地方都市という文脈の中で考
特に、先程、松田さんの話にありました「健康都市」
うなところで何かできないかと考えています。
日本の都市に消えかかっているコミュニティ的なものを再生しよう
らといって、いまさら簡単に出来るわけではないのが現実です。
な連帯感を持つためには何かの取っ掛かりが必要です。
心事である健康というものを中核にしながら組み立てる方法が無い
論をしています。
らスタートすべきでしょう。例えば、
々な地域的人間関係を作っているわけです。
は自分の勤めている会社を「地縁社会」
と共にほぼ終わりかけて、
中だと思います。
川市であれば市川高校の同窓会が活用できるのではないのかと思っ
それから、「医療基金を収集・蓄積し運用・配分するシステム」、
医療「価値」に応じた価格設定をし、払える人にはその全額、
いうことでそれ以上払ってもらい、
使う「医療基金」としてプールするサブシステムです。
要するに膨大な財政赤字を抱えて貧乏な日本国政府は借金返済に当
たとえ、景気が多少回復して歳入が増えたとしても、
する方に回り、
ありません。従って、国の予算を当てにするのではなく、
としてプール出来るようにするということです。
らは高くいただくことによって基金を積み上げていきます。
人は完全無料にすることが可能になります。
のです。そういうことを十分議論しないで、
しょう
この基金はどれ位必要かといいますと、
いくということだろうと思います。現在、
年間5000億円はくだらないという試算もありますから不可能で
それでも運用益は現在の低金利の状況ではたいしたことはありませ
基金という性格ですが、
しょう。
三番目は「新たな公的機関によるADR等支援システム」です。
者が医療事故に対する司法介入のやり方の改善策として刑事裁判の
な紛争解決を図るべきだと考えていると思いますが、
ADR(Alternative Dispute Resolution)ということで出来て来るでしょう。す
でに地域ごとに草の根的に出来上がりつつあるようです。しかし、
律的に固めると本当にADRが機能するのかという大きな疑問がい
います。だから、
せん。それこそ、デザインなのです。それには何でも「お上」
医師自身が集団として自己規制をする仕組みを自発的に作るという
はないかと思います。
「官」と「民」という表現がありますが、それとは別に「公」
してあるはずです。あまりみんな気がついていないのですが、
展途上国であった日本は効率の観点から「公」を「官」
のところでしょう。しかし、
にたよることなく、自分で自己規律の仕組みを作る試みをする、
たちで「公」を確立する時代ではないでしょうか。
ろで出始めています。医師のようなプロフェショナルが率先して「
確立することをやるべきでしょう。ちなみに「日本医師会」
ろの「公」ではなく、
ありません。
それから、これら三つのサブシステムの他に、
える基盤としてだけではなく、
にも、
ムも別途必要であるかもしれません。
インフォームド・
解しながら納得感のある形でつたえるためにコミュニケーション能
る必要があります。しかし、
であり、医師は高度な訓練を受けているのだから、
についているはずだと考えているのか、
しかし、
身につけるべき重要なスキルなのです。
これまで述べたような、
それぞれ細かく具体的にどう行動すればいいかを示すステップを書
ます。
図18 図19 http://medg.jp/mt/
「こんなことを喋っているのを聞いていてもやはり虚しいよな。
引退した経営コンサルタントだろう、どれだけの力があるのだね」
われそうな感じがします。そのとおりかもしれません。だから、
テム・デザイナー」というのは、
政といわれる世界にいる官僚の中から視野が広く志があり、
少々「鈍感なタイプ」
デザイン」の訓練したうえで首相官邸に医療・健康システム・
置きます。マスターという立派な名前を付けまして、「
テム・デザイナー」
す。彼のアカウンタビリティの対象は消費者です。だから、
満足するようなシステムをデザインし実行すれば、日本中主婦が「
スター医療・健康システム・デザイナーなのよ」と言う位、
顔が知れている人になるだろうということです。
図20 http://medg.jp/mt/
大きな権限があるわけではなくて、
がいますから、
のです。オーバーライドする権限はありません。
がらも忍耐強く一生懸命やるだろうと思います。
見ているからです。そういうことなのです。
独立性を保つため、首相官邸に置きます。
なぜ民間人でなく官僚なのかと言いますと、
での細かい具体的な官僚の動かし方を知り尽くしているということ
いだろうということです。要するに、
志を変えてもらうということです。そのためには「社会システム・
いうことに関して、知識、技能、知恵の徹底訓練し、
覚を獲得させるということです。
言い換えれば、ことデザインに関しては「優秀なのに無能」
状況を抜け出し、「優秀でかつ有能」にするということです。
等の権限だが、違うのは「社会システム・デザイナー」
た新たな「社会システム」を組み立てる志を持っていることです。
重要なことは、
そして、まあ、
では、この後の彼らのキャリアは何ですかということですが、
テム・デザイン」と「社会システム・デザイナー」
課長クラスにしたら、「面白いです。やりたいです」
がある課長が「で、この後の私のキャリアはどうなるのですか?」
で、私は「ありません。
本中の主婦に顔が売れているのですから、
いいました。このように、国民に幅広く成果を問い、
てのキャリアは一旦完結するわけです。すなわち、この「
ナー」が官僚にとって次官志向でない多様なキャリア・
ことです。
以上です。どうもありがとうございました。
Q&A
Q会場(鈴木寛:民主党参議院議員)私は、
あの表に穴を埋めていきましょうということだと思います。
A(横山)私が5時間説明するのにかかると言ったのは、
10人位に説明したのに5時間かけたわけです。その時、
頭が良い人だなと思ったのですが、多少がっかりしたのは「
のかな」と言っていたことです。
うことを組み立てるということです。要するに、
なに差がないと皆思っているのですが、どちらが「超高齢化社会」
ステムで、実現性のある良いものを先に出したかということです。
をしてもらいたいというように私は思います。
Q会場(鈴木寛)そこも、
A(横山)ナチュラルな結果として、
ていただきたいです。
Q会場(国立大学工学部准教授)
こんなに明るい話をここで伺えるとは思っていませんでした。 実は、私は昨年
ビジネスチャンス発見というタイトルで確かここでお話ししたと思
実はやりたいことというのは、
はなくて、
なっていくようなそういう仕組みを作りたいなというのが一つのド
そういうことをやろうとする時に、
ですが、
らシヒ変数を見つけるということが結構本質なのかなと思います。
数かと言いますと、ステークホルダーというのは、
何か結ぶような新しいシヒ変数というものを見つけていくと、
ん変わっていきますけど、
作ると、
ションの結果分かったことかなと思います。
医科研の田中先生とかとコラボレーションさせていただいて、
うも、患者さんの発言はいくら堆積しても、
るような夢のあるサイクルというのはなかなか描けないような気が
しあります。ビジネスピープルであれば、
ていきそうなコンセプトが取れてかなり出てきます。
し、利益にも繋がっていきます。しかし、
しいです。実は、仰っているお医者さんが、
能力にも掛かってくるのではないかと思います。要は、
になって話が出来るような場を作ってやっていかないといけないの
がします。
A(横山)患者も消費者ですから、私はいつも言うのですが、
イマジネーションはそんなに豊かではありません。だから、
でワンプッシュ型の携帯電話が出て来るまでに、消費者は「
帯電話が欲しい。だから作ってくれ」
す。常に企業が仮説をして、
ら、いつも言いますのは「浜崎あゆみが出て来たら嬉しい」
ないよということです。出て来る前に「出て来てくれ」
出てきてはじめていい悪いのという評価はできるのです。
ジネーションは無いのです。だから、
番難しいと思います。
Q会場(国立大学工学部准教授)
ルというのが必要だと思います。それは、
んに対してそれを求めるのはおもらく極めて難しいと思います。
医療者の方に例えば仰っているような意味でのイマジネーションで
そらくイマジネーションを育てるにはアナロジー思考に育っている
細々とした生きるレベルの教育ということがおそらく必要なのだと
は一体どこでやったら良いのかというのが私の最終的な質問です。
A(横山)皆、
ベーションはそんなに簡単に出て来ないし、
にはいません。ほとんどの人は、リソースフルなのです。
とを知ってうまく整理し、記憶しておけばいいのです。
問題にはこれというふうに答えをだしていくと「
るだけです。要するに、誰かがすでにやっているわけです。
それから自分で勝手に無意識な世界で自己規制をしていることもあ
に規制のきつい世界は、
すごく無意識なレベルにあって発生しているのです。それを、
規制なのかということを意識にのぼせることが必要です。
代、
誰もやれと言っていないことをやっているのです。
ますと、要するに30年、
ません。
そういうことがあるので、
いくということをやると、パッと思考が広がります。
本を出版しているのはスタンフォードプレスです。もう、
性に関する本が出ていますから、
ます。
なっています。
私が良いと思ったのは、「コンセプチュアル・ブロック・
う本です。要するに、
かというのを、
分の世界はどれかなとやっていただけるだけで、
Q会場(国立大学工学部准教授)分かりました。
は、お医者さんの卵である医学生ではなくて、
言えることだと思いますので、
(以上)