医療ガバナンス学会 (2009年4月4日 14:16)
私の基本的な考えは、
を医療の世界に作り出すということです。しかし、
今、財務省の松田さんのお話にあったように、
いますから、当分、
従って、国民医療費は「コスト」
う。たとえ、
てくれるとは全く期待できません。
しかし、よくよく考えてみたら、日本が貧乏なのではなく、
て豊かなのですが、日本政府は貧乏だという問題です。
りは絶対に医療システムにお金が入ってくる良循環は出来ないこと
そうではない、
考えようというのが私のデザインの基本的な考えです。
をお話しますので、上手くいくかどうかは、
日本に新たな医療システムが必要であることはすでに明らかである
が、その医療システムは「超高齢化社会経営」
がいに連携する「社会システム」
のことですが、
いうものはありえません。「
世界の他の国に先駆けて、現在直面している最重要課題です。
雇用慣行であれば働く人が減っていくのですから、
社会なのです。それを、何とかうまく乗り切ろうというのが今後、
の日本の重要課題だと思います。
た医療システムというのをデザインしていかなければいけません。
図7 http://medg.jp/mt/
まず、現行の医療に存在する多くの悪循環を抽出し、明示します。
終的には医療費削減ではなく、
という方に発想を転換します。
思った以上に大変だということは分かるのですが、
着かないといけません。議論した結果、
から、
てしまうのではだめで、
が入って来るようにあらゆる工夫をすることです。
システムにお金が入ってくるとどのような良循環が生まれるかとい
えるために、航空業界を例に取ってみましょう。「ビジネス・
良循環を生んだのです。
747などのジャンボ機が導入されましたが、集客に自信がなく、
をすることに走り、各社ほとんど赤字の状況で、
うにありませんでした。従って、
状況になりそうでした。数年前、
に、やはり、30年を超えると安全性に問題があります。
なことになるという予測でした。ところが、
業界は「ビジネス・クラス」
これは、フル・フェアを払ってくれる企業が相手です。
たいから「ちょっとまけてよ」とはあまり言いません。
じて定価どおり払ってくれます。
かります。個人客の多いエコノミー・
から儲からないのです。企業相手であればフル・
そこがミソであって、だから「ビジネス・クラス」
これは、予想以上に当たって、急速に航空業界は潤いました。
新鋭機の開発が進みました。すなわち、
777、747-400、737-700、737-
スも最初のA300というのはそうではないのですが、
を含めて全部が第四世代の機材です。
皆さんご承知ではないと思いますが、
11月)
外、今の所ゼロです。その位安全性が保たれています。
構あります。この間も、
航空の737-800が燃えましたが、あれも死亡者ゼロです。
システムに入ってくると安全性が高まるのだということです。
貧乏人は古い飛行機に乗りなさい、「ビジネス・クラス」
飛行機に乗せますということはありません。
別はできないし、ないのです。747-
ですが、ファースト・クラスやビジネス・
クラスの客も、
す。全く同じような意味で、
うという良循環を作り出すことが大事なのです。
医療システムにお金が入るということは結局、年寄りも若者も、
持ちも全部含めて皆が得をするのだと発想すべきです。
げるかということですが、
仕組みになったのだから、
方向に発想を転換してもらうべきなのでしょう。しかし、
で、
のお話を聞いていてよく分かりましたので、
せんが、それはそれとして、
に仕組みを作り上げて見せることが必要です。
それから、
のだということをみんなで納得し合意すべきです。「
るべきで、お金持ちがお金で命を買うことはよくない」
混合診療を認めると「お金持ちが得をし、
人が必ずいますが、
タに基づいていないのです。
何%なのだということを無視しているのです。
入院患者の統計によると、生命の危険があるというは約6%
通院患者は生命に危険がないとすると、
す。いつも命をお金で買っているのではないのです。
に関わりのないところで使われているのであり、この意見は、
いえないのです。でも、百歩譲って、
代わりとして日本政府はどうしてくれるのかということです。
んだ治療法があるのに何故日本では使えないではないのかという疑
今でも、お金持ちはその国に行って治療は受けられるが、
いというのが現状はおかしいのではないのか。
てきません。
そうではなくて、
医療費タダで治療をやってあげることができるのです。すなわち、
からたくさん取って、その一部を「医療基金」としてプールし、
れば良いじゃないかという発想の方が、
の命を高く買ってください」というと語弊がありますが、「
る費用の倍を出してくださると貴方と同じ病気だが貧乏な人を一人
三倍出してくださるとそれが二人になります」
それから、多少の時間差は勘弁して欲しいと思います。例えば、
う治療法が出て来た時に、
パシティにものすごく格差がありました。
言いますと、
れはこの人を生かしてこの人を殺すという判断をすることであり、
ことであったのだけど、
「生涯価値がある人」が選ばれたわけです。
はなく、小さな子供等の扶養家族の多い人というような意味です。
代を経て今や人工透析は日本だけで2兆円位使う時代が来ているわ
ら、
のは少し許してもらいたいということです。
すぐに市場メカニズムに走るというのも私は反対です。
を裏返した答であるだけであり、新しい医療を「
とに組み立てる発想ではないだけでなく、
用をどう押さえ込むかという問題というものがかなりあるからです
に工夫の余地があるはずだというように考えるべきです。
種の競争はあるにしても全面的に市場メカニズムによることなくP
Provider、Patient、すなわち、保険者、医者、
コミにお互いの関係から自己規律を作り出す良循環を見つけるとい
ステム・デザインの目的です。
先程申し上げたように、「超高齢化社会経営」というのは、
最大のテーマです。
です。このままでは日本の財政は回らないというのは、先程、
ご覧頂いた通りです。それを、
例えば、
か。電車に乗った時、シルバー・
うことで座らないようにしたら、私も65歳になりまして、
のためにとってあるのであり、
ました。でも、まだ座る気はないぞという気持ちです。例えば、
めに高齢者雇用システムというものが必要なのです。
今の団塊の世代は二人に一人が90歳を過ぎても生きていくという
すから、65歳を超えても働いてもらうのが一番良いのだし、
価値観に基づいたシステムだと思います。というのは、
することを夢見て生活しています。皆が言う通りです。でも、
ことを夢見て働いていません。
緊張感を作りだし、結果として健康で長生きに繋がります。
に入れた日本独自の「高齢者雇用システム」が必要なのです。
高齢者のために作るのかというと、例えば、
ンの雇用です。
それだったら二カ所に住んで、
て、東京半分、
それを「二ヶ所居住」と呼んでいます。それを促進する「
も必要になります。家を二つ持ち、
関するかぎり消費人口が倍になったようなものです。
宅ばかりではなくて、
今、
アメリカは600万戸売れています。
するに既存住宅市場を日本政府が育ててこなかったのです。
場」に比べて既存品の流通市場である「二次市場」
り政府はコントロール出来ないから嫌います。それは分かります。
器の市場というのは、大体4割が「二次市場」
ですから、コントロールが効きません。そういう面もありますが、
い「二次市場」の発達は経済に厚みを与えてくれます。
日本は非常にコントロール志向の強い政府のおかげでここまで発展
かもしれないが、
も面倒を見るというパターナリズムから脱しないといけない時期に
けです。
もそのひとつだといえるでしょう。特に、
でしょう。そのような住宅の「二次市場」を組み込んだ「
「超高齢化社会」の消費活動を刺激するものとして必要なのです。
それから、日本人が減るのだったら、
べきでしょう。そのためには旅行者という短期滞在者であっても、
であっても、消費してくれるのであったら、
です。政府が数年前に作った観光立国の目標は1000万人です。
のは、消費という視点からはほとんど足しになりません。
人にします。そして、中国人をリピーターに仕立て上げる「
ン・パス・システム」をデザインします。
ら始まって、小グループの買い物・食事旅行、ゴルフ・
て、
す。
世界では、フランスが7,000万人、スペインが5,
人ですから、中国はもうすでに5,
す。何で日本は1,
かりません。「消費振興」
いない官僚の人達が組み立てているということです。
立てる、すなわちデザインする能力が欠けているのです。だから、
政府もあまり信用出来ないなということなのです。
という状況です。
それから、「生活資金を保障するシステム」
しているだけではなくもっと沢山あるのですが、こういう「
全部繋がっているのです。それらのシステムのトータルとして「
どうやって経営するのか」ということに答えないといけません。
れは明らかにかなり高度なデザイン能力が必要だなということがお
けるはずです。
では、
されていません。法律を作る訓練はされています。
ということもやられていることはすでに述べました。しかし、
幅で制度設計するという能力は訓練されているのでしょうが、
ステムを省庁横断的にデザインする能力の訓練はされていません。
優秀な官僚は日本に沢山います。しかし、
テニスはうまいのか。そんなことはないのです。
るわけがありません。今の官僚というのは、
習をしていないのです。それが、
していないのだからデザインの能力はありません。要するに「
ザイン」に関するかぎり日本の官僚は「優秀なのに無能」
これまでの官僚は欧米に先進事例が存在する世界で生きて来ました
間違っても高度成長がその間違いを消してくれるという状況の中に
僚の無謬性という神話ができあがったのです。要するに、「
ない。官僚間違わない」と思っているわけです。しかし、
に終わっているわけです。
今の時代は、かつてのように欧米に先進事例もないし、
ではないのですから昔のようには行きません。ではどうするか。
をするしかないのです。「間違ってごめんね。やり直させてくれ」
のです。例えば、住基ネットは400億円を使いましたが、
いいでしょう。「ごめん、やり直させてくれ。
だ」と言えばいい話です。ですけど、言いません。それが、
しています。
要するに、官僚機構は消費者に対して「ごめん、間違っていた」
いってはいけないのだと思っています。しかし、「
ということを言えない限り、「社会システム」であれ、
ステム・デザインということは出来ません。
まらないからです。ここが、
医療の話にかえりますと、
制度は「世界に冠たる健康保険システム」だといっています。
と思います。少なくとも、
の制度の構想を始めたのは1955年ですが、
たのです。
当時を振り返ると、日本の就業人口の約44%
です。農業国であったともいえます。
行からお金を借りています。
ち、
官僚は健康保険システムというものを作ったのです。
く評価されるべきでしょう。
図8 http://medg.jp/mt/
1961年に健康保険システムは実施されたのですが、当時は、
診ていただけるだけで涙が出るくらい嬉しくて幸せだという時代で
ほとんどが感染症であって完治が可能だし、
はわかっていても、日本は貧乏国だから両方の治療は贅沢であり、
もついて来るだろうという暗黙の前提でやってきたわけです。
まったく違うのだということです。やはり、
り、完全には治らないのだけど、
ようにして欲しいなと患者は思っているわけです。では、
が、それに応えるようになっているかと言いますと、
とです。うまく時代変化に対応できていないのです。
ところで、今の時代、「健康は消費」ということをいっても、
てる方はおられないと思うのです。すでに政府の発行する資料の「
という項目の中に「健康」というものがありますから、
サービス消費だと思っているわけです。だけれど、
てているのかということです。
多くの人は、医療は何か特別なものだと思っています。しかし、
健康というのは高齢者による最大の消費分野であって、
に消費トレンドの先端にいた団塊の世代が高齢者の仲間入りをする
彼等による新たな消費トレンド形成の機会であるというように考え
のでしょうか。
ご存知のように、日本はかなり長い期間、
の崩壊後、
いからです。
界でもアメリカについで二番目に輸出比率の少ない国でした。
活動で回っていたのです。巨大な、巨大な、
比率が今、15%まで上がっています。
由は、国内消費が伸びていないからなのです。
なぜ国内消費が伸びないのかと言いますと、バブルの崩壊だ、
いや15年だと言って騒いでいた時期に静かに起こったのは、
50歳を超えたということです。皆さんは、
思いますので、お酒の消費量をお考えになるといいです。
は50歳です。45歳から50歳が一番消費しています。あとは、
歳でポトンと20%位落ちます。
るから、放っとけば消費が伸びないのです。
また、日本の平均寿命が世界一で、
新聞などで書いているのですが、
なぜかと言いますと、
人である貴方はすでに60歳を超えているわけです。
その歳ではどうしても買いたいものがもうないからです。最近は、
資へ」とか「資産の賢い運用」とか言われて、
産を使ってアメリカの財務証券やニュージーランド国債など、
た投資信託を買ったりします。これは、
貯めるのではなく消費に使ってもらわないといけません。
消費者の金融行動に関する調査で「
と、多くの人は「老後のため」と答えます。もしくは、「
答えます。私に聞かれても、「老後のため」
もういい老後だから使ったらどうなのか」
それでも、とりわけ使うあてもないから皆使わないわけです。
まいます。
実際に、高齢者が今どの位持っているのかと言いますと、
円の個人金融資産という話が出ますが、1,500兆円とは別に、
土地、建物、書画、骨董が2,000兆円ほどあるそうです。
金がある国なのです。しかも、
けです。合計で2500兆円あるわけです。
すが、すでに払い終わっています。ということで、
るということになります。ということは、
続が発生しているわけです。今、
円位の相続税を取っています。しかし、
ているはずです。
一方、
す。元々難しい上によく訓練されていないからです。それなのに、
「小さな政府」
56,
人以上減らしています。本来、
ですが、そんなことはお構いなく、
税務署員が色々やりとりしているサイトがあってそれを見ますと、
の捕捉が難しい上に人手不足で十分手が回らず、
率は落ちていっているはずです。だから、
上げることをやっていただいた方がよいと思います。
相続税を含めて税全体で最低5兆円は取りっぱぐれています。
いずれにしても、
れは、高齢者に消費したくなるように仕向けることです。
部持っています。必要なのはサービス消費です。
は、健康・医療に関するサービス消費です。
はないのです。
「国民医療費」と言いますと、費用、すなわち「コスト」
想です。当然、「コスト」であればカットすべきなのです。「
うという経営者は一人もいません。「コスト」と言った途端に、
減と言うわけです。政府も同じ発想です。だから、「国民医療費」
は、やめたらどうかと思います。「消」という字を一字加えて「
と言った方が良いのではないかと思います。
消費は何も生産せず、
すが、そんなことはありません。例えば、
飛躍的に優れたプリウスを作っています。
です。トヨタは新しい部品の消費をするわけです。
また、
はずです。だから、消費は一概に浪費であるとはありません。
良い消費もあります。だから、
組み立てるべきと思います。そのためには、自己規律があって、
そして安易な医療消費行動をしないし、医師も安易、
いというような状況へ持っていけば良いではないかと思います。
医療という「消費」
ありません。彼らも、「そうだ、得意ではない」
には任せられないのです。
医療消費とは医療の提供する「価値」を消費すると考えるのです。
あるいはバリューというのは、感覚的にいうと、
の値段を取ることができるということです。このように、
「国民医療消費」100兆円というのは、
そのうち、国が面倒をみなければいけないのは、
方もあります。それが、まさにシステム・デザインなのです。
入ってくると色々な応用が出来ます。
いうことが出来ます。
平等になっているのではないでしょうか。特別な場合、
際に日本に存在しています。
料という世界がすでにあるのであり、
うことです。
(次号に続く)