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臨時 vol 14 「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟◆Vol.2」

医療ガバナンス学会 (2008年2月15日 14:19)


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国会議員111人が結集、第1回総会開催
「超党派」が吉と出るか否かは今後の議論次第
橋本佳子(m3.com編集長)
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 2月12日、「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」の設立総会と記念講演会が開催された。同連盟は超党派で組織するが、特筆すべきはこの総会の時点までに会員(国会議員)が111人に上ったことだ。衆参両院を合わせて722人の議員がいるが、その約15%に当たる。  しかも、この種の会合には、議員秘書など代理の出席も少なくないが、総会には議員本人が70人出席した。代理出席も30人だ。これは異例とも言える多さで、国会議員への医療問題に対する関心の高さの表れだろう。  会長には、元厚生労働大臣で参議院議員の尾辻秀久氏(自民党)。その他の幹部は以下の通りで、衆参両院、各党にわたる議員が名を連ねている。 会長:   尾辻秀久・参議院議員(自民党) 会長代理: 仙谷由人・衆議院議員(民主党) 副会長:  坂口力・ 衆議院議員(公明党)       塩崎恭久・衆議院議員(自民党) 幹事長:  鈴木寛・ 参議院議員(民主党) 幹事長代理兼 事務局長: 世耕弘成・参議院議員(自民党) 副幹事長: 西田実仁・参議院議員(公明党) 事務局次長:萩生田光一・衆議院議員(自民党)       足立信也・参議院議員(民主党)  党別の議員数は以下の通りだ。 衆議院67人: 自民党36人、民主党23人、公明党6人、国民新党1人、無所属1人 参議院44人: 自民党13人、民主党23人、公明党5人、共産党1人、社民党1人、新 党日本1人 ●「”医療事故調”については、厚労省ではなく現場の意見を聞く」  この日の講演会は、午後3時15分から1時間強にわたり開催された。二部構成で、第一部は設立総会、第二部は同議員連盟の「医療顧問」を務める日本医学会会長で自治医科大学学長の高久史麿氏と、国立がんセンター中央病院病院長の土屋了介氏の講演が行われた。  鈴木寛氏は、「崩壊の危機に瀕する医療現場を立て直し、適切な医療提供体制の再構築を図るために、国民的な議論の喚起と必要な政策の実現を図ることが目的」などと趣旨説明を行うとともに、会則の説明、会長・役員選出を行った。  講演会後の記者会見で、質問に挙がったのは、「今後、何を緊急の問題として取り組むか」という点だ。尾辻氏は、「多数の問題があり、いずれも緊急を要する。一つずつ選んで、かつ集中して解決に向けて取り組んでいく。議員連盟はまだ立ち上がったばかりであり、今後の進め方についてもこれから諮る」と答え、問題の重要性や緊急性については認識しているものの、具体的内容までには踏み込まなかった。  「超党派」であることは、党利党略にかかわらず、医療問題を幅広く議論できる場ができたことにほかならない。議論がうまくまとまり、政策を実行に移すことができれば画期的だが、超党派であるが故に議論そのものがまとまらない恐れもある。議員の意思統一を図る第一歩は、議員連盟の名にある通り、医療現場の危機」についての認識をいかに共有するかにかかっているのではないだろうか。鈴木氏は、m3.comへのインタビューで「超党派の国会議員で連盟を設立したわけ」で、「現場を見て、現場との対話を通じて自ら医療政策を考案・実現する、という志を持つ議員がメンバーです」と語っている。この言葉に期待したい。 ●医療界からの提言も不可欠  最後に、第二部の記念講演会についても触れておく。講演のテーマは、「医療現場の現状と危機打開・再建への道筋」。  最初に講演した土屋氏は、現状の問題として、(1)産科医療・小児医療の崩壊(お産難民)、(2)救急医療のたらい回し、(3)外科手術の脆弱化(麻酔医不足、外科志望者の激減)、(4)訴訟・追訴リスク増大による萎縮医療の蔓延、(5)地域医療の崩壊――の5点を挙げた。  その上で、解決策として、(1)地域医療体制の確立(医療クラスター(巨大病院群)とかかりつけ医に二極化)、(2)医師教育制度の見直し(今は100%近くが専門医だが、40%の総合医・家庭医、60%の専門医という形に誘導)、(3)医療協働者教育制度(専門看護師の育成など)、(4)かかりつけ医と検診体制の確立、(5)全医師加入の医師会設立(自浄作用のある医師会を目指すなど)の5点を挙げ、3段階に分けて実施すべきとした。「10年先、20年先には、こうした体制にするというビジョンをまず示すことが肝要」と土屋氏は強調した。  続く高久氏は、(1)医師不足は足りているのか、(2)病院医療の危機、(3)地域医療の危機、(4)プライマリケアの必要性――の4つに分けて現状の問題を提起した。例えば、医師不足に関しては、産科・小児科のほか、外科でも不足しているとし、女性医師では非常勤が多く、非就労者も多いこと、さらに専攻する科にも偏りがあり外科系が少ないことなどから、「女性医師が働きやすい職場環境作りが緊急の課題」とした。    もっとも、各問題点の分析は的を射たものだったが、高久氏は「危機打開・再建への道筋」については言及しなかった。図らずも講演会の最後の挨拶で、仙谷氏が、「医療の危機状況を認識しているのに、これまでなぜ乗り越えられなかったのか。与野党を超えて医療提供体制を再構築していく必要がある」と述べた。医療の危機は、何も政治家だけの課題ではない。医療界からも、現状の問題提起だけではなく、積極的に解決策を提案していくことが必要だろう。
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