臨時 vol 12 「医療再生議連設立総会傍聴記」
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~ 一人ひとりの覚悟が問われている ~
ロハス・メディカル発行人 川口恭
自公民共社ほかの超党派議員らによる『医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟』が本日午後設立されたので、その総会を覗いて来た。議連の仕掛け人は、ロハス・メディカルでもおなじみの鈴木寛・参院議員である。 さて、標題は傍聴記となっているが、正確には傍聴記でない。なぜならば総会に遅刻したから。というのが、会場が当初連絡をもらっていた所と違った。場所を突き止めた後も、国会へ入るには中から手引きしてくれる人が必要なので、しばらく立ち往生、着いた時には、既に総会後の記念講演会が始まっていた。記者クラブの加盟記者でないと、何かと不便である。 ボヤきはこれ位にして報告に入ろう。この議連には、代理出席も含めると100人近くの国会議員が参加したらしい。 役員は <医療顧問> 高久史麿・日本医学会会長、自治医科大学学長 土屋了介・国立がんセンター中央病院 病院長 <会長> 尾辻秀久・自民党参院議員(前厚生労働大臣) <会長代理> 仙谷由人・民主党衆院議員 <副会長> 坂口力・公明党衆院議員(元厚生労働大臣) 塩崎恭久・自民党衆院議員(元官房長官) <幹事長> 鈴木寛・民主党参院議員 <幹事長代理 兼 事務局長> 世耕弘成・自民党参院議員 <副幹事長> 西田実仁・公明党参院議員 <事務局次長> 萩生田光一・自民党衆院議員 足立信也・民主党参院議員 ちなみに尾辻会長が最後に挨拶したところによると、共産党の小池晃参院議員が「役員構成が偏り過ぎだ」と苦情を申し述べたらしく、社民党の阿部知子衆院議員ともども、いずれ役員になるようだ。 このメンバーを、政策通が揃っていて面白いと見るか、お上品すぎて迫力がないと見るか、は議論の分かれるところ。今日集まった記者たちのほとんどが様子見のスタンスらしい。記者会見では僅か3つしか質問が出なかった。 朝日新聞・N記者 「医療事故調に関して、何かアクションを取るのか」 尾辻 「大きな課題の一つではある。ただし本日超党派で議連を立ち上げたばかりであり、これから議論を行うところであるから、直ちに答えを申し上げることはできない。もう少し議論をお待ちいただきたい」 NHK・F記者 「何を緊急に取り組んでいくのか、具体的にスケジュール的なものをお聞かせいただきたい」 尾辻 「私どもが認識する問題点は、先ほど鈴木先生が申し上げたとおり。いずれも緊急を要するもので漠然と対応するわけにいかない。ひとつずつ選んで集中して解決していくのがよいのでないかと思っているが、それも先生方にお諮りして、そういうことでいこうということになったら、どれを採り上げていくか議論したい。いずれにしても急ぐことだけは確か」 NHK・N記者 「この場でお伺いして申し訳ないんですが、仙谷先生に伺いたいんですが、ソウルで日銀総裁人事について発言されましたが、云々・・・・・」 おいっ!。。。これでおしまい。実質たったの2問だった。 確かに現段階では、一般メディアの論理から言うと、お手並み拝見しかあり得ないと思う。なお、会見で話題に出た緊急の課題は設立趣旨を見ると出ている。 『お産難民に象徴される産科医療・小児医療の崩壊、救急重症患者のたらい回しの急増、麻酔科医不足や外科医志望者現象による外科手術体制の衰退懸念、訴訟・訴追リスク増大による萎縮医療の蔓延、地域医療従事者の確保難など、崩壊の危機に瀕するわが国の医療現場を立て直し、すべての国民の生命と健康を守る適切な医療提供体制の再構築を図るため、国民的な議論の喚起と必要な政策の実現を図ることを趣旨として、超党派の国会議員による、議員連盟を設立する。』 で、ここからが本日私の思ったこと。上の設立趣旨、なかなか味わい深いのである。 医療提供体制の再構築のために「国民的な議論の喚起」と「必要な政策の実現」を図ると書いてある。 政策実現が先にあるのでなく、国民的議論が先という状況認識は全く正しいと思う。なぜならば、お上頼みではどうにもならないところまで来ているから。 でも、どうやって国民的議論を喚起をするつもりなのだろう。先ほども書いたように一般メディアは様子見である。国民に誰がアジテートするのか? この議連が歴史の大きな歯車を回すかどうかは、永田町・霞が関インナーメディアの枠から外れて、生身で一般国民に情報発信できるかどうかにかかっている。そして、その責務は議員だけに課せられるものではなく、むしろ業界内の一人ひとりの覚悟が問われている。こう思うのである。 (この傍聴記はロハス・メディカルブログ<a href=”http://lohasmedical.jp”>http://lohasmedical.jp</a> にも掲載されています)