連休ど真ん中の4月29日、日曜日。東京は汗ばむくらいの良い天気だった。弊社オフィスは神宮球場のそばにあり、4月に早稲田大学へ入学したハンカチ王子が法政大学との試合に先発とかで、界隈は大騒ぎだったらしい。
でも私は、ちょうどその試合の時間帯、逆に早稲田大学へお邪魔してきた。
それは、日本学術会議の医療事故紛争処理システム分科会が開かれていたから、である。学術会議と言えば新規オープンがなったばかりの国立新美術館のご近所さんのはず。それなのになぜ早稲田大学で開くかと言うと、「学術会議はお役所だから土日に会議を開くなら自分たちで会場を確保しろと言われちゃう」(by和田仁孝委員長)のだそうだ。
そんな前置きはさておき、そんな連休ど真ん中の日曜日にも関わらず、和田委員長(法)の席から右回りで順に廣渡清吾・東大教授(法)、手嶋豊・神戸大教授(法)、中西淑美・大阪大特任講師(医)、守屋明・関西学院大教授(法)、福嶋雅典・京大教授(医)、中村芳彦・法政大教授(法)、長谷川剛・自治医大准教授(医)という先生方が熱心に議論を重ね大変面白かったので、ご報告する。どうやら福嶋先生が土日しかダメということで、この日程になったらしい。なお分科会メンバーは、現在のところ、あと3人いる。
なお、この分科会は今回が3回目。どんな目的で何を議論している会か説明が済んでいなかったが、実は私もよく分かっていたわけではなく、3回目にして初参加の福嶋委員にとっても同様だったようだ。で、また福嶋委員が非常に積極的に発言されたので、その発言の軌跡を中心に追っていくと、この分科会の性格や議論していること、方向性が見えてくると思う。ということで会議の模様を追っていこう。
福嶋委員が初出席だったため、まず簡単な相互紹介があった後、和田委員長次のような発言から議論がスタートした。
「この分科会は法学委員会の中に設けられているわけです。学術会議会長に先日ご挨拶したところでは、我々で粗粗の案を提言した後で、もう少し上の文系・理系・医療系を含む大きなところでやっていきましょうとのことだった。ところが先日、事務方から医療系の先生方も興味があるだろうから、その先生方にも資料をオープンにしてよいか尋ねられ、断る理由もないのでお見せしたところ、医療系の先生方から「ぜひ分科会に参加したい」と要望が出てきたとのことだった。そのメンバーというのが北村惣一郎・国立循環器病センター総長、桐野高明・国立国際医療センター研究所長、永井良三・前東大病院院長、本田孔士・大阪赤十字病院院長の4人。正式には5月24日の学術会議本体で委員の推薦が行われ、そのあとで分科会の委員となるらしい。専門の先生方がご参加くださることは歓迎すべきことだが、ひとつタイミングの問題がある。現在、厚生労働省の方で事故調づくりの作業が始まっていて、6月から7月には固まるようだ。この作業に対してアカデミックな立場から、できるだけ早期に提言したいということで5月中に取りまとめるつもりだった。しかし、5月24日に決まる新メンバーを受け入れるとなると提言のタイミングを逸する可能性が高い。ということで、新メンバーを受け入れるのか、受け入れるとしたら分科会の目標そのものを再設定するか、皆さんの意見を伺いたい」
廣渡委員が促されて発言する。「この問題は元々広い分野での討議を必要とする。この分科会そのものが厚労省に学問的なことをインプットする目的で時限を切ってスタートした経緯はあるが、メンバー受け入れを断ると角が立つし、そもそも分科会が急いで提言をまとめても上部機関のレフリーを何段階か受けなければ学術会議の名前では出せないのだから、医療系部会とのすり合わせは必ず要る。ということで機動的に報告書を出すのは難しいのでないか。もともと難しいと思っていたが、新メンバーを受け入れて設置の目的を再設定するしかないと思う」
長谷川委員が口を開く。
「どうせメンバーを拡大するなら、たとえば航空業界の人とか、他の分野の方々にも入っていただいたら」
和田
「保険システムの方には、もともとヒアリングしたいとは思っていた。ただ5月中の取りまとめで動いていたためにオミットした面はある。いっそ、いったんリセットして
課題別委員会に改組するというのは」
廣渡
「課題別委員会は同時に10個までしか走らせることができない。課題別委員会として扱ってもよい題材とは思うが手続きに1~2ヵ月はかかる。厚生労働省との関係で何か言いたいのなら新メンバーに率直にその意図を伝えたらどうか」
中村
「元々法学委員会に分科会を置いたのは、ADRをメインに取り扱う趣旨だったから。事案解明機関は主でないので、そこに焦点を当てるのはどうか」
廣渡
「あるいはADRに限ってやるか」
和田
「4人に入ってもらって、提言のタイミングは延びざるを得ないから中間報告としてADRなんかについて、分科会として報告するという手は可能性としてあるのかなと思う」
よく、ここまで我慢して読んでくださいました。過去2回の議論があった上でのやりとりなので、何のことだかサッパリ分からない人がほとんどだろう。それは福嶋委員にとっても同じだったようだ。「ちょっといいですか」と議論に入って来たと思ったら一気に話をかき回した。
「厚生労働省がまとめようとしているのはどういうものか。先ほどから出てくる学術的な観点とはどういうことか。ゴールをどの辺に設定されているのか。そもそも、ここで議論しているような組織が日本の法体系の中でどう位置づけられワークするのか。かえって不信感を買う可能性が高いとあえて申し上げる。拙速でこのように大きな問題が片付くとは思わない」
和田委員長が説明する。「厚生労働省がやろうとしているのは、医療事故の事案解明機関とADRのセットという我々のテーマとまったく同じことで、ただ厚生労働省の方はADRは先の課題としてモデル事業を発展させた形の事故調を作りたいということ。そこで原因究明を行うと同時に刑事事件相当のものは警察へ回すという振り分け機能も持たせようとしている。この点について私は解明機関は原因究明のみを行うこととして、その先でどうするかは患者さん側が選ぶ方が良いと思う」
福嶋
「参加希望の先生方をよく知っているが、実際の医療事故を取り扱って法廷に立ったことがないならご遠慮願いたい。どちらかといえば医療訴訟などには全然タッチしたくない、したこともないという方々ではないか。実際の医療訴訟で何が起きるかと言うと、我々医療事故情報センターに相談が持ち込まれて、カルテを取り寄せ鑑定書を書く。そうすると学会の権威筋というところから、自分たちの論文に書いていないような学術的に噴飯モノの鑑定書が病院側の証拠として出てきて裁判所もそちらに流されるわけですよ。参加希望の先生方も出てくるなら本気で勉強してもらわないと。それから学術的というなら、事案解明機関を作るために何を議論の対象として調べなければならないのか、それを明らかにするのが学術的スタンスというものではないか」
福嶋委員は同センターの鑑定書作成に協力しており、同センターでこれまでに鑑定した事例は1000件に上るとのこと。これは医療訴訟全体の約1割で最近ではその割合が2割から3割程度まで上がっているとの説明もあった。つまり、医療事故・医療訴訟の実態について参加者の誰よりも知っているとの自負があるようだ。
和田
「先生方に来ていただいて巻き込んでいくことは重要。きっちりとした議論をする長期的プランも必要だろう。問題は厚労省が医療事故に関しておかしなことをしようとしている場合に、そこに対して提言するような二本立てが重要でないか。参加希望の先生方は受け入れることとして私があらかじめ非公式に情報をお伝えしておく、そんな手順で行きたい。ところで長期的な議論をするとなると、この分科会そのものが1年の時限のものだが」
廣渡
「延長が必要かもしれない」
福嶋
「一朝一夕に解決する問題ではない。厚労省のができたとしても、とてもワークするとは思えないので早晩新しい法律が必要になってくる。医療と教育の問題にも絡んでくるのだが、医療界には品質保証・品質管理の概念がない。何しろ医師が医師法・薬事法を理解しておらず、治外法権のように勘違いしている人がいる。医療事故に関するデータという意味では医賠責をやっている保険会社が膨大なデータを持っているがなかなか出してくれない。保険会社にはリスクマネジメントの専門家もそろっている」
まだ福嶋委員は議論内容になじんでいないようだ。
和田
「長期的視点でやるとすれば、そういった方々にもお入りいただいて保険の問題も議論の対象とするべきだろう」
廣渡
「たしか桐野さんがヘッドで、同じようなことをしている委員会があったと思う」
和田
「本論に入りたい。ADRの方から。前回の議論を踏まえて、試案をまとめたメディオの調査では、訴訟をした患者・家族の7割が弁護士に不満を持っているという。弁護士の資質にもよるだろうけれど、これは司法そのものがニーズに合っていないと見なすべきなのではないか。加藤弁護士(医療事故相談センターの中心メンバー)の言う
患者・家族の5つの願いを達成するためにも、医療メディエーターが仲立ちとなって当事者どうしの対話を促進する必要があると思う。ただし、対話だけではどうにもならないこともあるので何らかの形で事実の解明や評価を行う中立的機関も必要と思う。今後詰めなければならない点としては設置主体と財源、その規模の問題がある」
福嶋
「メディエーターとは?」
和田
「紛争当事者の話し合いの仲立ちをして交通整理をするような中立的第三者」
福嶋
「中立という、そういう人は実際にありえるのか」
和田
「米国でもメディエーターは活躍しているが、中立ではなく不偏という言い方をしている。つまり患者と話をする時は患者に歩み寄り、医療機関と話をするときには医療機関に歩み寄る。実体としての中立ではなく、プロセスとしての中立である」
福嶋
「どのプロセスから介入できるのか。事故が起きてからか。医師患者間の関係が怪しくなってからか」
和田
「院内で当事者どうし話し合いするのが第一。患者さんが院内では、どうにも話がつかないと思ったとき、ADRへ来てもらえれば。院内で話し合いがつかないからといって、いきなり訴訟に持って行きたいという患者さんは、そんなに多くないと思う」
福嶋委員、ここで初めて我が意を得たりという感じで頷く。
「評価と事故解明はどう違うのか」
和田
「厚労省の事故調は死亡事故に限るし医学的な事実究明にとどまるだろう。ADRを用いた場合の中立評価は、当事者どうしではどうしても決めきれない部分に関して
第三者の意見を聴くという形になるので、いわばオーダーメードというか、対象がもっと幅広いだろう。法的なしばりにとらわれるものでもない。というのは、ADRで納得できなければ訴訟に持っていくという選択肢が残るので」
福嶋
「評価の実務は大変な作業だ。カルテが全ての面があって、証拠保全できるかが勝負になる。ADRでは証拠保全の手続きを代行するのか」
和田
「法的権限がないので現実的には難しい。ただし、医療機関に対してカルテを出してくださいと言って出してこなかったら、そのことを報告書に書けばよい。それだけでも患者さんにとっては次のアクションを起こすような情報になる。訴訟に持っていかないでもと思っている人を訴訟に追いやることになるので、実際には医療機関もカルテを出すと思う」
福嶋
「医療機関がガードしちゃうということは起こりうる。証拠保全する場合には、病理標本まで間髪入れず一気に押さえないといけないのだが、その辺、弁護人によっては知らない人もいる。そういった知識を市民サイドが知る必要もある。実務的には自動的に証拠保全され開示されないと難しいのでないか」
黙って聴いていた中村委員が話に割って入る。
「弁護士の立場から言わせてもらうと、東京三弁護士会でもADRを是非やりたい、という話になっている。背景事情として、医療訴訟が増えて医療機関がカルテを隠さず、すぐ出してくるようになったことがある。だからADRにも出てくると思う。情報が出てくるなら訴訟までしなくてもという例は確実にある。もう一つの背景として、訴訟で得られるのは損害賠償に限られるが、患者・家族のニーズはそこにとどまらないので、何らか別の方法を持ちたいというのもある。そういう意味では証拠保全は全体の一部に過ぎない。あまり過大なものをADRに盛り込まれると、患者も医療機関も満足いかないものになって、かえって訴訟が増え、医療崩壊を加速させかねない」
長谷川委員も続く。
「福嶋委員が先ほど院内メディエーターが機能するのかと疑問を呈したのは、病院の人間を信用して口をきいてくれるのかという意味だと思う。我々の経験から言うと
診療科とは別の医療安全部の人間が歩み寄って、もう一度話し合いのテーブルにつきませんかと提案すると、7割から8割の方は、話し合いに乗ってみたいと言う。もちろん一切口もききたくないという人はいるが、それは仕方ない。福嶋委員が対峙してきたのが、カルテを隠す、ウソもつくという特にヒドイ病院だったのではないか。現在は医療機能評価でもカルテ公開が原則になっている。メディエーターという言葉が良いかは別にして、謝罪がキッチリされた後で、でも賠償額を当事者だけでは決められないというような場合は確実に存在するので、かなりワークするような印象を持っている」
福嶋委員が反論する。
「私が関わってきた医療事故の6割以上が大学病院や何とかセンターとかの基幹病院で起きたものだ。医療事故情報センターでは、これまでに1000件の鑑定書を書いており、これは医療訴訟全体の1割にあたる。最近では、その割合が2割から3割までに上がってきており決して特殊な事例だけが集まっているわけではない。その中身も、埼玉医大で添付文書も読まずにオンコビンを毎日注射したというような医療の名に値しないものが数多い。この裁判の最高裁判決で、添付文書を読まずに薬剤を投与して傷害を与えたら業務上過失に問われることもあり得ると書かれており、そのことを教えても、じゃあ今日患者さんに投与した薬剤の添付文書を読んだかと聴くと、半分が読んでいない。これほど傲慢なことはない。医療事故にはそういうものが多い」
長谷川
「大学病院には確かにそういう面が残っているし、だいたい医療機能評価すら取っていないところも多い。機能評価にどれだけの意味があるのかの問題はさておき、自らを正そうという姿勢に欠ける点は間違いないだろう。しかし大学病院の改善というのは医療界自らが取り組まないといけない課題であって、それと今回の議論とは少し違うのでないか。当事者だけでは話がつかない、かといって訴訟に訴えても解決しないという中間地点の受け皿がない現状は確かにあるのだから」
福嶋
「最初にバーンと謝っちゃって、その後で第三者を入れれば大抵のことは済む」
長谷川
「きちんと謝る場がない。謝らないから第三者も早期に関与できない」
福嶋
「それはおっしゃる通り」
和田
「経営母体である国や自治体が前面に出てきてしまうという背景はないか」
福嶋
「主治医が謝りたいと言っているのに、お前はもう接触するなと言われてしまう例が結構ある」
長谷川
「訴訟対策と称して病院側の弁護士が止めることも多い」
中村
「先ほど医者の教育の問題が出たが、弁護士の教育の問題もある。弁護士会でADRやりたいと言っているが、実はADRについてやったことがない。それなのに研修一日だけやったら明日からでもやりたい感じだ。前提が違う、訴訟とは全く別物なのだということをハッキリさせないといけない」
福嶋
「すごく大事なことを伺った」
和田
「ADRをやる際、契約の問題として情報公開しないと受け付けないことにするのはどうか」
中西
「賛成。現在のモデル事業でも、遺族のケアを行うことがお題目には入っているのだが、その役割を担うべき調整看護師が解剖への承諾を得ることだけに追われている。解剖が済んでしまうと、当該医師にも会えないしカルテも見せてもらえないので、全くケアすることができていない。手続き論として入り口に情報公開を組み込んでしまうことが必要」
中村
「ADRに乗るか乗らないかは当事者に任されている。情報公開しないなら訴訟へ行ってくれという入り口の設計はあり得るのでないか」
手嶋
「先ほどの福嶋委員の発言だと、対外的に高い評価を受けている病院ほど偽造までするという。出てきた情報の偽造を見抜くことができなければ、作り上げられたストーリーに乗ってしまうことにならないか。強制的な手段も必要ではないか」
中村
「弁護士の立場から言うと、証拠保全だけ先にやってしまってADRを使うか訴訟を使うか選ぶこともできる。ADRの手続きの中で連動させる必要はないのでないか」
廣渡
「先ほど中村委員が言ったことの確認をしたい。事案解明機関は医学的なことを扱い、裁判準拠型ADRは法的なことを取り扱う、もっと人間的というか心の問題を取り扱うのが対話型のADRで、この対話型の場合だけメディエーターが必要になる。こういう整理でよろしいか」
中村
「それでいいと思う。今は裁判しか手段がないし、解明機関ができたとしても、事案解明されれば全て紛争が解決するというわけではない。入り口部分で一番ニーズが大きいのは最後の人間的な部分だと思う」
廣渡
「入り口部分から代理人がつくのか」
中村
「ついても構わないと思う。ただし代理人が弁護士だと、どうしても訴訟のイメージになりやすく、あなたの損害はいくらだから、それで納得しなさいとなりかねない。ADRの代理人はサポートに徹するんだと役割意識を変えてもらう必要はある」
廣渡
「メディエーターにはどういう専門性が必要なのか」
和田
「日本でも医療機能評価機構が2004年から養成を始めている。分析手法とか交渉論、カウンセリング論、心理学などが寄せ集まったような人間論がベースになる。
ただし、人間論だからといって、患者・家族の法的権利が蔑ろにされてはいけないので、入り口段階でアドボケーターのような人が、そういった知識を知らせておく必要はあると思う。東京弁護士会がやろうとしているのは対話の部分が弱い」
廣渡
「病院の安全部は本来の意味でのメディエーターではない?」
長谷川
「そういう言い方はしていない」
廣渡
「苦情相談窓口のようなものか。病院の費用で独立に作れると良いのかもしれない」
福嶋
「皆さんのお話はmake senseだと思う。裁判準拠型のADRだったら要らないと思っていた。様々なニーズに柔軟に対応できるようしないとワークしない」。
どうやら議論に納得したようだ。
中西
「苦情相談窓口ではない。それとは別の院長直結システムにするのが一般的。医療側がおかしなことを言っている場合に見破る必要があるので医療の専門を持つ人がよい」
長谷川
「実際、診療科に気兼ねなく動けないと機能しない。また複数の診療科にまたがるような場合も多いので調整できるような権威も持たないといけない」
和田
「第三者機関を作ったとき誰に任せたらよいのかという問題は残っている。弁護士だと医療側がごまかそうとしたときに見破れない。かといって医療者だと中立性がどうなのだろうということになる」
中村
「弁護士にしても患者側と病院側で二極化しており、第三者的な人材はいない」
長谷川
「カルテを見れば大体分かる。1人では問題があるというなら医師を2,3人集めてカンファレンスさせればいいと思う」
福嶋
「私の場合、証拠保全されたカルテをレビューしてザっと10分も見れば、どこに問題があるのか大体分かる。時間がかかるのは訴訟に勝てるか考えるところ」
和田
「ほぼ時間になったので今後の作業日程を打ち合わせたい。新メンバーが加わるのだが、ADRに関して粗粗に中間報告するとともに長期的な視点でどんなことが必要か検討するということでよろしいか」
福嶋
「中村委員、長谷川委員、中西委員のお話を、それぞれの経験に基づく具体的な話として伺った。私の今までの経験と洞察から見てもワークするとイメージが湧いてきたので、ぜひそれぞれの具体的な話をもう少しきちっと書いてもらえないか。当初の分科会発足の趣旨に立ち返って暫定的な報告書をいったん作り、それを医療サイドと詰めるということではいかが、か」
和田
「ではADRに特化した形で提言をまとめ、次回、新メンバーも参加したところでご承認いただくという手はずにしたい」
厚労省検討会と同じ2時間だが、当初あった委員相互の意見の食い違いが見事に収斂していったのがお分かりいただけると思う。同じ傍聴記を書くのでも、こういう建設的な方が楽しいな、こんな感想を抱きながら、ぶらぶらと帰途についたのだった。
この傍聴記は、ロハス・メディカルブログ<a href=”
http://lohasmedical.jphttp://lohasmedical.jp”>http://lohasmedical.jp</a>にも掲載されています。