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臨時vol 34 高久通信「緑茶の効用」

医療ガバナンス学会 (2006年11月30日 16:22)


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今までも緑茶は健康によいとされてきており、この欄でも何回か紹介したこと
があるが、最近このことをさらに確認する研究が東北大学医学部公衆衛生学教室
の研究者たちによって行われ、世界的な臨床医学雑誌『JAMA』に報告されている
ので※、ご紹介したい。
彼らは、40~79歳までの40,530人という非常に多くの健康な日本人を対象にし
て、1995年から2005年までの11年間にわたって調査し、その結果得られた緑茶の
効用を報告している。11年間にわたる経過観察の中、4,209人が死亡しており、
その死亡の原因調査では892人が心血管障害で、また1,134人が各種のがんのため
に死亡したと報告されている。従来緑茶の健康への影響に関するこのような疫学
研究が数多くあったが、今回の調査は4万人を超える多数の人を対象にして、し
かも11年という長期にわたって経過を追っている点が高く評価される。この研究
では、調査対象となった人たちに対して1日に飲む飲料の種類と量、アルコール
の摂取量、喫煙量、疾病歴、学歴、職業歴、1日の運動量等の詳しい調査を質問
表の形で行い、これらの個人情報と調査対象者の死亡率、死亡の原因との関係を
調べている。

その結果、上記の生活情報の中で対象者の死亡と唯一関係があったのは、1日
に飲む緑茶の量であった。すなわち1日5杯以上緑茶を飲んでいる人は、緑茶を
1杯以下しか飲んでいない人に比べて有意に死亡率が低く、この死亡率の低下は
心血管障害による死亡でより明らかであった。また、その低下は女性で特に著し
いとのことである。
具体的なデータを紹介すると、5杯以上の女性は、1杯以下の女性に比べて心
血管障害で死亡する割合が31%低く、一方、男性では22%低かったと報告されて
いる。心血管障害の中でも緑茶の脳梗塞に対する予防効果が最も著しく、5杯以
上の女性は1杯以下の女性よりも62%も罹患率が低下し、一方、男性では42%で
あった。このように緑茶の心血管障害、特に脳梗塞に対する予防効果が男性より
も女性のほうにより強く現れる原因として、男性のほうがたばこの喫煙率が高い
ためではないかと推測されている。しかし、緑茶が予防効果を発揮したのは心血
管障害に対してだけで、胃がん、肺がん、大腸がん等のがんに対しては、有意な
予防効果が認められなかったとのことである。
なお各種飲料の中で心血管障害に対する予防効果があったのは、緑茶だけで、
ウーロン茶、紅茶にはこのような予防効果が認められていない。カロリーがほと
んどないことも緑茶の大きな利点であるといえよう。緑茶をよく飲む日本人にとっ
て朗報であることは間違いない。
※Kuriyama, S. et al. JAMA Vol.296 p.1255, 2006
■著者紹介
高久 史麿(たかく ふみまろ)
自治医科大学内科教授、東京大学医学部第三内科教授、国立病院医療センター院
長、国立国際医療センター総長を歴任後、平成7年5月東京大学名誉教授、平成
8年4月から現職(自治医科大学 学長、日本医学会 会長)

 

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