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臨時 vol 210 「ニューヨーク 2泊3日の入院とその医療費 2」

医療ガバナンス学会 (2009年8月27日 06:45)


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          入院2日目
                   国際税務専門職
                   EASTON,Inc.
                     肥和野 佳子
 夫が入院した翌朝、日曜日。着替えの下着や雑誌などを持って朝8時半ごろ病
院に行った。大きな病院の建物は複雑なので、迷わないように昨晩家に帰る時、
メモを取ったのでその通りに進んで、迷わず、夫の部屋にたどりつけた。
 夫はちょうど朝食をとっていた。ヨーグルト、オートミール、小さな食パン、
牛乳、ハーブティー。飛行機のエコノミークラスの食事をもっと軽くした感じ。
夫は朝はコーヒーを飲むのだが、カフェインはだめらしい。ハーブティーは夫は
好きでないらしいので私が飲んだ。
 飲み水は病院で毎日水差し入れて用意してくれているし、使い捨てのプラスティッ
クのコップも用意されているのでそれで飲めばいい。しかし、お湯の出るポット
はない。わたしはお茶が飲みたいのだがお湯がない。廊下に出ると水と氷が出る
機械があった。ホットウォーターはないのかしらと言ったら、近くにいた人が、
水をこの電子レンジで温めればいいんですよと教えてくれた。
 夫は昨晩、私が家に帰ってから、投薬、注射、点滴、再度のEKG検査で夜中
に何度も起こされ、ほとんど眠れなかったという。ベッドのそばには、やり終え
た点滴のバッグが残っていた。一つはマグネシウム、もう一つは生理食塩水。手
の甲の静脈には、点滴がいつでもできるように常設の針と管の先端部がセットに
なったものがテープでつけられて痛々しい。点滴をする必要がなくても入院中は
ずっとつけておくようにということだった。
 夫の症状は落ち着いていて、なんともなさそうだ。電動ベッドなのでボタンが
たくさんついていて、起こしたり、寝かせたり、あげたり、下げたり、使い方を
夫が私に教えてくれる。テレビの使い方も説明してくれた。しばらくするとこの
病院のレジデントだという若い女性の医者が来て、これからやる検査のことを説
明してくれる。日曜日は基本的に検査はやっていないので月曜日になるという。
ということは、今日はまだリリースされないということだ。一番早くて月曜の午
後かぁと思った。
 夫は普通に歩けるので散歩のつもりで同じフロアがどんなふうになっているの
か、二人でゆっくり歩いて回った。フロアの中心部にナースステーションがある。
4人部屋や一人部屋も少しあったが、ほとんどの部屋は2人用にできていた。病
室のドアは特別な事情がない限り中の様子を観察できるように開けておかねばな
らないルールのようで、どこの病室のドアも空いていてのぞける。
 すべてのベッドは電動ベッドで足にコロが付いている。病室のドアは押して開
けるタイプだが、ベッドが通れる幅の大きなドアで、ベッドごと患者を移動させ
ることができるようになっている。日本の病室のドアはスライド式が多いけどな
あと思った。
 米国では、1週間以上長々入院することはあまりない。たいてい数日で退院に
なる。緊急の患者が主流なので固定式のベッドではないということかと思う。日
本では数週間の入院とされるような状況でも米国の病院では家から通いで治療と
いうことになることが多い。
 なにしろ医療費がバカ高いので無駄な入院なんてできない。いくら保険に入っ
ていても、保険会社が病院に対しても厳しくて、無駄な入院治療を許さないので
医者もできるだけ早く患者を退院させるらしい。今回の請求書も後でいくら来る
んだか・・・。
 もちろん救急車は無料ではない。緊急治療は通常より高いし、1日の入院料金
は高級ホテルの1泊の料金よりずっと高い。検査料金も高い。どれだけ保険がもっ
てくれるのか保険によるが、わからない。請求書がきてからびっくりということ
になる。
 それを思うと日本の医療保険システムは素晴らしい。とにかく患者負担が少な
くて安い。安かろう悪かろうということも一部あるかもしれないが、米国に比べ
たら天国みたいな安さだと思う。それでも日本では医療費負担が増えて高い高い
と言っている人も少なからずいるようだが、まあ、それは過去にくらべたらそう
かもしれないが、国際的に見ればけっこう納得のいく料金で高いレベルの医療も
可能で日本の健康保険はかなりよくできていると思う。
 午後2時ごろ夫の姉が見舞いにきた。夫は彼女にこれまでのいきさつを詳しく
話した。義姉はいつでも付き添いを替わってあげるからゆっくり休むように親切
に言ってくれる。3時半ごろ彼女は帰った。私はそのあと少し家に戻って2時間
ほど休憩し、夫の夕食時に合わせて自分の夕食を持参してまた病院に戻った。
 夫はふつうは朝にシャワーをするのだが朝は混むから今晩するという。胸に張
られたワイヤレスの心臓モニター装置のシールを外さなければならない。看護師
にシャワーをするからといって装置をはずしてもらい、手の甲につけられた点滴
挿入装置も濡れないようにビニールでカバーしてもらった。
 医者も看護師もきのうとは違う人が来る。大きな病院なのでシフトがあるから
だろう。病室には、個人個人にホワイトボードがあって、そこに今日の担当看護
師の名前、担当看護アシスタントの名前、担当医師の名前が書かれてある。ベッ
ドの足側のほうには投薬などを何時に看護師の誰がしたか書く記入用紙がある。
 わたしはたまたま去年、医療に個人的に興味があってMedical Dosageの授業を
大学で受講したことがあるので、テキストに書かれていたことの実物が病院には
いろいろあるので、たくさんのことに興味をもった。
 投薬などを何時に看護師の誰がしたか書く記入用紙というのはMAR(Medication
Administration Record)というもので、テキストでは医師が処方を指示した錠剤、
点滴、注射などの名前、分量、回数が書いてあって、それにしたがって看護師が
スケジュールどおりに行うよう、何月何日、24時間の表になっていて、実行し
た看護師がイニシャルをするようになっている。
 しっかり勉強したので、いざ入院
した時に看護師が処方を間違えずにちゃんと
医師の処方通りにやっているかどうか自分でチェックできて医療過誤を防げると
思った。そのMARの表に近いものがベッドの足側にあるのだが、何の薬や何の
注射をどれくらいしたのか書く欄がなく、ただ、実行した看護師のイニシャルだ
けがある。これではなにをされたのか何も分からないではないか。
 せっかく役に立つことを勉強したのだから、何をどのくらい投与したのか、す
ることになっているのか、ぜひ知りたいと思い、看護師にMARのことを尋ねた。
すると「あー、テキストブックではそう書かれているのだろうけれど、今はすべ
てコンピューター上で管理するようになっていて、そういう紙はないんですよ。」
という。
 くいさがると、何をどのくらい投与したかは入院中にはお知らせできないこと
になっている、退院後なら請求すれば情報は出せるとのことだった。私が医療関
係者ならともかく、しろうとには教えられないという病院のポリシーのようだ。
米国では医療過誤の訴訟が多いので病院もある程度保身せざるを得ないのは理解
できる。情報開示のシステムはあるが、やたらめったら情報は出してくれない。
それからのちは、私がいるときは、看護師が投薬や注射にくるたびに、薬の名前、
量をメモに取ることにした。
 夜になって心臓の専門医(中年の男性)が来た。いままで数人の医者が入れ替
わり立ち替わりきたが、どうやらこの人が主治医ということらしい。あす月曜日
に心臓のエコーをすることになっている。まだ、月曜日に退院が許可されるかど
うかわからない。月曜はわたしも仕事を休むことにした。

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