子供のころにタイムスリップしてみてください。
レストランで、お父さんが禁煙と気づかず、タバコに手を伸ばす。お母さんに、
とがめられ、外で一服。戻ってきて、あなたに、
「食後の一本は格別なんだよ。でも、お前は吸うなよ」あなたはどう思います
か?
今回のテーマは、依存症とは何か?です。喫煙は依存症として保険診療の対象
となっています。それまでは、タバコは自分の好みで吸う嗜好品、つまり、自分
の意志で吸っているという考え方でした。あなたはどうですか?
確かに禁煙をすすめられると「吸いたくて吸っているんだ!」と反発する喫煙
者は少なくありません。
ところが意外なことに、喫煙者に「あなたは自分の意志で吸っているのですか?」
と直球の質問をすると、半数くらいは「自分の意志といわれるとなあ・・・」と
首をかしげ、残り半数も、さらに、「毎日吸おうと決めた覚えがありますか?」
とたずねると「そんな覚えはない」と答えます。そして、「なんだか、吸いたく
なってくるんだよ、習慣かなあ・・」という辺りに落ち着きます。
実は、リセット禁煙は、「喫煙は習慣ではない」が出発点です。タバコと習慣
とどこが違いますか?まずはあなたなりに考えてみてください。
それでは、私の考えを説明しますね。あなたは子供のころから、はしでごはん
を食べる習慣ですね。ところが仮に、はしで食べると指が腐って、しまいには癌
になることがわかったとしましょう。あなたは、はしで食べ続けますか? いい
え!すぐ止めます!ですよね。
それでは、タバコを吸い続けると肺がボロボロになって、しまいには癌になる
ことがわかったとします。というか、これは本当です!ところが、喫煙者はこの
話をしても、タバコを止めるかといえば・・・・。
ここがタバコと習慣との違いです。体に悪い、赤ちゃんに悪いと理解している
のに、それを上回るような、一本でもいいから、という気持ちがわいてきてしま
うのです。ちなみに、箸で食べたくてたまらなくなり、夜買いにいく、なんて、
ことはありますか?しかも、癌になる危険があっても?
このあなたの意志と関係なく起きてくる理不尽な欲求、それが依存症の本質で
す。この欲求は、繰り返し起こるので、習慣と紛らわしくなりますが、タバコは
習慣ではありません。ということは、簡単に禁煙するためには、この欲求を・・
・!?
続きは次号でお話しますね。
NICU(新生児中中治療室)といえば最も医師不足が深刻な分野です。まさ
にその現場をタバコの害が直撃しています。そもそも、NICUに収容される子
どものうち、55%が低体重出生児ですが、妊婦の喫煙により、その頻度が2~
4倍となるのです。ということは、妊婦の喫煙がなくなれば、相対的に、小児科
医は何%増えたことになるでしょう。