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Vol.184 いわきでの経験とこれからの経験 ~大学生の私にできること~

医療ガバナンス学会 (2015年9月14日 06:00)


王 洋

2015年9月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


今春、私は東京の高校を卒後し、9月からアメリカ、ボストンの大学に進学します。今は長い入学準備期間です。
6月下旬、いわき市に友人と三人で訪れました。初めてのいわきでしたので、出発前にインターネットなどで下調べをして行きました。幼稚園児や小学生と一緒に過ごす時間があると聞いていたので、どうやって接したらいいのか悩んでました。

百聞は一見に如かず、東京で知るいわきと実際のいわきは全く異なってました。とても活気の満ちた町で、驚くほどに復興していました。町の人たちが一丸となって頑張っているのが伝わってきました。
いわきに到着し、市内で学童保育を行っているときわ塾の先生方の案内で行った願成寺はとても印象的でした。周囲に現代を感じさせる高いビルなどが少なく、自然が豊かで、まるでタイムスリップしたようでした。
白水阿弥陀堂には実際のお坊さんが御堂の中にいて、お寺の歴史を教えていただきました。御堂の天井などは900年前のままでしたが、復元されたものが別にあり、それらを比べると時間が経ち色あせて行ったのがわかり、長い歴史を感じることができました。留学先で知り合う人々を連れて行きたいと思いました。

その後は、ときわ塾を訪れました。ときわ塾は、いわき市内で病院や介護施設を経営するときわ会が運営する学童保育施設です。ときわ塾では、先生方も生徒たちもとても暖かく私たちを迎えてくれました。子供達はとても明るく、元気で、一緒にお話をしたり、鉄棒をしたり、走り回ったりしてとても楽しむことができました。
生徒たちはその日にそろばんの検定が行われました。検定前に頑張って学校の宿題を終わらせて検定を受けている姿は、とても真面目で走り回ってるときとは別人のようでした。検定のない子たちは、私たちに自分の知っている英語を使って、一生懸命話しかけてきました。大変な時期を乗り越えて、今は前向きに笑顔で勉強して、遊んでいる彼らに感心し、勇気をもらいました。

また、グッドデザイン賞や東北建築賞などを受賞した、かなや幼稚園も訪問しました。幼稚園の天井は膜屋根で覆われて、自然の光が注がれます。園内もとても開放的で大きく、雨の日でも思いっきり室内で走り回ることができます。園児たちの中には人見知りで最初泣いていた子もいたが、一緒に歌を歌ったり、鬼ごっこをしてたら、自然と打ち解けることができました。
園児たちは東京に興味津々で、一緒に行った米国の友人にもすごく興味を持ってました。「東京はどんなところ」と聞かれました。また、「東京イコールディズニーランド」というイメージを持っている園児もいました。さらに米国の友達を「フランス人形だ」と言ってた子もいましたし、海外の大学に進学する理由について、「どうしてなのか」と聞いてくる子供もいました。随分と考え方、感じ方が違うことを実感しました。このような意見を聞き、改めて交流の大切さを痛感しました。

時間はあっという間に過ぎました。最後の園児たちが泣いて見送ってくれた姿は今でも忘れません。たった数時間しか一緒に過ごせなかったが、園児から頼られとてもうれしく、達成感もありました。
一泊二日という短い時間でしたが、ときわ塾の先生、生徒などいわきの復興に全力を注ぐ町の人々から活力をもらいました。移動中に見えた綺麗な海や天然温泉、また最終日に友人達と行ったハワイアンズ、歴史のある建造物はいわきのこれからの復興において日本からだけでなく世界に発信すれば多くの外国人観光客を呼び寄せることができると思います。
そのために私にできることは何だろうと考えました。それ外国語教育だと思います。今回の訪問でも子供達に英語を教える機会をいただきました。外国語教育にはいろいろな方法があります。高校時代、ともにアメリカへ留学した友人は、映画、ドラマ、バラエティを見てアメリカに興味を持ち、英語を勉強し、それからアメリカへの留学を決心したように、海外の映画などを見るのは一つの勉強方法だと思いました。

しかし、私は実際に海外に行き、現地の人々と交流し、その言語になれることが一番だとおもいます。実際、辞書に載っている和訳で日本人が理解するニュアンスと現地の人々の思うニュアンスが違っていることがあります。例えば、クレイジーという単語は英和辞典で調べると、熱狂の様、常人には理解できない様、馬鹿げている様という負の意味で捉えられがちですが、実際アメリカでは、良い意味で使われるがほとんどです。これは文化の違いを反映しているように感じます。
そこで、語源を学ぶ上で先ずは、その国の文化に触れ、体験し、理解することが必要です。しかし海外へ行き勉強することはいろいろな面で困難です。そこで、今できることはいわきの子供達が外国語に触れ合える機会を作ることだと思います。

私なら、小学校の英語の時間にアメリカのアニメを流したり、絵本を読み聞かせると思います。また、外国育ちの友人を連れてきて、子供達と交流をさせると思います。今回の訪問でも実際にアメリカ生まれ、アメリカ育ちの友人と行き、ときわ塾の子供達と英語で交流をし、少しでも子供達の刺激になり、興味を持ってくれたらいいなと思いました。
そこで、私は留学先でいわきをもっと多くの人々に知ってもらえるようにし、子供達にもっと多くの刺激と、興味を持ってもらえるように留学先で知り合う人々をいわきに連れて行きたいです。ご縁を大切に、福島の復興を手伝いたいと思っています。

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