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臨時 vol 239 「リセット禁煙のすすめ(3)」

医療ガバナンス学会 (2009年9月12日 06:25)


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「春-2」& 小児喘息で人工呼吸をまねく危険因子
トヨタ記念病院禁煙外来
リセット禁煙研究会代表
予防医学で医療崩壊を緩和する会発起人
磯村毅
私は意志が弱いから禁煙できない。と考えている人がありますが、全くの誤解
です。
子どもから大好きなおもちゃを取り上げてしまったとします。返して、返して、
と泣いてわめいて、大騒ぎ。それでもいつまでも返さなかったとしたら、先にあ
きらめるのは、意志の強い子供でしょうか、意志の弱い子供でしょうか。
もちろん、意志が弱い子供ですよね。タバコも一緒なのです。え?意志が弱い
人が先にあきらめる、つまり禁煙する?!
整理しましょう。意志の強さと禁煙は関係がないのです。現実に、仕事でも家
庭でも尊敬される立派な意志の強い人が禁煙だけはできないことはよくあります。
それでは何が問題なのか。それは、その人にとってのタバコの持つ意味です。
タバコが本当に大切だ、必要だと考えている人の心は、底に穴の開いた小船のよ
うなもの。穴から、水が漏れてくるように、何かあると、吸いたくなってしまい
ます。
前回、喫煙と習慣は違うとお話ししました。つまり、欲求がわいてくるところ
が違う、はしで食べる習慣の人でも、はしで食べたくてたまらなくなって、買い
にいくことなんてないでしょう?ということでしたね。この欲求がわいてくると
ころを船底の穴に喩えているのです。
さて、この船を助けるにはどうしますか?もちろん、穴をふさぎますよね。吸
いたい気持ちが無くなってしまえば、尿意がなければトイレに行くのを我慢しな
くていいように、簡単に禁煙できてしまうはずです。理屈としてはわかりますね。
ところが、禁煙ということになると皆、穴をふさぐことは誰も思いつきません。
もれてきた水、つまり吸いたい気持ちをバケツでくみ出し我慢するのに一生懸命
になってしまいます。そして、ついに力尽きて、一本くらいいいか・・・、と沈
んでしまうのです。
それでは、リセット禁煙ではどうするか。そう、穴をふさぎます!つまり、タ
バコに対する見方を変えて、欲求を元から絶つということです。気をつけてくだ
さい。私は「気持ちの持ちよう」のことを言っているのではありません。本心か
ら、タバコなんて、無駄なものだ、と悟ってほしいのです。そうすれば、禁煙し
て犠牲を払ったという感覚も、タバコの代わりを探す必要もない、文字通りタバ
コから開放された気持ちが味わえるのです。
意志が弱くても関係ありません。素直な気持ちで、一緒にタバコについて考え
直していきましょう。
気管支喘息で毎年3千名を越す命が失われています。これは交通事故による死
者の約半分です。
子どもの場合、喘息が重症化して命の危険が生じ、人工呼吸(気管内挿管)が必
要となるリスク要因は多様です。例えば、各要因がない場合と比較して、低所得
の家庭では6.5倍、呼吸器感染がある場合は10.2倍、家庭崩壊13.1倍、
精神的問題13.5倍などです。しかし、受動喫煙の影響はとりわけ大きく、受
動喫煙を受けている子どもは受けていない子どもに比べて22.4倍ものリスク
があります。
これらのリスクのうち、取り除きやすいのはどれでしょうか・・・。ちなみに
日本の家庭での子どもの受動喫煙率は約3割と推定されています。
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