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臨時 vol 240 「産業保健における新型インフルエンザ対応への提言」

医療ガバナンス学会 (2009年9月12日 08:28)


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          長尾クリニック(尼崎市)・労働衛生コンサルタント
          長尾和宏
1、濃厚接触者の出社停止問題
 新型インフルエンザ患者が出た場合、家族は濃厚接触者となり得ます。それを
会社に言った場合、症状が全く無いにも関わらず「出社停止」の命令を受けたと
いう相談を時々受けます。また、「新型インフルエンザではないという証明書」
を持参しないと出社が許可されない、という相談もよくあります。現在、「濃厚
接触者であっても無症状であれば出社しても良い」という通達が出ているにも関
わらず混乱が続いています。このような無用な外来説明や診断書発行が不要とな
るよう、政府は、煽るような死亡者公表より、濃厚接触者が払うべき注意点につ
いての国民啓発を優先して行う必要があります。
2、予防投与やタミフル備蓄に対する法的規制緩和を
 濃厚接触者がハイリスク者であった場合、希望すればタミフルの予防投薬を受
けることが出来ます。しかし健康保険が適応されないため経済的理由であきらめ
る方が多いようです。それは可哀そうだと本当は規則違反ですが、健康保険で投
与されることもあると聞きます。予防投与のエビデンスは十分でないにしろ、ハ
イリスク者に予防投与を行い易くするよう何らかの経済援助をすることはできな
いでしょうか。また企業防衛のため、社員用にタミフルの備蓄をしたいと希望し
た場合、現行法下では企業のタミフル購入はできません。ここは特例を設けて、
例えば産業医の管理責任のもとタミフル備蓄が可能という規制緩和はできないも
のでしょうか。診療所を有する大企業では備蓄可能ですが、中小・零細企業にも
配慮したタミフル備蓄政策を検討すべきです。また中小・零細企業でも海外に駐
在員のいるところも多く、外務省、厚労省が何らかの法的緩和を行うべきでしょ
う。
3、産業医と企業の連携強化を
 集団発生を防ぐため、いまこそ産業医と企業の連携強化が求められると感じま
す。同時に産業医業務や責任の増大に対しては国の予算配慮も検討すべきです。
企業内でもイントラネットを活用したインフルエンザ関連情報の共有は必須でしょ
う。一方、発熱しても人出不足から無理をして出社する人もいます。「発熱者が
休むことは仕方ない」、「新型インフルエンザは恥ずかしいことではない」、と
いう啓発を産業医を中心として進めるべきです。
4、不特定多数と接するサービス業などの従事者への対策
 不特定多数と接するサービス業などの業種、たとえばホステスなどは、発熱し
ていても厳しいノルマからか発熱を隠して出勤する人もいて、感染拡大の一翼を
担っている可能性があります。発熱者や咳など有症状者は出勤させないことが、
公衆衛生上も企業経営上も有益であることを啓発する必要があります。特に産業
医の選任義務がない従業員50人以下の企業においても、労働基準監督署の勧告
のもと地域産業保健センターの協力を得て的確なインフルエンザ対策を行うべき
です。すなわち既存の地域産業保健センターや拡充センター機能をインフルエン
ザ対策にもっと活用すべきです。
5、産業保健、学校保健、開業医が三位一体となった予防対策を
 「発熱外来」に至るまでの予防対策がインフルエンザの蔓延防止には重要です。
そのためには、開業医や医師会のみならず、学校保健、産業保健という横の連携
が今こそ求められます。現在、三者がバラバラであるという印象を受けます。三
位一体のインフルエンザ対策の構築を目指すべきです。3者と保健所、有識者・
専門家を加えた対策会議を市町村が招集して開催してはどうでしょうか。
  最後に、喫煙者はインフルエンザリスクが高いことが証明されています。今
こそ禁煙政策と強くリンクしたインフルエンザ対策を期待いたします。
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