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Vol.010 復興と地方創生

医療ガバナンス学会 (2016年1月11日 15:00)


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この原稿は相馬市長立谷秀清メールマガジン 2016/1/3号 No.295からの転載です。

相馬市長 立谷秀清

2016年1月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

みなさんこんにちは、相馬市長の立谷秀清です。
今回は、私の書き下ろしエッセー「復興と地方創生」をお届けします。

復興と地方創生

3月で丸5年。4月からは「復興・創生期間」が始まる。

今日までを振り返り、私なりに反省すべき点や忸怩たる思いが全く無いとは言えないが、冷静で賢明だった多くの市民の協力や、全国・全世界温かい支援を受けて、相馬市の復興は概ね計画通りに進んでいると感じている。特に市役所の職員たちの能力が私の想像をはるかに超えていたことには、嬉しい驚きを持ってこの5年間を過ごしてきた。2014年のマニフェスト大賞で、我われが日本一の栄誉を頂いたことなどは大きな励みになっ。
しかし。殉職した消防団員や、私の親戚や友人を含め犠牲者となった458人の無念を思えば、復興はちゃんと出来て当たり前、せめて震災前より少でも良くならないと勘弁して貰えないだろう。

漁業の風評被害や農産物の買い叩かれなど、地域経済に影を落とす問題は、なかなか出口を見出すことが難しいが、彼らの応援団としての相馬市やるべき仕事は着実に進めて行かなければならない。

漁業については昨年暮れの共同集配施設の完成に続き、今年の前半には磯部地区に加工工場と16人の漁業者のための漁労倉庫が完成の見込みである。また夏を過ぎたあたりには漁協の本体ともいえる本部事務所と荷捌き施設が完成する。津波で消失した漁協の直売センターも再建する予定だが、市民の為の市場になるよう、JAや商工会議所をはじめ市民の知恵を集めて作るための検討委員会も年末から始まった。農業についても被災した水田1100ヘクタールの土地利用の目途が立ったので、それぞれの工事の発注を進めている。

ところが。

復興で頭がいっぱいだった昨年の始めあたりから、地方自治体の35年後の生き残りをかけた「地方創生」の議論が日本全国を席巻するようになる。せめてあと3年も遅れて議論が始まってくれれば良かったのだが、震災の傷が癒えていない我われ被災地にとって、地方創生という掛け声の地域間競争の嚆矢は、背筋が凍るような厳しい現実を突き付けられた思いがした。第一、しっかりとしたビジョンを「地方創生総合戦略」という形で示さないと国からの交付金に影響するというのだ。

コンサルに頼むというやり方もあったが、相馬市のことを一番分かっているのは一人ひとりの相馬市民自身だし、何よりみんなで問題意識を持って取り組まなければならない自分たちの故郷の問題なのだから、市民の英知を結集することがベストの方法だと考えた。そこで最初に市役所の職員たちが9公民館で震災の復興状況の説明会を行い、次に市内全世帯からのアンケートを取ることにした。地方創生の重点課題として、「産業・雇用」、「観光・交流」、「子育て・教育」、「高齢社会対策・健康増進」、「歴史・文化・郷土愛」の5つのテーマを示し、それぞれの市民が重要と考えるもの、またはその他に必要と思えるものや、実現のためのアイディアなどを書いてもらい、行政区長に回収してもらったところ、実に8割の世帯から意見を聴取することができた。

役所のチームはこれらの回答を整理・分析の上、団体と地域の代表からなる47人の相馬市地方創生総合戦略会議を結成し、テーマごとの分科会に分かれてアンケートを基に協議を重ねた。最後には各分科会での提言をまとめて全体の委員に披露、自分の属さない分科会への提言もその是非を巡って大いに議論し、最後に私が座長になってまとめ上げたのが去年の9月のこと。

復興に全力を挙げている我われの地域だが、私が唸ったことは、復興事業により出来上がったものを観光資源とか、社会資本として今後に利用しようという、大震災を乗り越えた地域づくり目指す提言が目についたことである。
また今後の復興事業の際には、地方創生に役立つような視点に立てという意見もあった。

勿論、戦略を目的達成のための戦術に変えていくためには、行政の技術はもちろん市民との協働が必要だが、「復興・創生期間」の初年度となる今年は、震災復興に将来への希望というプラス思考も大いに加えて、孫たちの為に頑張りたい。

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■発行:福島県相馬市 企画政策部秘書課
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