突然ですが、喫煙者は、慢性的にα(アルファ)波という癒しの脳波が不足して
います。癒しが足りない。ところがタバコを吸うと、ニコチンの力で、α派はパッ
と増え、気持ちが落ち着きます。それで、脳は学習します。「α波が足りないと
きにタバコを吸うとほっとするんだ」という具合です。
そしてまたニコチンが切れてきて、タバコが吸いたくなり、吸うとやっぱりホッ
としてと、この繰り返しのため禁煙は難しいと考えられてきました。しかし、こ
こにこそ、簡単に禁煙するヒントがあります。
まず、α波が減るのは、ニコチン切れに限りません。たとえば、渋滞に巻き込
まれると、「急いでるのに」とα波が減ってきます。面倒な仕事が舞い込んだと
きも「めんどくさい」とα波が減ってきます。
ここで、脳は、ニコチン切れのときも、普通のストレスの場合もα波の減少は
同じなので、区別がつくかというと? そう、つきません。ですから、そのうち、
「わしは、タバコでストレスを解消しているんだ」と言う人が出てきます。ごっ
ちゃになってしまうのですね。
それでは、確認の質問です。世の中のいろいろなストレスのうち、タバコが効
果のあるストレスが、一つだけあるのですが、それはどんなストレスでしょうか?
これは私たちも認めているのですが、タバコが効く唯一のストレス、それは、
何かという質問です。
答えは、「ニコチン切れのストレス」です。ニコチン切れの場合ならタバコを
吸えば効果抜群、パッと元に戻ります。ということは、ニコチン切れ以外のスト
レスにはタバコは関係がない(効果がない)ということです。渋滞が続いていたら、
面倒な仕事が片付くまでは、吸おうが吸うまいが、結局いらいらしてません?
タバコが効くのはニコチン切れのストレスだけ。非喫煙者の場合はこの話を聞
くと、「ああ、そうだったんだ」と納得し、「主人に教えなくちゃ」と思ったり
します。
ところが、現喫煙者の場合は「タバコはニコチン切れのストレスにしか効かな
い」とわかっても、煮え切らない人が多いのです。例えば、
「だけどな、実際ホッとするんだから、いいじゃないか・・・」と考えたりし
ます。確かに吸った瞬間、α波は増えているので、この感覚は本物。そう思うの
も当然です。しかし、この人たちは大切なことを見落としています。やっぱりタ
バコを吸うのは大損なのです。
体に悪い、他人に迷惑?いえいえ、そのことは分かっています。では、何でしょ
うか?続きは次回お話しましょう。
ところで、妊婦の喫煙対策は遅れています。母子保健計画や新生児訪問時のパ
ンフレットに喫煙・受動喫煙の項目がある地域は、2割もありません。行政でタ
バコ対策というと、成人保健で、一般成人が中心。一方、妊婦対策だと、母子保
健で、中心は、虐待対策など。その狭間で妊婦の喫煙対策が滑り落ちてしまうの
です。
妊娠がきっかけで8割の喫煙妊婦が禁煙を始めます。しかし、この人たちは、
リセット禁煙を聞くまでは「あらゆるストレスにタバコは効く」と考えたまま。
そう、心のリセットができていないため、何かのストレスで、また吸う危険があ
るのです。実際、元の7割の妊婦が授乳の終わるころには吸っています。禁煙を
始めていても、リセット禁煙を教える必要があるのはこのためです。