私は開業14年目、51歳の日本医師会の末端会員です。政権交代した今、日
医は大きな岐路に立たされていると思います。好き嫌いはともかく時代は確実に
変わりましたが、はたして日医はチェンジするのでしょうか?それともまだ古い
チョンマゲにしがみつくのでしょうか?
【政権交代は日医の試金石】
連日の報道を見るかぎり民主党政権はしばらく試練の連続であると思います。
しかし政権交代したという事実の重みを我々の代表である日本医師会幹部は感じ
ておられるのでしょうか?医政の総括をされたのでしょうか?本来なら日医ニュー
ス号外が出てもおかしくないはずです。政権交代はまさに間違いなく日医の試金
石だと思います。
【真の意味での公益法人を目指す】
そもそも医師会とは単なる親睦団体なのか公益法人なのか疑問に思いながらこ
れまできました。無論両方大切ですが、当然後者が優先するはずです。周囲を見
渡してみて都道府県および市町村医師会など地方医師会は、間違いなく公益に貢
献しています。では日医はどうでしょうか?正直、末端会員には公益性があまり
見えてきません。
【入会金を下げて全員加入の日医へ】
医師会入会率が低下していると聞きます。特に勤務医の医師会離れは憂慮すべ
き事態です。入会時の制約や入会金が多額であることが主因でしょう。任意団体
とはいえ、私は弁護士会のように全医師が入会する医師会であるべきという考え
です。その上で公益性を追求すべきです。目の前の課題としての「新型インフル
エンザ対策」に、地域医師会は各地域の実情に応じた素晴らしい公益活動をして
きました。このように日医の公益活動は地域の医師全員で行うべきだと思います。
公益活動こそ医師本来の使命であるからです。
【開業医も勤務医も一蓮托生】
日医は開業医の利権団体であり勤務医とは距離があるとよく言われますが、は
たしてそうでしょうか?開業医は全員が元勤務医です。また病診連携あっての開
業医であり勤務医です。両者はいわば車の両輪、病院がコケたら間違いなく開業
医もコケます。
しかし診療報酬については現実にはどうしても病院優先か開業医優先かで議論
されます。本来協調関係にあるべきものが競合関係に簡単に分断されてしまいが
ちです。しかしこれこそが医師会の懐が試されていると解釈すべきでしょう。た
しかにどちらも大きな問題が山積みです。しかし敢えて優先順位をつけるなら、
私は勤務医が優先すると思います。診療報酬改定は「開業医も勤務医も一蓮托生」
の認識の元、広い視野で議論されるべきだと思います。
【日医なくして大同団結なし】
勤務医、開業医、そして基礎研究医の大同団結なぞ現実を知らない田舎医者の
絵に描いた餅かもしれません。しかし日医以外に全医師が大同団結し得る組織が
あり得るでしょうか?
私は代議員制などの日医の基本方針に素朴な疑問を抱きながらも、公益性にお
いて素晴らしい実績を上げてきた地区医師会の諸先輩方を尊敬しながら開業医生
活を送ってきました。政権交代した今感じることは、日医なくして大同団結なし。
大同団結なしでは、インフルエンザ対策に代表される国家レベルの公益活動なし、
という実感です。
政権交代した今こそ、日医の大胆なチェンジを期待します。政治追随ではなく
自らチェンジできるかが問われていると思います。