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Vol.107“こども と 震災復興”国際シンポジウム2016 ~相馬地方の5年のあゆみ~

医療ガバナンス学会 (2016年5月5日 06:00)


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2016年5月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

2016年5月8日(日曜日) 9:10-17:00

研究報告【第2部】-放射線の健康影響-

●福島県県民健康調査「甲状腺検査」の経過報告
福島県立医科大学 臨床検査医学講座 主任教授
志村浩己

福島第一原子力発電所事故により引き起こされた放射能汚染は、福島県民にチェルノブイリ原子力発電所事故後と同様の小児甲状腺癌多発への憂慮をもたらした。それに対応するため、日本の関連7学会に所属する全国の医療関係者や研究者の全面的協力のもと震災時18歳以下の全県民約36万人に対し福島県民健康調査「甲状腺検査」が震災の約半年後に開始され、 2016年5月から3回目の検査が行われようとしている。本報告ではこれまでの甲状腺検査の経過とその途中結果を報告させて頂くとともに、甲状腺癌の特質を概説し、甲状腺検査と甲状腺癌に関して理解を深めて頂く一助としたい。

●甲状腺スクリーニング ‐ 世界の動向
インペリアルカレッジ・ロンドン腫瘍外科学講座
Gerry Thomas

福島県県民健康調査の一環としての甲状腺の超音波検査(TUE)は、既に膨大なデータを蓄積している。しかしこのデータは、他の科学者や報道陣に正しく解釈されるべく筋道立てて報告されなくてはならない。よくある傾向として、データ収集の方法を考慮せずに、TUEのデータと同年代の小児甲状腺がんのデータを比較することがある。その結果、福島の事故以降、甲状腺がんの発症率が急増していることを示唆するようなタイトルの報道へともつながる。
しかし、実際のところ、この増加は放射能よりもむしろスクリーニング効果によるものである。福島の事故後の甲状腺がんとチェルノブイリの後の甲状腺がんは、症例の年代分布、病理形態学的あるいは分子生物学的な特徴において大きく異なる。さらに、最近のデータによれば、チェルノブイリの後の甲状腺がんが急速進行性であるという報告には疑問が持たれている。これは、患者の予後を損なうことなく最適な手術の時期を待つことができる可能性があることをも示している。

●災害が学童および高齢者へ及ぼしうる運動器への健康影響
こどもと震災復興 国際シンポジウム実行委員会 委員長
相馬中央病院内科診療科長
越智小枝

福島のトリプル災害による健康被害は放射線被害にとどまらず、長期避難、風評被害、放射線に対する恐怖、失業などに伴う様々な間接的健康被害を及ぼし得る。特に子どもや高齢者の身体能力への影響が懸念される。本発表では福島県の小学生の震災前後のスポーツテストの結果、および震災後の相馬市仮設住宅の住民の運動器テストの結果に基づき、避難や放射線に対する恐怖心が運動器に与えうる影響を議論する。

●相馬地方の外部被ばくと内部被ばく
こどもと震災復興 国際シンポジウム 実行委員会 事務局長
相馬中央病院 内科医南相馬市立総合病院 非常勤医
坪倉正治

相馬地方では震災後早期より、ホールボディーカウンターやガラスバッジを用いた内部・外部被ばく検査が継続的に行われている。被ばく線量は年々低減傾向であり、2016年現在、ほとんどの小児の年間追加被ばく線量は1ミリシーベルト以下を達成し、海産物を含めた食品の安全性も高い。その一方で、放射線に対する不安や偏見は根強く、継続的な個別対応と検査体制の維持、放射線教育は非常に重要である。これまでの放射線対策と今後の課題について報告する。

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