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~安全性・信頼性を担保する輸血スペシャリストに~」
(医師会員制オンラインジャーナル「MTpro」8月10月掲載記事より)
同種血輸血に伴う感染症や移植片対宿主病(GVHD)などの副作用や合併症を回
避する目的で、自己血輸血が普及してきた。
ところが、最近10年間の間に同種血輸血の安全性が格段に向上し、輸血後感
染症が劇的に減少した。
同種血輸血に伴う問題点が完全に解決されたわけではないが、自己血輸血にも
これまで以上に高い安全性・信頼性が求められるようになっている。
このような状況を踏まえ、日本自己血輸血学会と日本輸血・細胞治療学会は、
輸血スペシャリストの看護師を育成すべく、学会認定による「自己血輸血看護師
制度」を設立した。
医師会員制オンラインジャーナル「MTpro」の8月10日掲載記事
(http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0908/090803.html)による
と、今年(2009年)3月第一回目の認定試験が行われ、6月に59人の自己
血輸血看護師が誕生した。
記事中で、日本自己血輸血学会理事長脇本信博先生は、自己血輸血看護師につ
いての重要性を語っている。
「自己血輸血は安全な輸血療法ですが,採血時の細菌汚染や血管迷走神経反射
の問題が付きまとうのも事実で,自己血輸血に携わる医療スタッフには,これら
に対する知識と適切な対処法を身に付けていることが求められます。そのために
は,十分に教育を受けた輸血スペシャリストたる看護師が,自己血輸血責任医師
の指示のもとで適切な自己血採血・保管・輸血を行うことが最善だと言えます。
このような理念に基づき,今回,学会認定による看護師制度が発足したのです。」
また、同記事によると、自己血採血の実態について、2004年~06年度の
厚生労働省研究班の報告で、47.3%の施設で看護師が採血を担当しているという
結果であった。
地方の中小病院では看護師の自己血採血担当率がさらに高く、岡山の調査では、
26施設中18施設(69%)、そのうちの39%は看護師単独採血であるとい
う。秋田県の調査でもその割合は55%であった(出典:「自己血輸血」第20
巻第2号)。
看護師以外に誰が採血を行いうるかを考えると、多忙な主治医や専門医あるい
は研修医にこれ以上の負担を強いることは不可能であり、臨床検査技師や臨床工
学技士も法律上は自己血採血を担当できない。
記事の中で脇本先生は「このように考えると,自己血採血はよく教育を受けた
看護師が行うのがベストなのです。私の経験でも,看護師はマニュアルにきちん
と従い,逸脱しないよう自主規制をしてやっています。ところが,看護師は自己
血採血に対して非常に強い不安を持っています。鹿児島県のある施設のアンケー
トでは,看護師の75%が貯血式自己血輸血に対して不安を持っており,81%が正
確な知識や確実な手技の習得などのためには学会による看護師制度確立の必要が
あると感じていました」と語っている。
記事の最後に脇本先生は「患者を24時間観察しうるのは看護師です。看護師が
輸血に関するメリット,デメリットや危険性などの十分な知識を持っていれば,
合併症が起きてもすぐに発見できると思います。自己血輸血看護師は,自己血輸
血のみならず輸血療法全体でそれぞれの施設のリーダーとして,時には医師を指
導するようになって欲しいと思います。自己血輸血看護師の輸血療法への積極的
参加によって,日本の輸血医療が改善する「きっかけ」になればと期待していま
す。」と、自己血輸血看護師制度への期待を語られた。
詳細は医師会員制オンラインジャーナル「MTpro」の8月10日掲載記事
(http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0908/090803.html)
をご覧ください。