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臨時 vol 312 「歯科の本当の姿、問題点」

医療ガバナンス学会 (2009年10月30日 09:14)


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                   津曲 (つまがり)雅美
 まず、歯科の診療報酬が物理的に診療行為として実行不能な低点数だというこ
とを、皆さまになんとかわかっていただきたいと思います。例えば、虫歯のムシ
がくった、罹患した部分をエンジンや、手でスプーンを使って取り除く行為は根
気のいる仕事で30分から1時間もかかることもありますが、これが16点(1点10円
ですから160円、以下同様)です。また根の治療が140円でこれも時間がかかる根
気のいる仕事です。入れ歯の型取り、これは場合よっては2日2回に分けて、2時
間くらいかかることもありますが、これが2250円です。総入れ歯を入れた時は22800
円ですが、技工代、材料代などを払えば私の場合は1万円ほどしか手元に残りま
せん。あれだけやったのにです。
 また、話をわかりやすくするために、内容を簡略化しますが、同じ前歯の抜歯
でも医師がやれば4578円、歯科医がやれば1500円です。同じく親知らずの埋もれ
ている歯を抜歯すれば、同じく54830円と11500円です。抜歯と言えども外科手術
です。神経も使いますし、事故などの危険性もある程度はあります。こんな点数
で勘弁して下さいというのが正直な気持ちです。
 また、歯周病(歯槽膿漏)の手術では、先進医療(混合診療)の時は58000円
ほどだったのが、保険に導入されたら9000円になり、材料代が15000円~31500円
かかり、実際には施術できません。
 九州大学の水田副学長によると、歯科の1カ月の売り上げは外科の1日分だそう
です。
 こういっても、にわかには信じられないと思います。今でこそ歯科医はワーキ
ングプアとも言われ、前ほどは儲かる仕事ではなくなったが、昔は、または少し
前までは儲かる仕事の代表の一つではなかったのか、儲かっていたということは、
保険点数は、そこそこはもらっていたのだろう、歯科医の困窮化は数が増えすぎ
たことだけが問題なのではないか、と思われるでしょう。当然です。
 その理由を書かせていただきます。日歯学会編纂の『歯科診療行為(外来)の
タイムスタデイ調査2004年版』で、各診療行為に要する時間が精査されています。
各診療行為にかかる時間を複数のモニターを使って精査しています。現在、歯科
保険医療機関が一か月当たりに上げる平均保険点数は約30万点(300万円)です
が、これを1時間あたりに換算すると、一日9時間働くとしても1400点(14000円)
/時間です。各診療行為の点数を1時間当たりに換算して、この14000円と比較し
ます。抜歯、サシ歯、義歯など高い診療行為で700点/時間で平均の半分、義歯の
調整、根の治療など低い診療行為で70点/時間つまり平均の5%、歯科の診療行為
中『平均の1400点/時間を上回るものがない』のです。これは明らかに矛盾して
おり、日歯学会は日歯の内部組織ですから『日歯自身が多くの歯科医が手抜きで
食っている』といっているのです。このタイムスタデイどおりに診療したら、月
に30万点どころか10万点ほどしか上がらないと思います。これは私個人が言って
いるのではなく、日歯自身が言っているのですから、我々は十分なる証拠だと考
えます。点数が低いぶん、パッパッと手早く、手抜きでやっているのです。日歯
がそう言っているのです。
 手抜きには、不正・不当に密接に関連する部分があります。療養担当規則とい
うものがあり「歯科医学上妥当適切に行うこと」と記載されているから、手抜き
は同規則違反でもあります。外科や口腔外科なら、例えば抜歯したはずの歯が口
の中にある、手術してないのに手術をしたことにして保険請求した・・・そんな
こ とでもない限り基本的にはやった、やってないが全てで、不正も何もないわ
けです。だから我々一般歯科医のことは理解しづらい面があると思います。
 我々が多く手がける一般歯科とでもいうべき治療、例えば虫歯の治療ですが、
軟化牙質(虫歯のムシ食いの部分)を残して、パッパッと詰めモノを詰める、こ
れは手抜きであると同時に、療担規則違反の不正請求になります。上から詰めて
しまうから、ムシ食いが残っていることは、外からはわかりません。患者さんに
も わかりません。前述の外科の不正に比べ、この入り組んだ、わかりにくい構
成が何とも言えない特徴です。手抜きは不正・不当と密接に関連しますし、手抜
きでした、下手なんです、スイマセンでは済まない面があります。『手抜きとは、
十分なことをしないで、十分なことをやったとして保険請求することですから、
それは当然不 正請求になります』。
 そのようなわけで不正しているから技官が怖い、保険の個別指導が怖い。歯科
医の技官への恐怖心は半端ではありません。引退し閉院し、子供が跡を継がない、
保険指導が怖くいない歯科医しかモノが言えないと言っても決して言いすぎでは
ありません。怖いから国民や厚労省や技官にモノが言えない、点数を上げてくれ
と言えないのです。だから営々と低点数でやってきたのです。
 それと歯科の低点数を国民の皆さんに理解してもらうのは、大変に困難だと思
います。歯科が低点数なのは事実なのです。前述のとおり、点数が低いなら点数
を上げてくれと言えばいいではないということになります。しかし、やましいか
ら、点数を上げてくれと言えない。「歯科医の困窮は、数が増えすぎたことだけ
で はないのか。昔はまたは少し前までは歯科医は金持ちの象徴だったのだから、
点数が低いというのはどういうことなのだ」と言われれば、まさか「実は点数は
低かったのです。だから手抜きで食ってました」とは中々言えません。「言うに
言えない」状態で悶々と出口の見えないトンネルの中を彷徨っていると言ってい
いと思います 。医科は大まかにいえば歯科に比べて、「高点数で高収入」です。
歯科は今まで述べたとおり「低点数で高収入」です。
 低点数で、数で捌いて手抜きで稼いでいましたなど言ったら、大騒ぎになるで
しょう。耐震偽造の事件では、誰しも建築業界ではこれが常識になっているので
はないか、調べようがありませんが、業界の多くの業者が
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