最新記事一覧

臨時 vol 342 「リセット禁煙のすすめ(10)」

医療ガバナンス学会 (2009年11月16日 12:05)


■ 関連タグ

「冬-2」& 社会的ニコチン依存とは-次世代の禍根を断つ

トヨタ記念病院禁煙外来 磯村毅
リセット禁煙研究会代表  予防医学で医療崩壊を緩和する会発起人


前回は、禁煙を開始すると、脳の機能は回復し、再びドーパミンやα波が出や
すくなる。そして、幸せは感じやすく、ストレスは和らぎやすくなるとお話しま
した。となると問題は、それまでにどのくらい時間が必要か、ですね。

この期間を予想してもらうと、禁煙に苦しんでいる人ほど、半年、一年と長く
答える傾向にあります。

ところが、正解は、3日。せいぜい一週間なのです。信じられませんか。説明
しましょう。依存には体と心と二つあるのでした。つまり、この二つのうち、体
の依存については、3日で回復してしまうのです。ところが心の依存はそうはい
かない。人によっては何年も続いてしまうのです。

でも心配いりません。確かに「心」というと、難しく聞こえるかもしれません。
しかし、依存症の場合は単純なのです。思い切って言えば、心の依存とは、間違っ
た思い込みのことなのです。 だってそうですよね。例えば、間違った思い込み
の典型「タバコはあらゆるストレスを解消してくれる」を信じたままだと、禁煙
して何年たっても、何かいやなことがあったら、吸えたらなあ・・・と、タバコ
が欲しくなってしまいます。

ところが、もう皆さんは、「タバコはニコチン切れのストレスしか解消しない」
とか、「もともと食後はタバコを吸わないほうが、α波もよく出るし楽しい」と
理解しています。そうなると、仮にタバコのことを思い出したとしても、「でも
な、ここで吸っても、煙いだけだよ。」と感じてしまうのです。誤解が解けてい
るからです。

それは、今までの間違った考えを信じていた頃と比べると、不思議な感じかも
しれません。でも、そうでもないのです。人間には、あることについて、真実を
知り、考えが変化すると、感じ方も変わってしまうことが起こるのです。それは
ちょうど、ダイヤモンドだと思っていたものが、イミテーションだと知れ、ただ
の汚い茶碗だと思っていたものが、先祖代々伝わる、何百万円もする貴重な茶器
だとわかったとたん、同じ色形のはずなのに、全くちがって見えてしまうのにも
似ています。皆さんはタバコの正体に気づくことができたのです。

リセット禁煙を知ると、非喫煙者であってもタバコのことを誤解していた、と
気づく人がほとんどです。しかし、現実は悲しいものがあります。私は吸わない
と断りつつ「タバコには憩いと安らぎを提供する嗜好品としての側面も」と語る
識者も少なくありません。そして、こういう無理解な発言があるために、何かと
「タバコに憩いと安らぎ」を求めてしまう人が跡を断たないのです。

非喫煙者も含め社会全体に、喫煙者の信じている「タバコに対する誤った期待」
が伝播している。これが事の真相です。最近、専門家の間でもこの現象に注目が
集まり「社会的ニコチン依存」として、点数化されるようになりました。そして、
非喫煙者であっても、家族や、友人に喫煙者がいる場合、特に影響を受け点数が
上昇し易く、その人たちは喫煙予備軍と考えられるようになりました。

ちなみに、私はもう30校近くの各地の定時制高校に呼ばれ、リセット禁煙の
話をしています。もちろん、この誤解の連鎖を食い止めるためです。しかし、本
当は、もっと組織的に、新しい子どもが生まれる妊産婦の段階で、家族丸ごとタ
バコに対する考えをリセットできたらな、と願っています。

MRIC Global

お知らせ

 配信をご希望の方はこちらにメールをお願いします。

 MRICでは配信するメールマガジンへの医療に関わる記事の投稿を歓迎しております。
 投稿をご検討の方は「お問い合わせ」よりご連絡をお願いします。

関連タグ

月別アーカイブ

▲ページトップへ