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医療ガバナンス学会 NEWs 「財務副大臣 野田佳彦殿」

医療ガバナンス学会 (2009年11月20日 15:19)


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                  医療構想・千葉代表 竜崇正

 日頃より財務行政にご尽力いただき感謝申し上げます。
 ところで去る19日の記者会見において、野田副大臣は「報酬全体を上げなくて
も、配分の見直しで調整できることが相当ある」として、来年度の診療報酬改定
において総額3%の引き下げを明言したと一部メディアで報じられました。また
そのための方策として、副大臣が薬価の引き下げと開業医から勤務医への報酬配
分の見直しについて言及されたとも伝わっております。
 自民党政権下、小泉元総理の主導などで2002年から2008年までに診療報酬総額
は7.68%も削減されてきました。今回、3%の削減となれば、8年間で1割超の削
減となります。人命を扱う医療費の1割カットは地域医療の現場に大きなひずみ
をもたらします。
 収入が多いとされる開業医ですが、経営者としての開設コストやランニングコ
スト、従業員への人件費等が重い負担となっており、都市部ではリスクと負担の
低いビル診療所が急増して、病院と診療所との地域連携が崩壊するという問題も
生じています。また財務省の示す開業医の給与には債務の返済等が差し引かれて
おらず、これを差し引いた平均手取り収入での評価が不可欠です。今回のような
開業医の報酬の一律削減は今後の診療所の激減を招き、引いては病院に来る必要
のない患者が病院に押し寄せて勤務医をより一層疲弊させるという悪循環を引き
起こすであろうことは火を見るよりも明らかです。
 先の総選挙に当たって民主党が支持されたのは、「コンクリートから人へ」の
スローガンの下、医療、介護、年金といった社会保障や、子育て、教育への財政
投資を惜しまないとのメッセージが国民に向けて発せられたからにほかなりませ
ん。現在の医療崩壊はもはや診療報酬配分の見直しといった小手先の手段で解決
できる問題ではなく、先の総選挙で民主党がマニフェストに掲げたように、医療
費総額をOECD諸国並みに増額し、また医療制度全体の抜本的な見直しを行う
以外にありません。
 昨日の野田副大臣の発言は、開業医と勤務医の間に要らぬ対立を煽り、かつ財
政的に窮乏した医療現場の疲弊をより一層、招くものであり、その撤回を求めて
強く抗議するものであります。
以上

 

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