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臨時 vol 363 「「丸の内朝大学」で医療講座を開く理由」

医療ガバナンス学会 (2009年11月24日 12:00)


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亀田総合病院 腎臓高血圧内科
小原まみ子


日本のビジネスの中心地、東京・丸の内。そこで今年の4月から早朝に社会人対象の
『大学』が開かれているのをご存じでしょうか。その名も『丸の内朝大学』。通勤ラッ
シュに揉まれゲンナリと1日を始めるくらいなら、ゆったり座って来られる早朝に都心
に着き、始業までの時間を勉強に使えばよいのでないかというコンセプトで開かれてい
ます。

食学部や環境学部など様々な系統の講座が開かれ、特に丸の内OLに大人気で、開学
の時にNHKの朝の全国ニュースでも取り上げられたのを始めとして、メディアの関心
も大変高いようです。

しかし残念ながら、この丸の内朝大学にこれまで医学・健康系の講座はありません。
このことは、いみじくも、日本の現状をよく現しているようです。日本の現状とは、社
会をリードするような若手・中堅層など、まだ健康に自信を持っているような層と医療
とが最も縁遠いところにあるということ。でも、これを当然と思ってはいけないのでし
ょう。縁遠いことによって、症状がないために自分が病気であることになかなか気づく
ことができない糖尿病をはじめとする生活習慣病患者の増加に歯止めがかからないこ
と、また病気になってから初めて医療者と接する人が多いため医療の現場で対等の人間
関係を結ぶことが難しくなりギスギスして医療不信につながっていること、さらに主た
る納税者(費用負担者)にとって病気が縁遠い存在であるが故に医療費削減圧力に抗し
きれないこと、など、現在の医療を取り巻く厳しい環境につながっていると考えられま
す。医療再生のためには、この距離を詰める必要があります。

では、どうやって距離を近づければよいのでしょうか。必要性を感じていない人(い
つか病気になりうるのですが・・)が近づいてくることを期待するのはナンセンスです
から、必要性に気づいている医療者側から距離を縮めることが必要でしょう。

そこで今回、私は、患者と医療者の架け橋をめざしているという『ロハス・メディカ
ル』からの依頼で、聖マリアンナ医科大学の木村健二郎教授と二人でメイン講師をお引
き受けして、丸の内朝大学で初めての医療版講座、慢性腎臓病『CKD』を開くことに
しました。

学会でも市民公開講座などを開催することはよくありますが、医療者側の場所に来て
もらっているわけですし、元々健康に関心の高い人々が集まるでしょう。今回はビジネ
スマン、ビジネスウーマンの仕事・生活の場の中に、医療者が出て行きます。一流のビ
ジネスマンの方と医療者の協働作業にしたいなと考えており、そこで得た経験や人間関
係は今後の医療全体にとっても大きな財産になるのでないかと考えています。

興味のある方は、まだ申し込み可能ということです。よろしければ、ご一緒にいかが
でしょうか。詳しくは、丸の内朝大学のサイト

http://www.asa-univ.jp/09vol3/medical.html

をご覧ください。この講座の模様は、ロハス・メディカル誌などで随時ご報告してい
きますので、ご注目いただけますと幸いです。

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