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Vol.091 医書専門出版社が工学書を電子版のみで出版した理由

医療ガバナンス学会 (2017年4月29日 06:00)


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医学教育出版社
只野まり子

2017年4月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

4月7日、医学教育出版社で初の試みが2つ同時に情報解禁された。
医書専門の出版社でありながら(1)工学書を(2)電子版のみで発行したのだ。

今回発行したのは『アトミックアクシデント-放射能の発見から福島第一原発事故まで-』という本で、米国原子力分野の第一人者であるジェームズ・マハフィー氏の著作『Atomic Accidents』の翻訳書である。翻訳者は慶應義塾大学病院の放射線科医である百島祐貴氏。弊社出版物にも多数執筆してくださっている百島医師が原著を読み、ぜひ翻訳したいという話を持ちかけてくれたことがきっかけで昨年秋、この試みがスタートすることとなった。
工学部出身の編集者がメインで担当し、理系とはまったく無縁な私はサポートとして、発行まで一緒に伴走をさせていただいた。

(1)医書専門の出版社がなぜ工学書を出したのか?
面白いから。それ以上の理由はない。原著の面白さ、原子力・物理学分野にとどまらない原著者の博識と教養。そして、特に日本語翻訳においては肝となる訳者の翻訳センスによって、原著の面白さに磨きがかかっている。
興味のある方はぜひ翻訳版と原著を読み比べていただきたい。訳者の語彙力に何度も驚くことになるだろう。

(2)なぜ電子版のみで出版したのか?
近年の出版不況について、改めてここに書く必要はないだろう。弊社のような規模の小さい出版社において、紙に印刷した本を出版することは在庫と返品のリスクを抱えることになる。その点電子版であればそのどちらのリスクも回避でき、更に印刷費を始めとした発行までのコストも抑えられる。翻訳版で700ページに迫るボリュームの本を1,500円で販売できる理由はここにある。

本書の内容について少し触れておきたい。本書は、放射能の発見前夜から2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故に至るまで、放射性物質・原子力事故の歴史を辿っている。放射能とは何か、その危険性とはどんなものなのか、原子力は人類に必要なのか、徹底した調査に基づく科学者の視点で書かれている。「原子力」「放射能」というと何らかのイデオロギーをまとって語られることが多く、それを敬遠した結果、風評に影響されたりするケースをみるのはとても残念なことで、そういう点において、政治色なく非常にフラットに書かれた本書は、原子力の歴史を体系的に知る上で一助となるのではないかと思っている。工学や物理学の知識がなくても十分面白く読めるので、ぜひ多くの人に読んでいただきたい。
Kindleストア、iBooks Store、Kinoppy、楽天Koboなど各電子書籍ストアで販売しているほか、医学教育出版社のホームページからは一部無料で立ち読みをすることができます。

Kindleサイト:http://amzn.asia/aMar10T
弊社サイト(ページ下方に「立ち読み」ボタンがあります):http://igakukyoiku.co.jp/book/atomic_accidents/

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