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臨時 vol 383 「ワクチン後進国と自覚すべき」

医療ガバナンス学会 (2009年12月4日 08:00)


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細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会 事務局長 高畑紀一

2009年12月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp


先日、1歳9ヶ月の男児がヒブによる細菌性髄膜炎で亡くなった。父親はヒブのことは知らなかったようだが母親はワクチンの存在を知っており、しかし接種費用が高額であり接種するか否か様子を見ていたという。子どもの苦しさ、辛さ、ご両親の悲しみ、診療に当られた医療関係者の無念さを思うと、胸が締め付けられる。そして、これが経済大国と称する国で起きている実態なのだと愕然とする。

奇しくもこの男児が発症した11月26日、衆議院厚生労働委員会において、ヒブワクチンの定期接種化について問われた長妻昭厚生労働大臣は、「ヒブワクチンにつきましては、今、定期接種化に向けて検討をしているところでありますけれども、副反応あるいは効果などについて情報を収集しているという段階であります」と答弁している。
長妻大臣は従来の厚生労働省の対応から大きく外れた答弁を行なっているわけではなく、むしろ、定期接種化に向けた検討に着手していることを述べているのだから、前進しているといっても良いくらいだ。
だが、私は大きな違和感を抱いている。定期接種化を目指すことは間違ってはいない。迅速に進めるべきであろう。しかし、それだけで良いのだろうか、と。

我が国は「ワクチン後進国」だ。ワクチンで防げる疾病から国民を守ることができていない国だ。このことを忘れているのではないか、私にはそのように思えてならない。
定期接種化はもちろん必要だ。そのための段取りが必要というのも、納得はしないが認めざるを得ないとも思う。だが、手順どおりに定期接種化を進めるのはワクチン標準国の対応であり、ワクチン後進国の我が国ではそれだけでは不十分だ。
国が承認したワクチンが存在するのに、接種を希望しても供給不足で接種できない。接種したくても経済的負担が足枷となって、接種に踏み切れない。
そうしている間に、細菌性髄膜炎に罹患し、命を落とし、後遺症を負う子どもが後を絶たない現実。
このことを救済することが、ワクチン後進国に必要な対策なのではないだろうか。

今、必要な対策は、全ての子どもたちがワクチンを接種できる状態にすることに他ならない。もちろん、定期接種化もその一環であるが、同時に今このときにも罹患する子どもたちを救うため、「打ちたくても打てない」を解消しなければならない。
ワクチンが不足しているのなら確保すれば良い。「アクトヒブ」そのものが無いわけではなく、ワクチン後進国の政府が認める特注品「日本向けアクトヒブ」が足りないだけだ。
費用も子育て世代が負担感で接種をためらうことの無いよう、軽減すればよい。子ども手当ての財源の一部でも回せばすぐに確保できる金額だ。
繰り返すが、最優先されるべきはワクチン接種を希望する全ての子どもたちが、速やかにワクチンを打てるようにすることであり、ワクチンを打てないことで罹患し、命を落としたり後遺症を負うことが無いようにすることである。

私たちは、「ワクチン後進国である」という事実を受け止め、発想を大きく変えなければならない。
後進国であるという事実認識が欠如した大人たちの不作為に拠って被害を受けるのは、子どもたちであるのだから。

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