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Vol.142 新専門医制度に関する精神科の問題を岩手県から見た状況

医療ガバナンス学会 (2017年7月6日 06:00)


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岩手県立南光病院
村川泰徳

2017年7月6日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

精神科医は、現在全国的には増えていますが、それは都会の研修医と地方都市含めた精神科クリニックの増加分と言われており、病院勤務精神科医に関しては良くて横ばいであり、特に東北の大都市以外での減少は著しいと思われます。岩手県はそうです。

さて、専門医問題は、他の科と同様研修先病院選び問題と言えます。現在私の知るところでは、当初宮城県以外は、大学のみが研修基幹病院として立候補する予定です。しかしその宮城県でも仙台市に大学含めふたつのみです。もしかしたら県によっては今後増えるかもしれませんが、それでも県に3つ以上となる県はないと思われます。岩手県は岩手医大のみで増える見込みはありません。当院もとても無理です。

規制緩和案として、基幹病院以外にも専攻医の所属を認めるという案(元々は基幹病院への所属を義務付ける内容でした。)が濃厚なので、ほんのわずかは望みがありますが、研修医が特段の理由なく危ない橋を選択することは期待できないので、やはり事実上大学の後記研修医独占とならざるを得ない状況となることが考えられます。

そもそも最初に記したように、地方の病院には専門医の研修教育(専門医のカリキュラムが元々煩雑なのが、もっとハードルが上がる)に対応する余裕がありません。また精神科には元々まずは精神保健指定医を取って一人前という文化があるので、専門医だけならもしかしたら可能でも、指定医と専門医と同時に指導となると、やはりその余裕は指導医クラスにはないので、基幹病院になるハードルは高くなっていくばかりなので、やはり大学とごく一部の恵まれた病院以外ではほぼ絶望的です。

そして、その大学はと言うと、南東北3県はまだましなようですが、北東北3県(特に岩手、青森)は大学そのものの医局医師がとても少なく、そこに研修医が集まるわけですから、指導医を確保しないといけなく、周囲におこぼれが出ていく可能性は低くなります。つまり、市中病院にはなかなか補充になりにくく、病院はやはり衰退せざるを得ない状況です。逆に市中病院に人が流れてしまうと、大学での専門医研修に支障が出るかもしれなく、それはそれで恐ろしい状況です。

つまりは、急務は、専門医研修などのバイアスをあまり受けずに、少ない戦力を効率良く配置することなのですが、専門医制度がそれを偏在化させるのは間違いないと考えます。

とりわけ岩手県は悲惨です。唯一の医科大学の岩手医大が私学であるため、昨今の医学部ブームの中で、さらに都会の開業医のご子息の”合宿免許センター化”が進み、岩手に残る人が圧倒的に少ないです。皆さん、6年間勉強して医師免許を取得すると都会へ帰られます。結果的に精神科入局者もとても少ないです。

その中で専門医制度が始まると、想像もつかない悲劇が待っているような気がしてなりません。これはあくまで理屈上のリスクなのですが、想定できるリスクです。

そのような理由で個人的には、このまま専門医制度に突入するのはとても反対です。少なくとも、もう少しきちんとリスクを減らすように練ってからの方がよいと考えます。

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