医療ガバナンス学会 (2017年11月13日 06:00)
そして、幼児教育によって伸ばすべき非認知スキルの重要性は今後ますます高まっていくだろう。
それを示す身近な例として、大学入試改革を中心とする、日本の教育改革が挙げられる。
2020年より、日本の大学入試は大きく変わる。知識・技能に加え、思考力・表現力・判断力や、主体性・多様性・協働性までもが重視されるようになるのだ。また、AO入試・推薦入試の枠が拡大し、高校時代までの課外活動や授業への積極的な参加姿勢が合否に影響することも増える。
このような改革を行う背景で文科省が目指すのは、社会で活躍できる人材の育成だ。大学入試改革は高大接続改革の一環として行われ、大学自体も改革の指針が示されている。その中で文科省は、様々な課題に直面する日本社会において、活力や持続性を確かなものとするための新たな価値を創出する存在として若者の育成を目指すとしている。
資料中では、「子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」、「今後10~20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い」といったリサーチも引用されている。このような社会構造の変化の中で、これから生まれてきて22世紀まで生きようとする子どもたちには、具体的に何かをできること以上の抽象度の高い能力が求められていくだろう。
では、日本の幼児教育はどのような現状になっているのか。
雑誌『エコノミスト』の研究機関が2012年に発表した資料によると、日本の幼児教育水準は先進国や発展中の途上国を含めた45カ国のうち、21位だった。ただし、カリキュラム自体は高く評価され、13位である。足を引っ張ったのは幼児教育へのアクセス面であった。これについては我々の感覚とも合致する。
教育水準について、日本の現場の方々の努力は大変素晴らしいと、取材や活動を続ける中で感じている。先生に対する子どもの数が多く、仕事量も多い中で、丁寧に日誌を書いてPDCAを回そうとしている方を多く見てきた。また、2015年には保育・幼児教育について学際的に研究する「発達保育実践政策学センター」が設立され、新たな知見が発信され続けている。日本の幼児教育は素晴らしいポテンシャルを秘めているのだ。
第四次安倍内閣が幼児教育の無償化を提唱し、政策投資が本格的に増加しようとしている。
そんな中、これから日本の幼児教育機関は、先生は、保護者は、どのようにすればよいのか?そのヒントとなりうるような、海外の先進事例を共有していきたい。
参考
http://www.sankei.com/life/news/170517/lif1705170064-n1.html
http://www.lienfoundation.org/sites/default/files/sw_report_2.pdf
http://www.nippon.com/ja/currents/d00166/
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/__icsFiles/afieldfile/2017/07/18/1388089_002_1.pdf
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2014/09/pdf/030-043.pdf
http://toyokeizai.net/articles/-/73546
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/10/01/1362382_2.pdf