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Vol.241 現場からの医療改革推進協議会第十二回シンポジウム 抄録から(7)

医療ガバナンス学会 (2017年11月24日 15:00)


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http://plaza.umin.ac.jp/expres/genba/symposium12.html

*このシンポジウムの聴講をご希望の場合は事前申し込みが必要です。

(参加申込宛先: genbasympo2017@gmail.com)

2017年11月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十二回シンポジウム
2017年12月3日(日曜日)

【session_07】新専門医制度 13:30-14:30
●大規模調査から見えてきた医師の勤務実態と働き方の意向
井元清哉

厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」における議論を踏まえ、2016年10月「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(座長:渋谷健司東大教授)が設置され、その中で医師の勤務実態及び働き方の意向等に関して新たに大規模な全国調査を行った。その目的は、医師の働き方・勤務状況等の現状を把握し、働き方改革を含めた医師の働き方の意向、ビジョン等を明らかにすることである。その結果の概要は次の通りである。
日本で働く医師に対し、現在の働き方や将来のキャリア選択に関する10万人規模のアンケート調査を実施し、15,766名から回答を得た。
タイムスタディを行った一週間を通じて、多くの医師で過重労働や超過勤務が継続している状況が実態化していることが明らかとなった。
育児中の働き方について、「休職・離職」した医師の専門医取得率は、他の働き方を選択した医師よりも有意に低い。
地方勤務について、「意思あり」との回答は44%に上り、若い医師ほど高い傾向にあった。加えて、半年や1年という短期勤務の希望はどの年代でも少なく、比較的長期の希望が大半であった。
地方勤務の障壁となっている理由は年代と共に変化し、20代医師では、「専門医資格の取得」が特徴的、30・40代医師では、「子どもの教育」が多かった。どの年代でも「仕事内容」、「労働環境」は共通の障壁であった。
講演では、若手医師の勤務実態やキャリア意識、働き方の意向について、特に専門性の追求という観点から調査結果を説明する。
なお、調査結果については、調査班webページ(http://ws-reforms.umin.jp/)においても解説している。是非、ご覧頂きたい。

●日本専門医機構が企てる「お免状ビジネス」 ─ なぜ彼らは焦っているのか? ─
遠藤希之

平成28年6月末、前年度中に「専門医資格更新」を申請していた複数領域の医師に対し日本専門医機構(以下機構と略)から専門医認定証が送りつけられてきた。認定証には実際に判定を行った学会の理事長名と当時の池田機構理事長が連名で記載されていた。
実は平成13年より厚労省が認定した学会医専門医資格は広告宣伝可能になっていた。ところが機構認定証は厚労省のお墨付きを得られていなかった。そこで産婦人科を始めとしフライングで認定証を送られてきた医師達は「こんな認定証では医療広告ができない。詐欺に遭った!」と憤った。
すったもんだの挙句、同認定証は従来の学会認定証を兼ね「医療広告可能」と解釈する、との「学会独自」の通知が送られてきた。ちなみに認定証の日付は28年3月付、つまり当時更新申請を行っていた医師達は4ヶ月近くの間、法的に「医療広告不可」という状態だった。機構の杜撰な体質が窺える一例である。
さてこの認定証、実際の更新資格判定は各学会が行い、機構は名前を貸しているだけなのだ。にもかかわらず更新者は機構に一万円を余計に払わなければいけない。フライングで行われた平成28年度の「お免状更新」では、機構に3462万円の「上がり」があった模様だ(機構平成28年度事業報告より)。
今後はどうか。
現在、日本の医師は約30万人、そのうちおよそ2/3、20万人が専門医資格を持っているとされる。サブスペシャリティ専門医も含めると一人あたり平均2個の専門医資格を有しているであろう。更新料を5年に1回は払う必要があるため、機構には継続的にこの収入が続く。従って20万人x2万円/5年=8億円が年間の「上がり」だ。
研修施設(プログラム)認定料も一件あたり5万円だ。基本19診療科を全てあわせると施設数は三千を超える。しめて1億五千万円の施設認定料収入になる(将来にわたり更新料も徴収される)。さらに今後、毎年八千人超の新規専門医が生まれてくる。彼らからもお免状代が取り立てられるのだ。
新制度は欠陥だらけにもかかわらず、機構はとにかく来年度からの制度施行を急いでいる。機構の財務が破綻しているからだ。28年度の決算報告では累積債務が1億四千万円を超えている。理事25名、職員16名(うち契約9名) の所帯の債務としては異常だ。というのも年間賃貸料千五百万円の東京国際フォーラムに事務所を構え続け、年間4千万円近い「旅費」を使い、贅沢三昧をしているためなのだ。
「循環型研修(=若手医師派遣型研修)」などという専門医の「質の担保」が真に可能とも思えない制度に固執し、欠陥だらけで走り出す。その裏には「お免状ビジネス」を早急に始めねば、機構幹部や日本医師会を始めとする債権団体幹部の責任問題になりかねない事情がある。
こんな情けない事情で新制度を押し付けられる若手医師、現場の指導医、ひいては患者もたまったものではない。機構は即刻解散し、制度設計を根本から見直すべきなのだ。
●脳神経外科専攻医が新専門医制度を考える
嶋田裕記

一般社団法人日本専門医機構による専門医制度の開始は1年間延期されたが、明年4月の開始を目指して準備中の様である。機構の理事長挨拶によれば「学会は、学術的な観点から責任をもって研修プログラムを作成する。」、「機構は、専門医制度を学術的な観点から標準化を図る。領域学会に対し、チェック機能、調整機能を発揮し、領域学会をサポートする。専門医を公の資格として認証する。」とある。すなわち研修(教育)内容は従来から行われてきた制度の内容と変わらないといえる。しかしながら、機構が「チェック機能、調整機能を発揮し、領域学会をサポートする」、すなわち、管理監督するということである。また、「専門医を公の資格として認証する」とあるが、機構は「公」で、なぜ学会は「公」ではないのか?
また、理事長挨拶には次のようにも記載されています。「本機構は、厚生労働省による「専門医の在り方に関する検討会最終報告(平成25年4月)」を受けて、我が国の専門医の育成と認定を統一的に扱う第三者機関として平成26年7月に設置された組織であり、その運営についてはプロフェッショナル・オートノミー(専門職業人としての自律)を基盤とすることとされています。」と記載され、機構の後ろには厚生労働省が見えかくれしており、国家統制が懸念されるのである。
このような状況下では理事長挨拶にある「プロフェッショナル・オートノミー」による運営や「新専門医制度 概説とQ&A」にある「患者さんから信頼される標準的な医療を提供できる医師」の実現も疑わしいのである。従来からの学会による専門医制度が国民の信頼を受けているのであれば、それは「公」的な制度と理解でき、変更の必要は無かったわけである。新専門医制度が議論されるということは、従来からの学会による専門医制度が国民の支持を受けていなかった理解すべきであり、研修(教育)の内容を学会に任せほぼ従来通りの制度となるのでは、新専門医制度を作る意味はないといえる。
したがって、一般社団法人日本専門医機構がまだ取り組んでいない二段階目と言われるsub-specialty 領域に関して、国民に信頼される専門医制度を、地独・神奈川県立病院機構が作れないかと愚考しているので、ご紹介し、諸兄のご批判とご指導をいただきたい。
「プロフェッショナル・オートノミー」とはそのような作業と考えている。
●新専門医制度が医学生のマッチングに及ぼした影響
只野まり子

医学生向けの雑誌・書籍の制作に携わってきた者として、来年度からスタートする新しい専門医制度が彼らのマッチング(初期臨床研修病院選択)にどのような影響を及ぼすのかを過去と今年の数値を比較することで示すことができるのではないかと考えた。
マッチングとは2004年にスタートした制度であり、それまではほとんどの学生が医学部卒業後、大学の特定の科に直接入局していたが、マッチングによって初期研修の2年間で複数の科をローテートすることが義務付けられた。医学生の“就活自由化”により、初期研修先に大学病院ではなく市中病院を選ぶ医学生が増え、2009年を境に市中病院を選ぶ医学生の割合が大学病院を上回った。2016年には内定者数の57.3%にあたる5,100人が市中病院に内定している。
新専門医制度が実施されることで今後予想されているのは、志望する科や研修を行う地域によっては大学病院が核となるプログラムを受けなければ専門医が取れなくなる可能性があるということで、医学生の間にも「専門医取得のためには初期研修も大学病院を選んでおいた方が何となく安心」という空気が広がりつつあると感じていた。
研修医を採用する側である市中病院の採用担当者からも、「例年は募集定員よりも受験者が多く、研修医を選べる状態だったが、今年は受験者が定員を下回ったので2次募集を行うことになるだろう。恐らく新専門医制度の影響で学生が大学病院に流れている」という声が聞かれた。
そこで、今年のマッチングではこれまで市中病院を選ぶ学生が多かったトレンドがどう変わったのかを過去と比較してみることとした。本原稿執筆時点ではまだ結果が出ていないが、数値での比較に加えて学生および研修病院の採用担当者の生の声を紹介することで、新専門医制度が学生にどんな影響を与えたのか、もしくは与えなかったのかを示すことができればと思っている。

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