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Vol.242 現場からの医療改革推進協議会第十二回シンポジウム 抄録から(8)

医療ガバナンス学会 (2017年11月27日 06:00)


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(参加申込宛先: genbasympo2017@gmail.com)

2017年11月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

現場からの医療改革推進協議会第十二回シンポジウム

2017年12月3日(日曜日)

【session_08】グローバル 14:30-15:50

●中国における非感染性疾患の流行状況と制御戦略
趙 根明

中国において最も一般的な心臓病や脳卒中、がん、2型糖尿病、肥満などの非感染性疾患は、医療費がかかるものの予防が可能である。
しかし、経済発展や環境及び生活様式の変化、高齢化に伴い、非感染性疾患の罹患率や死亡率は、今後10〜20年間で大幅に増加すると予想されている。
現在、非感染性疾患による年間死亡者数は300万人を超えており、中国における全死亡の80%を占めている。全国健康栄養調査によると、高血圧症と2型糖尿病の罹患率は、それぞれ24.4% と11.6%であり、心臓病や脳卒中の死亡率も、ここ10年間で増加傾向にある。
しかし、非感染性疾患に関する知識の普及や治療・制御は未だ不十分な状態にある。喫煙や身体的活動、過体重や肥満、食生活や環境汚染によって引き起こされる慢性疾患は、適切な医療戦略や介入により重症化を予防・軽減することが可能である。
国家戦略やガイドライン、プログラムの考案や非感染性疾患に共通するリスク因子の制御、地域や学校、職場における介入プログラムの実施、非感染性疾患の患者への臨床的なサービスの提供、監視や評価の強化を含む慢性疾患予防に関する幾つかの分野を通じ、中国政府や中国疾病管理予防センターは慢性疾患への対応に取り組んでいる。中国政府は、環境や遺伝的な側面からより多くのリスク要因を把握し、中国国民における効果的な疾患制御戦略を練ることを目的とした100万人コホート研究(“プレシジョン・メディシン” プログラムの一部)を2016年に開始している。

●「上海市高齢者居住環境評価基準システム」についての研究活動紹介
丁 暁滄

日々加速する高齢化に対応する為、WHOは2007年に「グローバルな高齢化に伴うフレンドリーな都市ガイド」を発表した。(Global Age-Friendly Cities:AGuide)目的は、各国で高齢者をサポートする社会政策と適宜な環境を確保推進することである。
2012年に修正された、「中華人民共和国高齢者人権保証法」の第六章で、中国政府は、居住に適した高齢者環境コミュニティの形成を目標とタスクに据えている。さらに2016年10月には、25個の政府部門が連携して、「高齢者居住適宜環境の建設に関わる指導方針」を発表し、関わる議題につき意見を述べた。
上海は中国の中でも、最も早く人口高齢化に突入する都会である。2016年時点で、高齢者(60歳以上)人口はすでに31.6%を占める。「上海市高齢化プロジェクトに纏わる十三五年度企画」において、社会コミュニティ全体の高齢者バリアフリーアクセスが100%の地域をカバー出来ることを目標に掲げている。この高齢化地域コミュニティの形成を成し遂げるためには、客観的な評価基準で評価することが必要である。各地域でベンチマークを設定して効果を上げる狙いとし、国もその成果を参酌して高齢者全体適切な環境建設を促していくとする。
静安区は、高齢者の割合と居住環境の建設需要は上海の中でも高い地域だ。2008年区政府委員会は意見書で「静安区健康社会コミュニティの建設ガイドライン」を発表し、重要なプロジェクトに高齢者の生活支援の要素を取り入れた。2009年では、全面的に区内の高齢者居住環境とニーズを調査した後、敷地内生活、スーパー、公園、コミュニティサ-ビスセンター、娯楽施設、学校と協力した高齢者の生活サポートのための計画案を作成し、実施した後、市民と専門家の認可を得ることが出来た。
2013年WHOの要請で高齢者居住環境建設基準のスクリーニング研究に参加され、カナダケベックで開催された第二回専門家問診会も招聘された。2015年WHO組織の資金援助を経て、静安区で高齢者コミュニティのオンサイトテストを実施し、同年6月スイスジュネーブでの交流会へ招聘され、参加した。
2016年上海市民政局の要請を受け、上海市高齢者科学研究センター、復旦大学健康PR研究所、並びに静安区予防医学会(上海静安区高齢者擁護管理と健康サービスセンター)と提携して、「上海市高齢者居住 環境ガイドライン」の要綱を作成した。
今回のプレゼン報告では、その中での静安区が担う役割分担を開示する。具体的には屋外環境と施設、公共建築とサイト、コミュニティサービスと老後保証、衛生と医療介護を交えながら、コミュニティ活動への参加、レジャーとに細分化して、高齢者を尊う社会文化と情報提供、そしてインフラサービス、応急処置、組合管理を8つ部分に分けて説明する。

●「システム X グローバル」の時代を生き抜く
渋谷健司

1990年代のバブル崩壊後に日本を襲った金融危機は、グローバル化の波に乗り遅れ護送船団方式で守られた我が国の金融セクターの脆弱性を露呈させた。その後、我が国はフリー・フェア・グローバルという3つの原則を基にした「金融ビッグバン」を実施した。それから20年が経ち、保健医療は健康ビッグバンと同じような激動の時期を迎えている。
日本をはじめ世界各国の保健医療制度は、大きなパラダイムシフトの中にあるのだ。その中でも、硬直した制度から「社会システム」へ、そして、「グローバル化」というキーワードは極めて重要である。本講演では、「システム」X「グローバル」の時代を生き抜くために今すべきことを議論したい。

●美容医療、海外へ行く
西谷直輝

私が美容医療に携わるようになって13年が過ぎた。この13年で美容医療の内容も手術中心から、レーザーや高周波・光治療といったより侵襲の少ない治療がどんどん増えてきている。治療内容の進歩は目覚ましいものがある。
また治療内容の他に大きく変わってきたことと言えば、海外から美容医療を受けに来るいわゆる「インバウンド(これを美ンバウンドと言うらしい)」や逆に海外に美容医療を受けに行く「アウトバウンド」が増えたことかと思う。治療を受ける側の変化である。
正確なデータはわからなく、特にニューハーフの方は以前からタイなどで性転換手術や美容医療を受けに行っているとも聞いているので、もしかしたら実際は増えているのではなく、カミングアウトされる方が増えただけなのかもしれない。いずれにせよ美容医療もグローバルの波が来ていることが明らかになってきている。
美容医療を目指す医師が増え、東京の銀座周辺ではすでに80軒もの美容クリニックがひしめいていると言われている。日本では年々人口が減り益々競争が激しくなる中、美容医療の中で生き残っていくために、インバウンドを取り込むか、逆に海外へ進するという医師も増えていくのではないかと思う。
また他方、中国では最近美容医療を受ける方が年々増えてきていると聞く。以前は韓国や日本に行って受ける方が多かったようだが、海外で受けるリスクを背負うよりは中国国内で受けたいという声が増えてきており、中国国内、特に上海で美容クリニックの開業が相次いでいると聞いている。
今回私は、ある中国人の方が中国の上海で美容クリニックを経営したいので手伝ってくれないか、というお話をいただいた。まだ話はまとまっていないし、これからもまとまらないのかもしれないが、実際に上海に視察にも行き経営者(となる予定の方)の話を聞いた。大変おもしろそうである。ただし簡単に話は進まないことが予想され、起こりうるトラブル、問題点に対する私見を述べる。

●ハンガリーの医学部で学ぶということ
吉田いづみ
心室中隔欠損症を患い生まれてきた筆者は、幼い頃から医師になることが夢だった。ただ高校時代の学業不振により、日本の医学部受験を断念。「成績がいいからとりあえず医学部に行く」という友人を見て日本の医学教育に疑問を持ち始めた。その時、アメリカ人に観光案内をする機会があり、異文化の人々と関わることに憧れを持ち始め、海外の医学部受験を目指した。米国や英国は学生の多くが現地人であり、敷居の高さを懸念している中、インターナショナルコースを持つハンガリーの医学部と出会い、進学を決めた。ハンガリーで国際色豊かな友人と共に医学を学ぶことは、医師になるための勉強だけでなく、日本で報じられない「現地の声」をも学ぶことができる。
筆者がハンガリーで生活を始めてもう5年目になるが、ハンガリーの医学部の人気はうなぎのぼりだ。灘高や開成、桜蔭といった有名高校と言われる名門校からも学生が来るようになった。日本の私立大学より安価で、国立大学ほど難関ではない。面接重視の入試で入学してからふるい落としていく方式をとり、「1/3がストレートで卒業し、1/3が留年して卒業、1/3が強制または自主退学」となっている。
現在ハンガリーで医学を学ぶ日本人学生は300名を超え、スロバキアやチェコ、そして北京で同様に学ぶ日本人学生を加えれば400名を超える。多くは日本に帰国し、医師として働くわけだが、この「医師逆輸入」は今日本で騒がれている医師不足や医師偏在解消に向けた第一歩となるかもしれない。
今回は「ドナウの真珠」と言われる美しい夜景を持つ首都ブダペストや私の在籍するSemmelweis大学の紹介を含め、現地の日本人の概要、 卒業生の進路についてお話しさせていただきたいと思う。

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