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vol 27 再診料を題材に、診療報酬決定への提言

医療ガバナンス学会 (2010年1月29日 10:00)


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加藤整形外科
加藤 良一(整形外科専門医)

2010年1月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


私は整形外科開業医です。ことしで開業して16年になります。岐阜県の地方都市で地域医療に貢献していると自負しています。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は再診料を統一することで合意し、
病院の600円に対して診療所が710円 で、開業医に手厚いとして問題視され、
1月21日の現在、足立信也政務官は診療所の再診料引き下げの意向を表明しています。

しかし、過去を振り返ると、実は、開業医に手厚いのではなくて、病院の外来数を減らすため、厚生省が病院の再診料を下げた経緯があり、本来、病院の評価が不当に低かった、というべきです。
また、好況の時も、常に医療費削減のために、初診料や再診料が上がることはなかったと記憶しています。

事業仕分けで発表された間違いだらけの財務省資料で、余裕があるとされた整形外科診療所の経営も、私について言えば、決して楽ではありません。
ここ5年ほど、過去の貯蓄を取り崩し、また新たな借入をして、何とか倒産を先延ばしにしている状況です。
これ以上の再診料引き下げには耐えられないのではないかと危惧しています。
一方、710円の再診料でさえ、現場の診療所の医師として、私は安すぎると感じる機会も多くあります。
引き下げ以前に、再診料そのものの再評価が必要だと考えます。

現在の再診料は、施設利用料と診察料がまとめられているという問題があります。
ここでは、もっと医療機関の維持費用と、医師の技術料がきちんと評価されるべきだと考えます。
開業するにあたっての建物や機械の購入は自前です。受付事務職員や、看護師の給与も必要です。
そのための施設利用料がきちんと設定されるべきです。
医師の技術料については、たとえば基本診察料についていえば、複数の疾患を同時に診察していくのは、再診時でも、それだけ手間と時間がかかります。
疾患ひとつごとに再診料を設定していただきたいと考えます。
同様に、病院では、複数科の再診を受けた時でも、現在、再診料は単独の科の受診の場合と同じです。
レストランで複数の料理を食べても、値段がいっしょだということです。
本来、それぞれの科で再診察料が算定でき、合算できるようにすべきでしょう。
また診療の難しさにより、1つの疾患の診療でも時間がかかる場合は、かかった時間や難易度により再診料が評価されるべきだと考えます。
再診時に、新たな病気の相談を受けた時などは手間も時間もかかりますので、新疾患診断料などを別に設けていただきたいものです。
これは、初診時と共通の価格設定がよいと思います。
そして再診時施設利用料は別立てに設定する。全てを診療所、病院統一のものとすればよいと思います。
このような、現場の医師の意見を反映した、また患者、一般の方が理解しやすい、わかりやすい診療報酬設定が必要です。

従来の診療報酬体系は、中医協、内科系学会社会保険連合(内保連)と外科系学会社会保険委員会連合(外保連)の意見を参考にしてはいましたが、厚労省保険局医療課で独断的に作成されていました。
それは、当然、上記のような、現場の細かい意見はほぼ反映していませんでした。むしろ、その時の担当の官僚の偏見や思惑が無批判に反映されていたように感じます。
医療行為の価格評価が奇妙であったり、妙な算定用件があったり、余計な書類作成を現場に強要したりして、現場はしばしば混乱して、迷惑しました。
医療現場の多忙に拍車がかかりました。
中央政府が一律に医療の価格を決めることが、土台無理でした。
また、診療報酬決定に対し、国民、国会のチェックも必要でしょう。
私は、開業医、勤務医が、各診療科別、学会別に、現在の診療報酬を再検討して、診療報酬体系の具体的な原案を作る。それをパブリックコメントを利用して、国民、政府、議員と共に議論、評価して、具体案を最終決定するという過程がよいのではないかと考えています。

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