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vol 30 日本の将来を担うライフサイエンスに体系的な経済支援を!

医療ガバナンス学会 (2010年1月31日 08:00)


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医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
文部科学副大臣 鈴木寛

今回の内容はロハスメディカル11月20号に掲載されています

2010年1月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


■皆様ご記憶のとおり、日本の野球はWBCでチャンピオンに輝きました。世界に通用する選手が揃ったからこその結果です。そして、それが可能な理由は、実は高校野球にあります。甲子園を目指す野球部は、毎年およそ3500校あり、全国には志高く日々練習に励む高校球児が、常に10万人以上います。

■これと対照的なのが、現在の日本のライフサイエンス研究分野です。野球と同様に考えれば、世界をリードする研究員の輩出のためには、本来10万人の「生命科学部員」高校生がいなければならないはずです。なおかつ、高校から大学、大学院、ポスドクまで、各ライフステージに応じた切れ目のない人材育成が必要です。しかし従来の行政プロジェクトや経済支援策は、そうした青写真や連続性なく立ち上げられてきました。
■例えば高校段階では、文科省が理数系を重点教育する高校を指定・支援する「スーパーサイエンスハイスクール」などの試みがすでに始まっています。また博士課程では、奨学金等、潤沢とはいかずともそれ相当の国家資金が投入されてきました。しかし一方、彼らの将来的受け皿であるポスドクら若手研究者の就職難は、依然として深刻です。これはまさに国家的・社会的損失というべきでしょう。
■日本は、特にこの十年間、研究開発人材への投資がほとんど伸びてきませんでした。中国や欧米が国策として人材育成に取り組んでいるのとは正反対。これでは日本の国際競争力の未来が危ぶまれます。
■問題は、先端的な科学技術研究に予算をつけることの難しさにあります。税金の投入には当然、納税者たる国民の過半数の同意があることが大前提。しかし先端技術、つまり行く末が未知の分野に対しては、理解者は多くありません。また人材の支援となれば、特定の研究テーマの支援以上に困難です。その根拠、よりどころが議論となるからです。
■それでも今、資金を投じなければ、出るかもしれない成果も出しようがありません。
■この矛盾をどう解決するか。必要なのは、有望な先端研究・人材を「選ぶ科学」です。国民の納得を得られる選抜を可能にする基準、共通見解、手法と、それを学問とし専門とするプロの人材育成が、今後求められていくでしょう。

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