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vol 48 外国人参政権より日医会長選挙権

医療ガバナンス学会 (2010年2月14日 08:00)


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長尾クリニック(尼崎市)
院長
長尾和宏
2010年2月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


民主党政権になり外国人参政権が議論されています。しかし今、日本医師会の会長選が気になります。おそらく一生選挙権がない末端開業医の本音を述べます。

【3つどもえ?の日医会長選挙】
4月に行われる日本医師会会長選挙は、医療再生に大きな影響があると考えます。
現会長の唐澤祥人先生、茨城県医師会長の原中勝征先生、京都府医師会長の森洋一先生の3人が立候補を表明されています。唐澤先生は、親自民党(今は民主党?)、原中先生は親民主党、森先生はどちらでもなく政権から距離を置かれているようです。
3つどもえの選挙になると報道されています。政権との距離感が3者の違いに見えますが、はたしてそれだけでしょうか。

【勤務医や末端開業医不在の選挙】
16万人の会員を代表する日本医師会会長選挙は、代議員選挙であるため、全国約340人の代議員による選挙で選ばれます。都道府県や市町村医師会の幹部にしか選挙権がありません。やはり、派閥選挙になるのでしょうか。
私のような末端会員には実質的に何の関係もありません。すべては雲の上におられる幹部の先生方によって決定されます。その幹部は、地区の代議員選挙で選ばれているので、代議員制にはちゃんと民主主義の大義があるのでしょう。かくして日医会長選は勤務医や末端開業医不在の選挙となります。

【市民不在の診療報酬議論】
診療報酬議論をながめていますと、単なるお金の分配だけで、そこに本来あるべき医療改革の哲学がほとんど見えてきません。大企業の労使交渉と同じに映ります。それが日本医師会の使命だといわれれば、けっして綺麗ごとをいうわけではありませんが悲しすぎます。
本来なら診療報酬議論に市民も参画すべきですが、一般市民の声が反映されているとも思えません。一般市民不在、末端医療者不在の議論にです。市民ととともに医療制度を考えることも、日本医師会の責務ではないでしょうか。また今、最も議論すべきはこれからの日本の医療の方向性ではないでしょうか。

【新会長に望むこと】
日本医師会は公益法人か一般法人かの岐路にたたされています。また、医療再生をどうするのか、国民皆保険制度を維持できるのか、また医学研究を発展できるのか、我が国の医療はいろんな意味で瀬戸際にあります。
もはや、point of no returnを超えているという意見もありますが、私はまだrecovery可能だと信じています。
キーワドは3つです。医療連携、医療事故調、新臨床研修医制度です。この3つの鍵をこじ開けるためにはまず、まず医師会の入会金を安くして開業医、勤務医を問わず医師全員に入会して頂き、広く意見を吸い上げるべきです。ITやメーリングリストなどを活用すれば充分可能だと思います。また会員全員による直接選挙で会長や幹部を選ぶように変革すべきではないでしょうか。国政もネット選挙の時代です。医師会選挙も新しい選挙に変えるべきです。直接選挙により末端会員の意識は相当変わると思います。
政治には命がけで脱・官僚を目指し、同様に日本医師会には脱・欲張り村を目指して欲しいと願います。

【筆者プロフィール】
長尾和宏 尼崎市昭和通7-242 長尾クリニック
1984年東京医大卒、大阪大学第二内科入局、1995年開業、
尼崎市医師会地域医療連携・勤務医委員会委員長、近著「町医者力」(エピック)他
HP  http://www.nagaoclinic.or.jp
ブログ http://www.nagaoclinic.or.jp/doctorblog/nagao/

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