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vol 49 医療費明細書の発行の問題点

医療ガバナンス学会 (2010年2月15日 08:00)


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加藤整形外科 (岐阜県可児市)
院長・整形外科専門医
加藤良一
2010年2月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


医療機関で2回目以降の外来受診の際にかかる「再診料」が、4月から病院、診療所とも690円に統一される。新年度からの診療報酬改定を検討している中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)で2月10日、決着した。病院は90円上がり、診療所は20円下がる。

一方、夜間や休日診療に対応したり、医療費の明細書を無料発行したりする診療所には、再診料に加算することで理解を求める。 (2/10,2/11朝日新聞)

ここで、医療費の明細書の発行が問題となる。

第1の問題は、診療報酬請求は月毎であり、レセプト(診療報酬請求書)は月ごとで決定されるものです。というのは、1月に1度しか請求できないもの、1ヶ月の診療回数で、点数が変化するもの(3回なら、ある算定を選び、4回以上なら、別の算定を選ぶ、という場合があります。)などあり、診療での毎回の患者への請求は、その点で、暫定的請求といえます。従って、毎回の明細書発行は、不確定なものを渡す場合があることになります。

従って、明細書を希望される方には、本来、保険者が、月毎のものを開示すれば済むことです。医療現場は、診療のための説明に、とても手間がかかっています。これ以上、医療現場に負担をかけないでほしいと思います。これは現場医師の切実な思いです。

第2の問題は、診療報酬点数の細目は、業界用語の羅列であり、一般には不明瞭で理解困難です。値段と内容が明確ではない上に、裏に通知などで追加された複雑な規則もあります。それを患者さんから医療現場で質問されて、お答えしたとしても、普通の人は理解できないと思います。医療現場の窓口や診療現場に新たな負担と混乱をもたらします。

明細書を発行させるなら、その前に、診療報酬点数表の点数の明確化、簡易化が必要です。

あるいは、厚生労働省にフリーダイヤルの窓口を作り、懇切丁寧に答えていただきたいものです。

一般の民法で規定されている領収証は「総額のみ記載」したごく簡単なものです。
医療での領収証:「医療費の内訳が分かるもの」として、無料で発行するものです。一般に、「初・再診料」や「検査」、「投薬」、「注射」などに区分され、各項目の点数、医療費を記載します。

医療での明細書:「領収証よりも更に詳しい医療費の内訳が分かるもの」です。これは、患者様から発行の依頼があった際に、一部の医療機関において発行が義務付けられています。一般に、「初・再診料」や「検査」、「投薬」、「注射」などの各項目の内訳を記載します。

医療のみがどんどん細かくなっています。一般小売業と比較してここまで詳しく行う根拠が不明です。区分の判るのにくわえて薬剤名など明細が出るものまで義務化されようとしています。
二号議員各位が危惧しているように抗がん剤などの内容まで出てしまう。
勝村氏の主張の如く、医療の透明化の名の元に性悪説に基づいてここまで行うのはいきすぎでしょう、という他の整形外科医の意見もあります。

このような重大な問題を、見切り発車で開始しないでほしいと思います。診療報酬点数の新たなルール(点数)は、まず現場の意見を求め、実施方法を慎重に決めていただきたいと思います。

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