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Vol.265 いわき、そして相馬での日々

医療ガバナンス学会 (2018年12月21日 06:00)


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この原稿は医療タイムスの連載(8月6日掲載)“今を生きる”に加筆修正したものです。

山本佳奈

2018年12月21日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

南相馬からいわき湯本に移り住んで、早くも6ヶ月が経ってしまった。月8回の当直、外来や健診業務と、大学院における研究を両立させ、特急ひたちに乗車し、東京といわきを往復する日々だ。

中高生の時は電車通学だったため、車内で読書をしたり、宿題を終わらせたり、なんてこともしていたが、大学に進学してからというもの、電車に一切乗らなくなってしまった。そのせいか、たまに乗車する電車はもちろん、新幹線でも酔ってしまうようになった。案の定、ひたちに乗車し、パソコンで作業をしようものなら、嘔気がすぐに襲ってくる日々。駅に着くまで、目をつむり続けるしかなかった。

だが、2ヶ月ほど過ぎたある日、読書なら可能なことに気づいた。そして、3ヶ月が過ぎたある日、パソコンを使用しても全く酔わないことに気がついた。ようやくいわきでの生活に慣れてきたのだと実感した出来事だった。

いわきでの勤務は、月8回の当直と初診外来、そして健診業務が中心だ。日によって当直の大変さにもばらつきはあるものの、救急車の収容や救急外来を受診された患者さんの対応、そして病棟の患者さんの急変対応であっという間に朝になっている、なんてことは多い。当直は、看護師さんや技師さん、警備員の皆さまのおかげでこなすことができている。私一人では決して出来ない。感謝の気持ちでいっぱいだ。

当直の翌日は、初診外来をしている。受診人数が少ない日もなくはないが、12時を過ぎてしまうことがほとんどだ。日によっては午後の診療時間まで食い込んでしまうことも多々あるが、看護師さんがフォローしてくださるおかげで、毎回終わらせることができている。インターネットをみてきた、テレビをみてきたよ、などとお声がけくださる患者さんもいてくださる。嬉しい限りだ。

いわきと東京を往復している、そんな日々だったが、8月より相馬にも通うことになった。相馬市にある相馬中央病院で当直をするためだ。大学を卒業後、初期研修医として勤務したのは南相馬市だったが、そこから15kmほど北にある相馬市には何度も足を運ばせてもらった。1年目の夏に当直をさせていただくことになった相馬中央病院で内科研修をさせてもらったことが始まりだったと思う。

それからというもの、相馬市が夏に行なっていた仮設住宅の方々を対象にした仮設健診に医師として参加させてもらったり、初期研修2年目には、相馬市で開催された「“子どもと震災復興”国際シンポジウム2016」の司会をさせていただいた。その時に着物を着付けてくださった着物のだてやさんは、毎年夏に相馬で行われている井筒部屋の合宿に誘ってくださる。目の前で相撲の稽古を見学し、稽古の後にちゃんこを頂いた時は感無量だった。それ以来、私は相撲ファンになってしまった。

かつて、南相馬に住んでいた時は、相馬市まで足を伸ばし、お気に入りのカフェで、コーヒーをいただきながら勉強することもあった。相馬の友人と、相馬市内のレストランで夕食を食べることが、私の南相馬での楽しみの一つだった。相馬での当直をきっかけに、カフェやレストラン、着物のだてやさんにも足を伸ばしたいと、ひそかに思っている。

医師としての私を育ててくれた相馬・南相馬にいつかお役に立ちたい、そして、同じ浜通りにあるいわきでも医療者としてお役に立ちたいと思い、医師4年目を迎えて半年が過ぎた。あっという間だった。医師としての研鑽を積ませてくれているいわき市に感謝するとともに、相馬市で当直をさせていただく機会をいただけたことにとても感謝している。いつか両市に恩返しができるよう、これからも努力したいと思う。

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