vol 78 ナショナルセンター 独立法人化は目前、議論が白熱しています。
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医療現場危機打開・再建国会議員連盟幹事長
文部科学副大臣 鈴木寛
今回の内容はロハスメディカル1月20号に掲載されています
2010年3月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp
■皆様ご記憶いただいているでしょうか。1年ほど前、このコラムでナショナルセンター(NC、国立高度専門医療センター)の独立法人化について取り上げました(2009年3月号)。
■その独法化が、いよいよ今年4月に迫ってきました。去る11月には仙谷由人行政刷新担当大臣の下、内閣府に「独立行政法人ガバナンス検討チーム」も設置され、検討が重ねられています。
■2大争点は、債務処理とそれに関わる資産評価、そして理事長・理事の人選です。
■例えば、NCの代表格である国立がんセンターは、独法化に伴い260億円もの債務を引き継ぐことになります。計算すると、毎年の利息だけで7億円に上ります。これを診療報酬と運営交付金のみに頼って返済するとなれば、そのシワ寄せは医療従事者と患者の方々に行くことでしょう。もちろん、借金と共にそれに見合った資産を譲渡し有効活用して収益を上げることも、返済手段として想定されています。ところが、その資産の評価も問題なのです。
■というのも、公共事業による施設は、建設費・設備費が民間に比べて3~4割も高いのが実態です。つまり、支払った費用を積み上げた総額に比べ、実際の使用価値=譲渡時の時価が見合わない現状があるというわけです。
■ですから、単に施設・設備を引き渡しただけでは、結局は経営が破綻し、がん難民等が続出しかねません。他のNC施設も同様の状況です。
■また、多額の債務負担が明らかな以上、新たな経営トップの人選も困難を極めています。ましてNCは、難病・難治性疾患について新しい治療薬・技術の開発と普及を行い、もって患者や医療従事者は当然のこと、国民全体の満足を引き出す使命を本来的に担っています(国立がんセンタ―でいえば、治験の積極化等が求められます)。よって理事長・理事には、こうした要件をクリアすべく、包括的マネジメントが期待されるのです。
■今後も仙谷チームの議論を踏まえ、さまざまな決定が下されていきます。皆様には是非、そのプロセスを見守りつつ、建設的なご意見・情報をお寄せいただければと思います。新しい医療政策を共に考え、作っていきましょう。