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vol 89 チーム医療 「医師以外の専門職に評価を」

医療ガバナンス学会 (2010年3月8日 07:00)


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医療ジャーナリスト
福原麻希
この投稿は、3月3日付・朝日新聞朝刊 「私の視点」に掲載されたものです
2010年3月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


病院や診療所の医療行為に対して支払われる診療報酬が4月から改定される。今回は、疲弊した病院勤務医の待遇改善が主眼に置かれ、全体的に増額になった。その発表によると、医師の業務負担削減策として、「チーム医療」が導入されている。

チーム医療では、一人の患者に複数の医療専門職が連携して治療やケアに当たる。「患者中心の医療」をめざして、治療だけでなく生活の視点から療養を考えているからだ。病院では、医師以外に、医療ソーシャルワーカーや作業療法士など、20余りの医療専門職が働く。
つまり、チーム医療の本来の目的は「医師の業務負担削減」ではない。こういう
表現が使われるのは、チーム医療を支える医療専門職が軽視されているからだ。

すでに、現場ではチーム医療に対して業務に負担感覚え敬遠する人もいると聞く。医療専門職も疲れているからだ。医療従事者間の上下関係も残っている。「医師の業務負担削減」はチームがうまく機能したときの結果に過ぎない。
医療専門職は、かつて「医師の補助職」として専門学校で養成されていた。だが、現在は大学や大学院でもコースがあるほど高学歴になり、その専門性とスキルは高い。さらに、患者と接する時間が長いため、「医師と患者をつなぐ」「患者の心をケアする」という共通の役割がある。
だが、一般国民どころか、医療関係者でさえ、互いにその専門性や仕事内容を知らない。

医療ソーシャルワーカーは患者の仕事や家族など、闘病中の生活に密着した悩みについて1日10~20件以上の無料相談を受けている。相談者の心の中を整理し、問題解決に向けての優先順位をつけ、行動方法や発想の転換などを助言する。傾聴のスキルが高く、情報の幅が広い。
しかし、病院にいる人数がとても少ない。「患者の心のケアの充実」がうたわれてきたのに、その根本を支えている職種でさえ、この40年間ほとんど知られていなかった。
作業療法士も、全国の病院の6割が「一人職場」だ。脳卒中の後遺症や精神的な疾患などに対してリハビリをする。患者は自分で身体をコントロールできるようになると心を開く。自主的な行動力や社会適応能力を高められる。

医療専門職を増やしたいという病院経営者もいる。だが、診療報酬上の配置基準に明記されないと、病院収入に結びつかず、雇えない。医師さえ増えれば、国民の医療への信頼は回復できるのか。そうではない。医療専門職が現場で専門性とスキルを発揮し、長年の経験やノウハウを生かせていれば、医師はこれほど疲弊しなかったのではないかと思う。医療専門職への再評価を強く期待する。

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