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vol 94 公益社団法人日本医師会定款私案について

医療ガバナンス学会 (2010年3月13日 08:00)


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理事の単記直接選挙が組織を変える

虎の門病院泌尿器科 小松秀樹

2010年3月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp


司法や行政が医療を取り締まると、医療が規範でがんじがらめにされ、実情に対応できなくなる。このため、英語圏を中心に、専門分野の制御を、専門職団体の自律に委ねる国が多い。
1999年以後、日本では、刑事司法が医療に介入する場面が目立ったが、2008年の大野病院事件の判決で、医療界は刑事司法との争いで、暫定的な勝利を得た。この間、厚労省は、刑事司法への医療の反発を隠れ蓑に、医療現場への報告の義務付け、調査権限、処分権限を拡大すべく、一貫して努力してきた。
医療側が自らを律することなく、信頼が得られなければ、法で医療を取り締まろうという意見が強くなり、医療の安定的な発展が阻害される。

従来、日本医師会は、日本の医師を代表する公益法人(社団法人)とされてきた。しかし、医師の自律を担う団体としては機能していない。
日本医師会は、開業医の経済的利益の擁護を最優先課題とし、二重の代議員制度で勤務医の意見を抑圧してきた。
こうしたガバナンスの不備のため、ほとんどの活動が結局は開業医の経済的利益のためではないかと見られてきた。社会の不信感のため、最近の日本医師会の経済的利益をめぐる活動は、ほとんど成功していない。
日本医師会幹部は、医師が団結して利益を主張すると、団結と主張の強さに応じて、得られる利益が大きくなるという信じがたい妄想を抱いてきた。医師が団結して経済的利益を主張すれば、目の敵にされるという当たり前のことを、日本医師会幹部は想像できていない。

私は、一昨年、現在の日本医師会の抱える矛盾を解消するために、日本医師会三分の計を提案した。日本医師会を公益のための団体、開業医の利益団体、勤務医の利益団体に分割する案である。

2009年、医師の労働組合として全国医師ユニオンが発足した。
弱小ながら、すでに勤務医の利益団体は成立しているので、日本医師会を日本の医師を代表する公益のための団体と、開業医の利益団体に分割すればよい。
関連した大きな動きとして、公益法人制度改革三法が2008年12月1日に施行された。日本医師会は2013年11月30日までに、新組織に移行しなければならない。新組織の定款が改革の表現となる。

私は、下記の公益社団法人日本医師会定款私案を提案するものである。

http://expres.umin.jp/mric/img/komatsu/hkomatsu.pdf

叩き台であり、今後、詳細な検討を要する。
重要な条文は、第4条(4)、第4条2、第13条、第15条、第21条7である。

第4条  本会は、前条の目的を達成するため、次の各号に掲げる事業を行う。
(4) 医師の適性審査・処分に関する事項
第4条2 前項にかかわらず、本会は、次の号に掲げる事業を行うことができない。
(1)保険診療報酬額の増減改定の個別項目に関する事項
(2)前号に準じ、医師の経済的利害に直接に関連する事項
第13条 役員及び役員であった者は、国から栄誉・勲章その他の栄典を受けてはならない。
第15条 理事及監事は、別に定めるところにより、会員による直接選挙で選任する。
2 理事選挙における投票方法は単記とする。
3 理事は、互選で、会長、副会長及び常任理事を定める。
第21条7 総会に出席しない会員は、あらかじめ通知された事項について電磁的方法により表決することができる。

この団体は、ただひたすら医療をよくすること、患者の問題を患者と共に解決することだけに専念する。経済的利益を主張すると、社会から信用されず、医療をよくするという役割を果たせない。
開業医と勤務医には利害の違いがある。どちらかの利益に肩入れした主張をすれば、対立が生じる。経済的利益は、それぞれの利益団体が主張すべきである。社会の反発を招かないし、対立も生じない。
電子メールを利用すれば、直接選挙が可能になる。理事を直接選挙で選び、代表理事を理事の互選とする。理事選挙の投票は単記とする。
開業医と勤務医が対立していれば、理事を分け合うことになる。理事を分け合えば、どちらかの利益を偏重した活動はできない。対立がなくなれば、役員を分け合う必要がなくなる。

現在、日本医師会会長選挙が始まっている。日本医師会の将来像について、詳細な意見は提示されていない。

新定款作成は次期日本医師会長の最大の仕事になる。出馬を表明された唐澤、原中、森の各氏が一堂に会し、将来の日本医師会の組織について、じっくり議論すべきである。
現在の定款では、定款変更に代議員会での3分の2以上による議決と総会での議決が必要である。対立のために、定款が変更できなければ、日本医師会は解散したものとみなされる。
残された時間は長くないこと、社会が大きく変化していることを自覚して、会員のために、何を残すのか、どのような組織にするのか、合意を目指した穏やかな大人の議論が望まれる。

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