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Vol.090 血液内科の先生方に最後のお願い

医療ガバナンス学会 (2019年5月18日 06:00)


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元白血病患者
大谷貴子

2019年5月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

4月4日から『いつか、パパやママになりたい。若年性がん患者さんの夢を未来へ』というタイトルでクラウンドファンディングを開始しました。
6月3日までに1000万円のご寄付にならないと、このプロジェクトは達成しましせん。5月17日現在、達成率80%です。そこで、ラストスパートに血液内科の先生方にお願いをすることといたしました。

https://readyfor.jp/projects/marrow

私が骨髄移植を受けたのは今から31年前のこと。慢性骨髄性白血病の急性転化時での骨髄移植と言えば、今でも厳しいものかもしれませんが、当時は、本当に厳しい、まるで賭けのような骨髄移植だったと、のちのち聞かされました。お蔭様で、AYA世代(当時は、こんな言葉も存在しませんでしたが)の患者ではありましたが、2年後に還暦を迎えるまで、命を長らえさせていただきました。そして、この間、振り返ってみれば、ライフワークとなったボランティア活動として、骨髄バンクの普及啓発活動を推し進めて参りました。病気一つせず・・・です。感謝でいっぱいです。
しかしながら、心の中では、一つだけ、残念な思いを持ち続けていたことがあります。
抗がん剤の副作用で不妊になったことです。享年26歳だったことを思えば、ぜいたくなこと、と思われるかもしれません。実際、そう言われました。
「あのとき、死んでいたかもしれないのに」でも、生きているんです、私。
「命があっただけでもいいじゃない。それ以上を望むなんて欲張りだなあ」子供を授かりたいことって、そんなに欲張りなことですか?
そんな悔しく辛い体験から、若い患者さんに同じ苦しみを味わってほしくない、と、骨髄バンクの運動と同時並行で「妊孕性温存問題」に取り組んできました。

確かに、昔は、不妊を予防するための手立ては何もなく、あきらめるしかない問題でした。しかし、2000年に入り、医療技術の進歩とともに、抗がん剤投与前に精子や卵子を保存しておくことができ、患者さんが未来を描けるようになってきました。そして、実際に可愛い赤ちゃんが次々に誕生してくるようになってきたのです。特に、骨髄バンクを介して骨髄移植を受けた患者さんは、自分の生だけではなく、次なる生も、そして、もしかしたら、その次なる生をもプレゼントしていただいたことになるのです。
骨髄提供をしてくださった方も、誕生した赤ちゃんのパパ、ママ、が骨髄バンクを介しての骨髄移植だと知ったとき、感動して、嬉し涙を流してくださいました。

しかし、ご存知のように、病を得ますと、収入は激減する上に、治療費がかさみ、生活は一変してしまいます。
その上、自費診療であり、しかも、高額な“将来、起こるかもしれない不妊のための治療費”はとても重荷になってきました。参考までに費用を記しておきますと、精子保存は採取に2~7万円、保存に年間1~6万円。卵子保存は、採取に15~45万円。保存に年間5万円ぐらいかかります。

でも、

夢はあきらめたくない!
希望があるからこの辛い治療を乗り越えようとしているのに!

と言った気持ちが痛いほどわかる私は、クラウドファンディングに挑戦することにしたのです。
開始直後より、早逝した医師であった従兄の友人が、同級生に呼び掛けてくださったり、血液内科医師で開業された先生方から多額のご支援のみならず、応援メッセージをお寄せくださったり、と大きな力をいただきました。

しかし、あと少しというところで達成金額に到達できそうもなく、足踏みしています。上記、URLからのご寄付(クレジットカードでのご寄付)に加えて、郵便振り込みでのご寄付という形態も始めました。専用振り込み用紙は03-5823-6360(全国骨髄バンク推進連絡協議会事務局)にて送付をいたしますので、お申し付けくださいませ。

最後に、5月12日にクラウドファンディングにご寄付をしてくださいました血液内科の先生の応援メッセージを添付いたします。

『血液内科の医師です。今の血液がんの治療は、病気を治す事だけに専念するのではなく、病気が治ってその後の人生を見据えて治療を開始する時代になっています。妊孕性は、その大きな問題です。最初の抗がん剤を投与する前に、考えなければなりません。患者さんは、病気の発症で、動揺していますが、我々医療者は治った後のことを考えて、精子保存や卵子保存を提案しますので、どうか、ご理解ください。』

白血病になったとき、私を支えた単語は「希望」でした。すべての患者さんのそれぞれの希望がかなえられますように、と願い、ラストスパートに血液内科の先生方のご支援に期待を致します。

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